認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

認知症の専門家は、「前頭葉」の働きを無視している(A-25)

2012-04-09 | アルツハイマー型認知症の原因

世間で認知症の専門家と言われる人達は、世界的に権威がある米国精神医学会の診断規定であるDSM-4」の規定の影響を強く受けているので、「重度の記憶障害」の症状を認知症診断の「第一の要件」と考えています。(記憶障害については、軽度の記憶障害即ち軽度の「物忘れ」の症状は、30代後半から正常な人の場合でも現れ始めるので、重度の記憶障害に焦点を当てているのです)。言い換えると、私たちの区分である「重度認知症」(大ボケ)の段階になって初めて出てくる「重度の記憶障害」の症状が現れるようにならないと、「アルツハイマー型認知症」とは診断しないのです。世間では、私たちが「アルツハイマー型認知症」の始まりの段階と考えている「軽度認知症」(「小ボケ)は、単なる「不活発病」として、「中等度認知症」(「中ボケ)は「老化現象」としてしかとらえていなくて、見逃してしまっているのです。脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の機能だけが異常なレベルに衰えてきている「小ボケ」の段階では、左脳も右脳も未だ正常レベルなのです。そもそも、「脳の働き具合」のアウトプット自体が、「症状」となって現れるのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。左脳や右脳や運動の脳と協働しつつ、それらをコントロールしている脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、その働き具合のアウトプットも同時に異常なレベルのものになってしまうのです。つまり、認知症の「症状」として発現するのです。この「小ボケ」の段階で、「社会生活」に支障が出てきているのです。言い換えると、脳の司令塔の「前頭葉」が正常に機能しなくなった段階で、「アルツハイマー型認知症」はもう始まっていると考えるべきなのです。

回復可能な「小ボケ」や「中ボケ」の早期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけるには、「前頭葉」の働き具合を計測する手技を活用することが不可欠なのです。MMSテストで30点の満点を取る人たちの中にも、「前頭葉」の機能テスト(私たちは、「かなひろい」テストを使います)で調べてみると、異常なレベルに衰えている人達が相当数いるのです。この人たちの生活の自立度を調べてみると、「社会生活」に支障が出てきているのです。従って、左脳や右脳や運動の脳が正常レベルでありながら司令塔の「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている段階があることに、専門家が早く気づく必要があるのです。「DSM-4」といえども、完璧ではありません。間違いを犯すことはあるのです。専門家とされる人たちは、世間からレスペクトされていて与える影響が大きいのだから、そのプライドにかけても、「DSM-4」の定義の内容を疑うこともなくそのまま診断に使用したりするのではなくて、そこに記載された内容が本当に正しいのかどうかをチェックしてみる態度も必要だと思うのです。

(コーヒー・ブレイク)  「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」の要件について、「記憶の障害」(程度についての規定が欠けている)を第一の要件とし、失語、失効、失認又は実行機能の障害を第二の要件としている(最後の項目に挙げられている実行機能というのが「前頭葉」の機能のことです)ので、回復可能な「早期の段階」を見逃してしまうのです。回復困難な末期の段階で「アルツハイマー型認知症」を見つけることに何の意義があるのかと専門家は疑ってみたりはしないのでしょうか。

     ○ 「意欲、注意集中力と注意分配力」の加齢による老化のカーブ

      

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当している「前頭葉」の機能、中でも、その認知機能を正常に発揮する上でとりわけ重要な「認知度」を左右する三本柱の、「意欲」、「注意の集中」及び「注意の分配」の働きには、上記「意欲、注意集中力と注意分配力 」のグラフにみられるように、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要なしかし専門家からは見過ごされている性質があるということを、ここで問題提起しておきたいと思います

18歳から20歳までがピークで、20歳を過ぎるころから100歳に向かって、緩やかではあるけれど、一直線に衰えていくのです。 「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が急に多くなってくる60代後半にもなると、前頭葉の働き具合は、ピーク時の18歳から20歳の頃に比べて、「働き」が半分以下に衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と、年をとればとるほど、前頭葉の働きがさらに衰えていって、正常なレベルを保ちつつもどんどん低空飛行になっていくのです。

認知症の大多数90%以上を占めていて、皆さんが普段よく目にしていて、専門家からは原因も分からないし治らないと言われている「アルツハイマー型認知症」の正体は、加齢による脳の老化という問題が基本にあるのです。「加齢による脳の老化」という問題が基本にあるから、アルツハイマー型認知症は、若者には関係なくて、「60歳代以降のお年寄りだけが対象になる」のです。 なお、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムについては、(N-30)で詳しく説明する予定です。

        

回復が困難で介護の対象でしかない「大ボケ」レベルの人は、厚生労働省の発表数字で300万人超もいるのです。 その上、(私たちが蓄積してきたデータによると)、「小ボケ」と「中ボケ」とを合わせた人数(「大ボケ」の予備軍の人数)は、「大ボケ」の人数の4倍にもなるのです。 回復が困難な「大ボケ」の人数に、「回復」がまだ可能な早期レベルの認知症の人たち、「小ボケ」と「中ボケ」とを加えると、日本ではすでに1000万人もの「お年寄り」が、認知症を発病していることになるのです。そして、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」として手をこまねいていると、「小ボケ」の人は中ボケに、「中ボケ」の人は大ボケに進んでしまうのです。「大ボケ」に進んでしまうと、もはや回復は困難となり、「介護」だけがテーマとなるのです。

  注)本著作物(このブログA-25に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

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