認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の治療と回復に係る問題点 (A-84)

2013-05-01 | アルツハイマー型認知症の早期診断

○   認知症の人達の数とされているのは、末期段階の数なのです:

厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2013年4月末現在300万人超と言われています。300万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなかったり、同居の家族の名前や顔もわからなかったり、ズボンを頭から被ったり、トイレの後始末も自分ではできない、所謂「セルフケア」にも介助が要る人達、言い換えると認知症の末期段階の人達、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の段階の人達だけの数なのです。

回復可能な早期の段階として私達が提起している、「社会生活」面だけにしか支障が出てきていない「軽度認知症」(小ボケ)とセルフケアには未だ支障がないが「家庭生活」面では支障が出てきている「中等度認知症」(中ボケ)とは、その数の対象には入っていないのです。

○ 権威とされる「診断基準」自体に重大な誤りがあるのです:

これまでのこのブログの中で幾度も指摘し問題にしてきたように、医療機関では、「アルツハイマー型認知症」については、私達の区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルの症状が出てきていないと認知症とは診断されません。

米国精神医学会の診断基準である「DSM-4」の規定に従って診断していることが原因なのです。この「DSM-4」の規定では、記憶の障害を第一の要件とし、失語、失行、失認又は実行機能の障害を第二の要件としています。失語や失行や失認の症状は、回復可能な早期の段階である「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階では絶対に出てくることがないレベルの症状なのです。失語や失行や失認という重度の症状は、回復が困難な末期の段階である「重度認知症」の段階になって初めて出てくる症状なのです。

世界的な権威があるということだけを頼りにして、疑うこともなく信望して、「DSM-4」の規定を金科玉条として、「アルツハイマー型認知症」の診断を行うので、失語や失行や失認という重度の症状が出てきていないと「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。「軽度認知症」や「中等度認知症」の段階の症状が出てきていても、「不活発病」とか「老化現象」だとされ、見過ごされているのです。その結果、「アルツハイマー型認知症」は、原因もわからないし、治すこともできないし、予防することもできない病気にされてしまっているのです。

元々は「社会生活」を営めて、正常な機能レベルにあった脳の司令塔の役割を担っている「前頭葉」を含む脳の機能が、廃用性の機能低下により、異常なレベルに衰えてきたその直接の結果として、「認知症の症状」が現れてくるのが、「アルツハイマー型認知症」という病気なのです。そのまま放置していると(身体は持つのに、脳は持たない)ので、脳の機能レベルの低下に連れて、「軽度認知症」は「中等度認知症」に「中等度認知症」は「重度認知症」に段階的に症状が進んで行くのが特徴なのです。驚くなかれ、私達のデータから推計すると、「軽度認知症」(小ボケ)と「中等度認知症」(中ボケ)とを合わせた人数は、「重度認知症」(大ボケ)の人数の4倍にもなるのです。

次回から2回にわたるこのブログの記事で、「アルツハイマー型認知症」からの回復の方法について詳細な説明をする予定なのですが、次の点を肝に銘じておいていただきたいのです(ここを「クリック」してください)。 

治療、回復の可能性という視点から言うと、次のとおりなのです。

  「軽度認知症」(小ボケ)レベル   回復容易

  「中等度認知症」(中ボケ)レベル  回復可能

  「重度認知症」(大ボケ)レベル    回復困難

○ 仮説の内容自体が誤りであり、因果関係の確認がなされていないのです:

認知症の大多数、90%以上を占めている「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方としての「生活習慣」が発病や回復を左右する廃用症候群に属する病気であり、早期の段階で見つけると「回復」させることも可能なのです。さらには、「予防」することもできるのです。市販されている専門書を読み漁っても、インターネットで検索してみても、どの書籍もどのブログも、「アルツハイマー型認知症」はアミロイドベータやタウ蛋白によって脳の神経細胞が侵されることが原因で発病する病気なので、治すことも予防することもできない病気だとしか書かれていません。原因不明の病気としながら、アミロイドベータやタウ蛋白が犯人とする他人の仮説をそのまま挙げて説明しているのです(ここを「クリック」してください)。

私達が1995年に活動を開始して以来これまでに集積してきた脳の機能データと市町村での「地域予防活動」を実践指導する中からの体験を基礎にして考察すると、「アルツハイマー型認知症」について医療機関が抱える最大の問題点は、「発見するのが遅すぎる」ことにあるのです。医療機関は、前述した「DSM―4」の規定に準拠して「アルツハイマー型認知症」の診断を行っているので、失語や失行や失認の症状が現れてきていないと、つまりは「重度認知症」(大ボケ)の段階の症状が出てきていないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないことに問題があるのです。失語や失行や失認の症状が認められる段階、私達の区分で言う「重度認知症」の段階で見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから、「原因も分からないし治らない」と誤解されているだけなのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これこそ、「遺伝子」の異常が原因の病気なのです)とアルツハイマー型認知症(これは、単なる「生活習慣病」なのです)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを犯している権威がある人達が居るために、回復可能な軽い段階言い換えると(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、家族も病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、失語や失行や失認の症状が現れてきて、「もうどうにも手に負えない」段階にならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環を繰り返す結果にもなっているのです。

○ 末期の段階である「重度認知症」の段階で見つけることに意味があるのか:

このことについての国民的な確認が必要なのです。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導(脳の使い方と言う視点からの「生活習慣」の改善指導)をやってもらい、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくる、つまり治せるという体験をすることが重要なのです。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、離島の果てにまでも染み込んでいる世の中の誤解も解けてくるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。

このままの状態、悪循環の現状を放置して、「原因も分からないし、治らない病気」のままにしていると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護に振り向けられているのが実情なのです。国全体の収入金額に対するそのあまりにも大きな割合に、その巨額さを皆さんが知ったら仰天するほどの金額に到達しているのに、治療や予防というテーマはどこからも聞こえてこないのが不思議でならないのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠ですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が財政面から破綻し、崩壊してしまう勢いなのです。

○ 早期診断による回復が可能なのです:

「早期診断」による早期治療と回復及び予防という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」とすべきなのです。その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなおアルツハイマー型認知症を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応すべきなのです。インターネットでアルツハイマー型認知症の治療と検索すると、医療機関による種々の解説ページが出てきて、「早期診断」を歌っています。But:その内容は全て、回復の可能性がない「重度認知症」の段階を見つけて、「治すことはできないが、ケースによっては症状の進行が遅くなることが期待できる」とする何種類かの薬を処方するだけの診察なのです。この薬を飲ませたところで回復を期待することはできず、ただ症状が進んでいくだけの薬を処方するのが「早期診断」と言えるのか、疑問を抱くのです。

 第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的です。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、「診断」は、従来行われているようなCTやMRIの「画像」による診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による脳の働き具合を調べる診断が不可欠です。「アルツハイマー型認知症」は、最初に「前頭葉」のみが異常なレベルに衰え(小ボケ)、次いで、「左脳と右脳」が異常なレベルに衰えていく(中ボケ)という衰え方の規則性があります。回復可能な早期の段階を見つけるには、「神経心理機能テスト」で「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)を含めた脳の働き具合を調べる診断が不可欠なのです。

ところが、医療機関による早期診断については、「前頭葉」を含む脳の機能レベルを判定する上で不可欠である「神経心理機能テスト」の使用には保険点数が極端に低いことによる「事業を維持するうえで必要な額としての事業収益が得られない」という問題があります。そのため私達は、代替案として、市町村による早期診断と地域予防活動の展開を提案しているのです(ここを「クリック」してください)。

○ 画像による診断では、回復可能な早期の段階が見つからないのです。

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできないのです。脳の萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の段階的「症状」の発現との間の因果関係)が確認できないのです。私達は、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずだと考えているのです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば脳の萎縮の度合いとのある程度の相関は認められても(万一の「仮定」の話ですが)、「早期診断」の本当の意味がある回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階になると、脳の萎縮の度合いを基準としていたのでは発見が困難なはずだと考えるのです。

CTやMRIなどの機器を使うと高額の医療費を稼ぐことはできるのですが、この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大するだけという途をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。そのことを恐れるが故なのかどうかは分かりませんが、「家族による介護」が制度化されようとしていることに私達は重大な危惧を抱いているのです。 

                                                                                                

「家族による介護」は、制度化ではなくて、本人達の選択に任せるべきものと考えるからです。まだ前途ある若い年齢の人達が、「アルツハイマー型認知症」を発病していて、しかも末期段階である「重度認知症」の段階にあるお年寄りの介護を続けることに異論があるのです。「脳の機能は衰えていくばかりなのに、身体だけがいつまでももつ」のが、「アルツハイマー型認知症」という病気の特徴だからです。今日は、前置きが長くなってしまって、本題の治療による回復の説明にいたりませんでした(このブログは20000字が限度と制限があるのに、私のブログは、いつも、字数が多すぎて迷惑ばかりおかけしているので、今回はこれで終わりにします)。次回は、「軽度認知症」(小ボケ)の治療方法と回復について説明します。

 注)本著作物(このブログA-84に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください)

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

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