認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

意識と認知症の発病及び症状の重症化進行のメカニズムとの関係(F-07)

2021-06-01 | アルツハイマー型認知症の予防が国民的課題

様々な種類が数ある認知症の内で、その大多数、90%以上の割合を占めているのが、今日のテーマである、「アルツハイマー型認知症」なのです。認知症研究や診断の専門家とされる学者や医師達までもが、アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症との本質的な差異を知らないままに、両者を纏めて、或いは混同し「アルツハイマー病」と呼称(総称)しているのです。

アルツハイマー病は生まれつき特定の遺伝子(現在は、原因遺伝子として4つが確認されている)に異常が存在する人達だけを対象にして、若年で発症するのが特徴であるのに対して、アルツハイマー型認知症仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送っている60歳を超える年齢の高齢者だけを対象として老年で発症するのが特徴であり、ナイナイ尽くしの単調な日々の「暮らし方」、脳の使い方としての単調な生活習慣(自分なりの追求テーマも無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものも無い単調な日々の暮らし方を言います)の継続に起因した廃用性の機能低下が、意欲に端を発し、注意の集中力に及び、注意の分配力の機能の発揮度に及ぶことが、機能発揮上の二重構造の関係にある『実行機能』の発揮度を異常なレベルにまで低下させ、その結果として、日々の暮らしの場面で、『意識的な世界』における脳全体の『司令塔』の役割を担っている「前頭葉」が居眠りをし始めて、終には、常時眠り込んでしまう状態にまで、『前頭葉』の廃用性の機能低下が進行して行くそのことが、発病及び症状の重症化を進行させていく真犯人なのであること並びに『アルツハイマー型認知症』の本態は、廃用性症候群に属する老化・廃用型生活習慣病に過ぎないものであり、早期診断早期治療により治せる性質のものであるし、発病自体を予防することが出来るものであることを、世界中の専門家達に先駆けて、解明し、北海道から九州に跨る全国452の市町村で、主張内容が正しいことを疫学的方法により実証してきた(有)エイジングライフ研究所の活動が、意味不明の理由で、或いは何等かの反対組織の圧力で、「闇に葬り去られる」ことが無いよう、こうして、主張内容の概要をブログに公開してきているのです。二段階方式の主張内容が、世界的な権威とされる人達や機関の主張内容とは真反対の内容である為に、せっかく厚労省と協議の場が持たれても、国策化が実行されない儘なのです。

⇔猶、似たようなブログの内容が多くなってきていると感じられる読者に一言。都度、様々なテーマをたとえ些細なテーマであっても様々な視点から取り上げることに因り、書かれている内容に対する「著作権」が自動的に成立するものなので(世界中の誰一人として、同じような考えや視点を持ち合わせていない為、新機軸の考え方として、著作権が成立するのです)、専門家達が、今後、「二段階方式」の主張内容と同様の考え方や観方に到達することが仮にあっても、同じ様なテーマと内容で、著作物として発表することも、講演で説明することも、実践展開することも出来なくなる権利(該当する行為の中止と損害賠償の請求権が認められる)が保障されているのです。『二段階方式』の考え方と内容からの部分的な「引用」という形式を採用しない限り、著作権法違反となるのです。ブログに公開するのは、第二義的な目的であり、第一義的な目的は、国策化に拠る「二段階方式」の市町村での実践展開に有るのです。

&1 「アルツハイマー型認知症」は、発病自体の予防が可能な認知症

(1)このブログのメインテーマである「アルツハイマー型認知症」については、『世界中の認知症研究の専門家達から治すことも、発病自体を予防することも出来ないタイプの認知症であるとされてきて、その誤った情報が、超高齢社会を達成した国々の先頭をひた走る我が国日本の小さな島々の隅々にまでも浸透してしまっている』のです。権威達の主張内容真逆が真実であるにも拘らず

(2)「アルツハイマー型認知症」は、脳が壊れてもいないのに(器質的な原因病変が存在していないのに)、認知症の症状が発現して来る、私たち「二段階方式」の理解では、一つには、『加齢』に起因した「前頭葉」の機能低下の進行(正常老化=60歳を超える年齢の高齢者であること)が基礎に在って、もう一つ別の要因であり、仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る上での、「脳の使い方」としての単調な『生活習慣』、私たち独自の言葉で言う、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下の進行(日々の使い方が不十分である為に、機能の低下が進行して行くこと)が加重されることに因り、即ち、異なるこの二つの要因同時に存在し、充足されることに因る相乗効果に因り、廃用性の、加速度的で、異常機能低下の進行が起きてくることが、発病及び症状の重症化が進行して行く直接の及び唯一の原因なのです。

(3)私達人間だけに特有な世界である『意識的な世界』に於ける脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能が異常なレベルに衰えてきたことの直接の反映が、認知症発病としての症状となって発現して来るのです。その最初の段階が「小ボケ」(司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能だけが、異常なレベルに衰えてきていて、手足である左脳も右脳も運動の脳も未だ正常な機能レベルに在る段階)に端を発し(発病の最初の段階)、次いで、「中ボケ」(前頭葉の機能が、小ボケの段階よりも更に衰えてきていて、左脳と右脳と運動の脳までもが異常な機能レベルに衰えてきている)の段階を経て、最後は、末期の段階である「大ボケ」(前頭葉の機能、左脳、右脳及び運動の脳の機能が中ボケの段階よりも更に異常なレベルに衰えてきている段階であり、「意識」を構築し、コントロールしている核心的な機能である『注意の分配力の機能』が、大ボケの初期段階でさえ、最早ほとんど機能しえないレベルにまで衰えてきている結果として、「実行機能」が殆ど働かない状態にある)の段階へと徐々に、段階的に、何年もかけて進行して行くのが「アルツハイマー型認知症」の特徴なのです。

    

(4)「アルツハイマー型認知症」研究及び診断の専門家達(学者や医師)から、発病の原因が不明であり、治すことも、症状の進行を抑制することも、更には、発病自体を予防することも出来ないものとされている「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する老化・廃用型の、単なる「生活習慣病」(但し、食生活や糖尿病の発病とは無関係のものであり、脳の使い方としての生活習慣病を言うものとする。以下、同じ)に過ぎないものであること並びに「アルツハイマー型認知症」は、性質それ自体として、治すことが出来ないものではなくて、早期診断と早期治療により治すことが出来るものであるし(医師達が、発病を見つけている段階が遅すぎるせいで治せないだけ)、症状の進行を抑制することが出来るものであるし、更に言うと、脳の使い方としての「生活習慣」の在り方を自分なりに創意工夫し、「前頭葉」が活性化するその「生活習慣」を継続することに因り、発病自体を予防することが出来るタイプの認知症であるというのが、私たち二段階方式独自の世界に類例のない考え方であり、主張なのです(疫学的に実証済みのもの)。治すことが出来ないとか、症状の進行を抑制できないとか主張している彼等は、単に、発病を見つけている段階が遅すぎるせいである(米国精神医学会が策定した「DSM-4」の第二要件の規定が失語や失認や失行の症状が初期症状であるとの規定内容自体が重大な誤りであることに気づかないでいて、大ボケの後半の段階になって初めて確認される極めて重度の症状であることを見逃していて、未だにその規定内容を信望している)ことについて、問題を提起しておきたいのです。猶、更に改訂された「DSM-5」の規定内容は、様々な要因を列記するだけのもので何の役にも立たないのです)。

(5)「アルツハイマー型認知症」の発病の有無の判定に際し、世界中の専門家とされる人達は、「前頭葉」の機能レベルというテーマに関心を持たないのです。アルツハイマー型認知症は、前頭葉の機能障害に起因して発病するものであり、例え「重度の記憶障害の症状」が確認されようとも、前頭葉の機能が正常な場合は、他の病気なのであり、その典型が、認知症と混同され、屡々誤診されている「側頭葉性健忘症」なのです。『意識的な世界』を構築し、統括し、管理し、コントロールしていて、意識の覚醒の度合いを支配している脳機能の要の機能である『注意の分配力』の機能についての知見に乏しいこと、就中、「注意の分配力」の機能の関与なしには、『実行機能=Executive Function 』の発揮も、発揮の度合いも顕現してこないこと、即ち、実行機能の機能発揮上の二重構造の存在についても無知なのです。これ等のテーマについての深く十分な理解なしには、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化が進行して行くメカニズムも機序も解明できないことに気づいていないのです。その結果、世界的に通説の地位にあるとはいえ、アミロイドベータ仮説を主導し、或いは、信望する研究者達は、未だに、注意の分配力の機能も、実行機能も、前頭葉の機能も備わってもいない、マウスを研究対象にしていて、相変わらず憶測ばかりしている有様なのです。

1つには、「前頭葉」という脳機能が備わっていない「マウス」を研究対象にしての憶測ばかりを行っているせいで、2つには、「記憶障害」に起因して症状が発現するとの重大な誤りの前提条件の下で、研究を続けているせいで、3つには、「認知機能の障害」を症状が発現する核心的な要因としつつも、肝心かなめの機能である『前頭葉』の機能レベルを客観的な手法で精緻に判定することが出来る手技を有しない為に「意識的な世界」における手足の働きをしているに過ぎない脳の後半領域の機能である左脳と右脳の働き具合をMMSE (我が国では、長谷川式を使用しているケースもある)という手技で判定するだけで、脳のリハビリの実施により症状を回復させる(治す)ことが可能である本当の意味での早期の段階である小ボケ及び中ボケの段階を見落としていて(小ボケ及び中ボケの段階が、存在していることにさえ気づいていない)、末期の段階であり、最早回復させることが困難である「大ボケ」の段階しか知らないで居て、自分達が無知であることにも気付かないでいて、『アルツハイマー型認知症は、一旦発病したら、最早治すことが出来ないタイプの認知症である』とする極めて重大な誤りの内容の情報を、未だに発信し続けているのです。

(6)その結果として我が国では、「介護の予防」を当面の政策課題と決定した政府大綱の第一条は、『アルツハイマー型認知症の発病原因、メカニズムについて、世界中の権威とされる人達が、未だに解明できていない現状に鑑み、発病自体の予防というテーマについては、当面、研究課題として位置づけ、国内の活動も含めて、関連する情報の収集に努める』と規定しているのです。『発病自体の予防並びに早期診断と早期治療による症状の回復』が、脇に置かれたままで居るせいで、単年度ベースで、【一般会計及び特別会計の総計で言うと】、『介護の費用』だけで総額10兆円を超えてきているのです。更には、(このことは余り公にされていないのですが)、『脳のリハビリ』の実施により回復させることが可能である本当の意味での『早期の段階』、「二段階方式」の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階が見落とされたままで居て、最早治すことが困難である末期の段階、「大ボケ」の段階で初めて発病と診断する不条理極まりない診断がまかり通っていて、更に、治療の効能を有していない、単なる「対症療法薬」(治療の効能は有していなくて、症状の発現の仕方を抑制し、或いは昂進させるだけのもの)の処方が、医療現場では実行されているのです。『アルツハイマー型認知症』は、『前頭葉の機能障害』に起因して発病する認知症なのであり(最初の段階である「小ボケ」の段階では、左脳も右脳も運動の脳も全てが正常な機能レベルに在る中で、脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』の機能だけが異常なレベルに在る)及び「4つの仮説」が発病の前提条件として想定している「記憶の障害」自体が、『前頭葉の機能障害』(廃用性の機能低下の進行が原因)の進行が原因であることは、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした症状である『三段階に区分される類型的な症状=14689例に及ぶ、小ボケ、中ボケ及び大ボケの発病患者の脳機能データが根拠』を確認すれば、容易に判別できることなのです。

(7)「アルツハイマー型認知症」については、発病のメカニズム、症状が重症化するメカニズム、症状の回復(治療)の可能性の有無及びその程度により、『三段階』に区分する症状の類型、症状を治し又は、進行を抑制する方法、更には、発病自体を予防する方法、「前頭葉」、実行機能と意識の機能構造、前頭葉が活性化するメカニズム、更には、『MMSE下位項目の項目困難度に関わる脳機能データ=「アルツハイマー型認知症」の発病者だけに確認されるものであり、下位項目が出来なくなっていく厳密な順番の存在のデータ』、『小ボケ及び中ボケの期間に関わる標準的な滞留期間の存在のデータ』、更には、前頭葉を含む脳全体の機能の老化の進行を左右する「生活習慣」要因の存在に関わる脳機能データ(脳の老化を加速させる生活習慣要因及び脳の老化の進行を抑制し、又は、回復させる生活習慣要因の存在に関わる脳機能データ)は、世界中を検索してみても、私たち「二段階方式」だけが、存在を主張し、独自のものとして、「事象の事実としての証拠データ」を有するものなのです。

(8)新型コロナに対する「感染回避策」としての『3密の回避』が全国的な規模で強く求められている生活状況(脳の使い方としての生活習慣)が、未だに継続している中で、実は、アルツハイマー型認知症の発病者(小ボケの段階)、症状の重症化の進行者(「小ボケ」の「お年寄り」は中ボケの前期に、「中ボケ」の前期の「お年寄り」は、中ボケの後期に、「中ボケ」の後期のお年寄りは、「大ボケ」の前期に、「大ボケ」の前期のお年寄りは、大ボケの後期に、症状の重症化が進行してきている)が驚くほど増加してきていることに、専門家とされる人達(学者や医師達)が、気づいていないのです。ワクチンの接種が行き渡ることにより、新型コロナ対策問題が、マスコミや野党からも取り上げられなくなる一方で、リーマンショック時を超えると予測されている我が国の景気の大減速に加えて、アルツハイマー型認知症の発病者及び介護が不可欠のものとなる末期の段階、二段階方式の区分で言う「大ボケ」の後半のお年寄りの数の激増という実態が明るみに出てくることとなり、「超高齢社会」を維持する上で不可欠のものである「介護保険制度」について、財政面からの「破綻の危機」が取りざたされるようになることを危惧し、問題提起しておきたいのです。それに対する対策は、介護保険料の値上げではないのです。『発病自体の予防』という極めて有効な対策方法が、実証により、示されているからです。

(9)ところで、認知症、特に『アルツハイマー型認知症』の発病者数は、我が国や米国などのような『超高齢社会』に到達している国々では、星の数ほどにも増えてきていて、介護に要する費用が天文学的な規模に上ってきているのを、御存じでしょうか。そのアルツハイマー型認知症の発病のメカニズムについては、世界的には、「4つの仮説」が提示されていて、未だに、発病との間の因果関係の存在を立証できないままで居るのです。あのハーバード大学さえも、我が国で言うと、東大や京大や理化学研究所までもが、アミロイドベータ説という仮説(4つの仮説の中では、支持する学者の数が一番多いという意味で、世界的に「通説」とされている)の信望者なのです。厚労省も、この「アミロイドベータ仮説」を支持する立場に立っていて、「政府大綱」で決定された介護の予防(「介護」が不可欠となるまでに症状が重くなるお年寄りの数を出来るだけ減らすことを目的とした市町村による活動)を目的とした市町村の取組の基本的な考え方として通達が出されているのが現状なのです。「介護の予防」に最も効果的であるはずの「発病自体の予防の取組」というテーマは、発病のメカニズムについて、世界的に未だに解明されていないので、将来の研究課題として脇に置いておくこととされているのです(政府大綱の第一条の規定を参照)。アミロイドベータ説やタウタンパク説が根拠にしている『記憶の障害』自体が、『前頭葉の機能障害』が原因で起きてくるものなのです。二つの仮説は、『因果関係に杜撰なだけでなくて、木を見て森を見ていない』憶測の類なのです。

&2  政府大綱が掲げる「介護の予防」に最も有効なのは『発病自体の予防

私たち「二段階方式」が提案しているのは、認知症全体の90%以上の割合を占めている「アルツハイマー型認知症」に特化した対策、『発病自体の予防と「小ボケ」からの回復』を第一義的な対策目標とし、『中ボケの前期、中ボケの後期については、介護の予防』を現行の制度下での対策目標とすることなのです。『発病自体の予防』というテーマは、市町村の健康づくり課等が、一次予防を担う主体となり、『介護の予防』という二次予防のテーマは、市町村の高齢支援課及び在宅介護支援センターが担うのが、最も望ましいものと考えるのです。

(1) 最も有効なのは、発病自体の予防(一次予防)です。「アルツハイマー型認知症」こそ、一次予防に最も適切なタイプの認知症なのです。①その本態が、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病であること、②発病の有無及び重症化区分の判定が、二段階方式という「神経心理機能テスト」の活用により、且つそれだけで、医行為が関わらなくて、何等の機器の使用が必要なくて、客観的で精緻なレベルで判定できるものであること、③「注意の分配力」の機能の出番が多くて、「前頭葉」が活性化する「脳の使い方」を予防教室(脳のイキイキ教室)で体験し、そこでの体験を日々の生活に取り込み、自分なりのテーマを選択し、目標を設定して、自分なりの楽しみ喜び生き甲斐が得られる『生活習慣』を創意工夫して構築し、継続して実践し、生活習慣化することに因り、発病自体を予防することが出来、④万一発病しても、「早期発見」と「脳のリハビリ」の実践により、回復させることが可能であるし、⑤重症化の進行を抑制して、進行のスピードを緩やかにすることに因り、介護が不可欠となる末期の段階、「大ボケ」の段階にまで症状が進行していく時期を先送りすることが出来るのです(一次予防である「発病自体の予防」の制度化により、「介護の予防」についても、より一層効果的に達成することが出来ることになる)。

(2) 予防教室(脳のイキイキ教室)の参加者に対しては、当該年度の予防教室の開始月と閉じる月の二回、予防教室に継続して参加者した個々の『お年寄り』の「脳のイキイキ度チェック」を「二段階方式」の手技による『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』を判定することに因り、当該期間中における『経時変化』の『脳機能データ』を集積していくのです。二段階方式の基準に基づいた判定結果は、「改善、維持、低下」の3種類に判定区分されることになります。

(3) 参加しているのは全員『高齢者』なので、『前頭葉』を含む脳全体の機能について、『加齢』に起因した機能低下が必ず進行していることになります。加えて、何かをキッカケにして、意欲を喪失したことで開始されることになるナイナイ尽くしの単調な生活習慣に陥っていた場合は、『廃用性の機能低下』が進行してきている「お年寄り」もいるはずなのです。当該年度の教室の開催の1年間という経過期間中に起きてきた変化、経時変化を判定するとき、①前頭葉を含む脳全体の機能レベルが改善しているケース、②維持されているケース及び③低下してきているケースの3種類に区分して判定することが出来るのです。当該判定については、「前頭葉」の機能レベル自体の変化及び左脳と右脳の機能レベルの変化を各々判定した上で、その総合的な評価が行われるのです。

厳密で客観的な要素に基づく定義に因る『判定基準』が設定されているのが、二段階方式の特徴なのです。「物忘れ」の程度や態様の変化を外観から観察するだけと言った、「記憶障害」の指標を基礎とする判定基準とは、判定基準の要素自体が異なるのです(その意味で、「MCI=軽度認知障害」なる判定基準の内容は余りにも曖昧であり、恣意的な結論が横行することになると危惧するのです)。MCIの基準を持ち出すだけで、その人は、『アルツハイマー型認知症については、無知な人』と言うしかないのです。

加えて、二段階方式の活用によれば、「前頭葉」の機能レベルの客観的で的確な判定が可能となるのであり、「アルツハイマー型認知症」の発病の有無及び回復させることが可能である本当の意味での早期の段階、「小ボケ」と「中ボケ」の段階にあるお年寄りを的確に判定することが出来るのです。「前頭葉」の機能レベルを客観的で、的確に、且つ、精緻なレベルで判定出来る手技は、世界中の専門機関を対象としてみても、現時点では、私たち「二段階方式」の手技の他には、何等の手技も開発されていないのです。

&3  『DSM』の規定内容の変遷と現状及び「MCIの基準」の問題点

1. 「アルツハイマー型認知症」の捉え方について、以下の変遷をたどってきた米国精神医学会が策定した『アルツハイマー型認知症』の診断基準である『DSM』における「診断基準の考え方」の概要は、以下の通りです。

(1) 『DSM-ⅢR 』

①記憶障害;②抽象的思考の障害、判断の障害、高次皮質機能障害、性格変化のうち1項目以上;③脳の器質的変化の存在が推測できること

(2) 『DSM-ⅣR 』

①記憶障害;②失語、失行、失認、実行機能障害のうち1項目以上

(3) 『DSM-5 』

複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚‐運動、社会的認知における低下のうち1項目以上

2.上記全ての版において、「認知機能低下」が日常生活に影響していることが含まれることが注記されていることに注意して下さい。

3.米国精神医学会が策定したものであり、世界的に権威があるとされている上記診断基準に依拠して、アルツハイマー型認知症を捉えていることに注意。

4.世界中の専門家達が、「DSM」の規程、特に、「DSM-4」の規程内容に、未だに強く影響されていることに注意して下さい。記憶障害に起因して発病し、「失語や失認や失行の症状」が「初期症状」であると誤解した儘なのです。

➡厚労省が掲げてきた「新オレンジプラン」の内容も、その後に発表された『政府大綱』が掲げる「介護の予防」の実施も、『記憶障害』を惹き起こす要因についての世界的な通説である「アミロイドベータ仮説」の主張内容が正しいものとして、想定されているものなのです。「アルツハイマー型認知症」の症状が、記憶障害に起因して発現するとの仮説も、失語や失認や失行の症状が初期症状であるとの憶測に基づいただけの規定も、更には、「アルツハイマー型認知症」の前駆的状態の判定基準であるとして提示されている『MCI』(軽度認知障害)の考え方と基準も、「全てが重大な誤りの内容」なのであり、客観的で、的確で、有効な判定の為の指標とはなり得ないことに、注意が必要なのです。

&4 「二段階方式」が解明し、実証した「アルツハイマー型認知症の正体」と特徴

 (1)アルツハイマー型認知症は、第二の人生を送る60歳を超えた年齢の「高齢者」だけが対象となり発病するものであり、『老年発症』が大きな特徴なのです。その根拠については次項で示しますが、我が国だけでなく、世界中の専門家とされる機関や人達が、未だに、この『重要な特徴』に気づいていないのです。

(2)発現する症状は、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクして、回復の可能性の有無及び程度により三段階に区分されるのです(「二段階方式」独自の区分である「小ボケ」、「中ボケ」及び「大ボケ」の三段階)。

(3)私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界」における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』が活性化する「生活習慣」の創意工夫と改善と継続的な実践により(早期診断と「脳のリハビリ」の継続的な実践)治すことが出来るし(症状からの回復)、「介護の予防」が可能であるし(「介護」が必要可欠となる末期の段階、「大ボケ」の段階に症状が進行する年数の抑制効果)、更には、「前頭葉」が活性化する『生活習慣』(「注意の分配力」の機能の出番が多くて「前頭葉」が活性化することになる「脳の使い方」としての生活習慣であり、食生活や糖尿病とは無関係)の創意工夫、構築と継続的な実践に因り「発病自体の予防」が出来るのです(疫学的方法により「二段階方式」が実証済み)。

&5 発病及び症状の重症化が進行するメカニズム(原因と機序)

(1)発病の「第一の要件」は、『加齢』に起因した脳機能の低下という要因の存在が基礎要因なのです。加齢に起因して、「前頭葉」が機能低下を進行させていくことについては、「正常老化の性質」と命名して、脳機能データを公開しています(NHKの人気番組である『チコちゃんに叱られる』にも取り上げられて、2018年9月に登場しました=「前頭葉の正常老化曲線」の図として登場)。

(2)発病の「第二の要件」は、ナイナイ尽くしの単調な『生活習慣』の継続に起因した脳機能の廃用性の機能低下という加重要因なのです。なお、ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」とは、左脳が専管する「仕事」とは無縁の日々を送ることになる「第二の人生」を送る上で繰り返される単調な暮らし方、『生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動もせず、目標となるものもない』日々の生活、「脳の使い方」としての単調な「生活習慣」のことを言います。

(3)加齢に起因した機能低下という基礎要因とナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」の継続に起因した廃用性の機能低下という加重要因の同時存在、即ち、「異なる二つの要因が同時に存在し、充足される」ことに因る『相乗効果』に因り、『前頭葉』を含む脳全体の機能が、廃用性の加速度的で異常な機能低下を進行させていくことに因り(「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてきたことに因り)発病し(小ボケ)、次いで、左脳、右脳、運動の脳が異常なレベルに衰えてくることに因り重症化が進行して行く(中ボケ、大ボケ)ことになるのです。

アルツハイマー型認知症』の発病については、小ボケ及び中ボケの段階の存在について、気が付いていなくて、末期の段階である「大ボケ」の段階、セルフケアにも支障が出てきて、日常の生活面での「介護が不可欠」となる段階で初めて発病と誤解しているのが、専門家とされる人達(学者、医師)なのです。

(4)これが、「発病及び重症化」が進行して行くメカニズム(原因と機序)であり、「前頭葉」を含む脳全体の機能レベルに厳密にリンクした三段階に区分される症状が発現して来るものなのです(私たち「二段階方式」独自の主張であり、北海道から九州に跨る全国的な展開、累計総数452の市町村において実践指導した「アルツハイマー型認知症の早期診断による回復、介護の予防及び発病自体の予防を明確な目的とした住民参加型地域予防活動」により、主張内容が正しいことを疫学的方法により実証し、発病の有無及び症状の段階区分の判定及び発病の予防、回復及び介護の予防を目的とした客観的で具体的な指導内容及び対応の核となる二段階方式の手技が極めて有効であることを実証)。

⇔現在その実態が消えてしまっているのは、①二段階方式の手技の活用を10年の経過で無償としたこと;②平成の大合併により導入していた小さな町や村が大きな市や町に吸収合併されて、業務の見直しと配置転換により消えていったこと;③高齢化率の進行に伴う「アルツハイマー型認知症」の発病者の増加対策として、オレンジプラン、新オレンジプランが、相次いで実施されていく状況の中で、新規導入先が出てこなくなったことが主たる理由なのです。

&6 発病と重症化が進行するメカニズムの簡単なチェック・ポイント

(1) 「アルツハイマー型認知症」は、器質的な原因病変は存在していないのです。

(2) 正常老化の性質により、加齢に起因した機能低下が進行してきていること、

言い換えると、60歳を超える年齢の高齢者であることが、「基礎要因」なのです。

(3)「第二の人生」を送る上での「脳の使い方」としての『生活習慣』という要因だけが、発病するか/しないか、重症化が進行するか/しないかを区分けている、「唯一の要因」(=「加重要因」)なのです。

①「左脳」が専管するテーマである「仕事」とは無縁の日々を送ることになる生活状況の下で、日々どのような「脳の使い方」が継続されているのかが問題。

②『実行機能』の発揮度を支配し、左右し、下支えている機能であり、「前頭葉」の三本柱と私たちが名づけている意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能(3つ以上の異なる複数の「テーマ」を、同時に並行して処理する上で不可欠の機能)の活用が少なくなるような脳の使い方、就中、注意の分配力の機能の出番が少ないと、「前頭葉」が活性化する場面が少なくなるのです。その結果として廃用性の機能低下が進行して行くことになるのです。

(4)仕事とは無縁の「第二の人生」を送る中で、自分なりの「テーマ」も、達成すべき「目標」もない生活、楽しみがない生活、喜びや生き甲斐とは無縁の日々を送るだけの暮らし方、『創意、工夫、シミュレーションの機能』の出番が極端に少ない「脳の使い方」としての生活習慣、即ち、意識的な世界の要であり、最も高度で不可欠の『注意の分配力』の機能の出番が少ないと、廃用性の機能低下が進行していくのです。『日々、時間は有り余るのに、することが無い毎日、ボケーッとした「暮らし方」をしていると、惚ける(『アルツハイマー型認知症』を発病する)』ことになるのです(発病のメカニズムは、極めて簡単なもの)。

➡ 食事をしたばかりなのにそのことさえも忘れる「重度の記憶障害の症状」にばかり目が行き、そのことから、器質的な原因病変を追い求め、アミロイドベータの蓄積に因る老人斑とか、タウタンパクの蓄積による神経原繊維変化が、情報を連絡する役割を担っている神経細胞の大量死を惹き起こし、記憶障害が惹起されることに因り発病するとの単なる憶測の類がまかり通っているのです。

(5) 発想、企画、計画、創意、工夫、検索、シミュレーション、比較、評価、決断、感動、抑制等の『実行機能』の出番が出来るだけ多くなるような、自分なりの実行『テーマ』の設定と達成すべき『目標』がある「暮らし方」(脳の使い方としての生活習慣)を構築し継続することが、症状の回復にも、介護の予防にも、発病自体の予防にも必要不可欠となる性質の認知症ということなのです。

➡ これを纏めて言うと、『前頭葉の機能障害』に起因して発病する訳なのです。前頭葉の機能障害を惹き起こす要因は、記憶障害ではなくて、廃用性の機能低下なのであり、廃用性の機能低下を惹き起こす要因は、「第二の人生」を送る上で営まれる単調な「生活習慣」の継続なのです(それだけのこと!)。

加齢に起因した脳機能低下の進行が基礎要因である為に、「第二の人生」を送っている「お年寄り」だけが「発病の対象」となるのであり、「若年性アルツハイマー型認知症」は実在しない、架空のものであり、側頭葉性健忘症(重度の記銘力障害と海馬の萎縮が特徴であり、脳の変性により発病する)や緩徐進行性失語症と混同し、誤診しているだけなのです。猶、若年発症が特徴である「アルツハイマー病」は、生まれつき特定の遺伝子に異常が存在する人だけを対象として発病するものであり、「アルツハイマー型認知症」とは全く異なる、性質の認知症なのであり、認知症全体に占める割合は、僅か1%程度に過ぎないのです(「1%」が「90%」を飲み込んでいるのです。何故?!)。

認知症ケアパス作成の手引きでは、「若年性認知症」の内の過半数を若年性アルツハイマー型認知症が占めると記述してありますが、専門の医師達までが、それほど多くの誤診を行っているということなのです。アルツハイマー型認知症のことも、側頭葉性健忘症のことも、知らない医師達が多すぎるのです。

(6) 症状の回復にも、重症化の進行の抑制にも(正常➡正常下限➡「小ボケ」➡中ボケの前期➡中ボケの後期➡大ボケの前期➡大ボケの後期)、『脳のリハビリ』という方法が、唯一の有効な対策となることを知っておいて頂きたいのです(「地中海料理」の摂取であれ、何であれ、「食生活」は、発病の予防とは、無関係なのです)。この場合、「脳のリハビリ」の効果が期待できるのは、中ボケの後期までのことであり、大ボケの段階になると、介護の途しかないのです

発病の最初の段階である『小ボケ』の段階で既に社会生活に支障が出てくるのです。発病を予防し及び小ボケを治すことは、『自分なりの追及すべきテーマと目標をもって、自分なりに社会生活を楽しみつつ、「第二の人生」を送ることが出来ること』を意味します。そのことで、行動の内容が深くなり、範囲が広がる為に、経済活動も含めて、『社会全体の活性化』、特に、高齢化が顕著に進行している「地方の地域の活性化」にも直結するのです。

⇔  厚労省が発表している「アルツハイマー型認知症」の発病者700万人と言うのは、発病の末期の段階である「大ボケ」の症状が発現して来ているお年寄りの数なのです。発病者には、「重度の記憶障害の症状」が確認されるべきとの誤った基準から『それらの症状が極めて重度の症状である』ことも知らないで、失語や失認や失行の症状の発現の確認を発病と判定する基準にしているせいで、「小ボケ」と「中ボケ」は発病とは考えられていないのです(その段階の存在さえ視野には無い)。我が国の「65歳以上の年齢のお年寄り」は、3600万人も居るのです。(介護の対象にはならない為に、専門家達にも知られないでいる)小ボケ中ボケとを併せた数が(介護保険の対象となるお年寄りで、介護の対象となっている)大ボケとほぼ同じ数と想定すると、3600万人の高齢者の内の4割相当は、惚けている、「アルツハイマー型認知症」を発病しているということになるのです。

 ボケないで居て、全てとは言わないまでも大半のお年寄りが、『第二の人生を、自分なりのテーマと目標をもって、自分なりにイキイキと生きていく』ようになれば、既に10兆円を超える天文学的な規模に膨れ上がっている『介護の費用』を劇的に減らせることが出来るだけでなくて、高齢化率が高い地方の活性化にもつながるのです。その為の手助けとなる政策、それが、二段階方式の国策化であると考え、問題を国民の皆さんに提起しているのです。すなわち、「介護の予防」を第一目標にするのではなくて、「発病自体の予防」を第一目標として制度化すべきなのです。

 &7 世界的に通説の地位にある「アミロイドベータ仮説」は破綻している

(1)このブログの(F-05)で言及したように、2021年1月19日発行のNewsweek日本版の署名入りの記事の内容では、これまでに、世界中の製薬会社が、「アミロイドベータ仮説」の考え方に依拠して、『アルツハイマー型認知症』の治療薬の開発に投与した金額の総計額は、約6000億ドル(日本円に換算すると65兆円)もの金額に上るとされているのです。然も、治療薬の開発(症状を治したり、症状の進行を遅らせたり、症状の発病自体を予防する効能を有すると認められる薬)が、ことごとく失敗に帰したというものなのです。ついでに問題を提起すると、本態が、廃用性症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病に過ぎないものである「アルツハイマー型認知症」については、治療薬(症状を回復させ、症状の進行を抑制し、或いは発病自体を予防する効能を有する薬のこと)が開発されることは、未来永劫、有り得ない事なのです。現在使用されている4種の薬は、治療の効能は有しないのであり、「対症療法薬」に過ぎないのです。➡(追伸)今回FDAが、新型の薬「アデュカヌマブ」について、『蓄積した「アミロイドベータの量を減らす効果を有することは認められるが、そのことは、「アルツハイマー型認知症」に対する治療効果が有ると認定するものではない」とする注釈付きでの発表を行った』のであり、我が国のマスコミが、『治療薬の開発』に成功したかのような見出しを付けて報道していることに惑わされないで頂きたいのです。「この薬に、治療効果が有る筈が無い」のです。開発のコンセプト自体が根本的に誤りだからなのです。何故なら、アミロイド・ベータの蓄積(老人斑の沈着をもたらす)と「アルツハイマー型認知症」の発病との間には、肝心要の要因である、因果関係自体が存在していないのですから。「記憶の障害が発病を惹き起こす」との想定自体が、単なる憶測であり、且つ重大な誤りなのですから。即ち、アミロイドベータの蓄積量を減らし、又は、蓄積を阻害しようとも、発病を予防したり、症状の進行を遅らせたり、或いは、症状を治す効果が認められる筈が無いのです。⇔廃用性の機能低下に起因した『前頭葉の機能障害』が、発病を惹き起こす真の原因なのですから。発病者の脳内からのアミロイドベータの除去、或いは、蓄積量を減らすことに因り、アルツハイマー型認知症の発病の予防、或いは、症状の進行を抑制する治療効果が有ると主張する製薬会社は、アミロイドベータの蓄積とアルツハイマー型認知症の発病及び症状の重症化の進行との間に厳密な意味での直接の及び唯一の因果関係が存在することを立証する社会的な責任があるはずなのです。

この薬が治療効果を有するか否かを正しく判定するには、この薬を投与した後の、その人の「前頭葉」の機能レベルがどのような経時変化をするのかを精緻に判定すべきなのです(『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの悪化と症状の重症化の進行とは厳密にリンクしているのがアルツハイマー型認知症の特徴なので、症状の進行を抑制する効果を有するのであれば、発病者が服用した後に、前頭葉を含む脳全体の機能レベルの悪化が抑制されるはずだから)。製薬会社自身が、この薬の効果を判定する上で、MCIの基準物忘れの症状の程度と態様を外観的に評価するだけの、極めて曖昧でいい加減な評価基準であり、前頭葉の機能レベルの判定が含まれていない)を持ち出しているのです。『MCI=軽度認知障害』なる基準の適用では、『アルツハイマー型認知症』の発病者であるか否か、更に言うと、症状の進行を抑制することが可能である早期の段階、二段階方式の区分で言う「小ボケ」及び「中ボケ」の段階であるのか否かを判定出来ないのです。それらの判定には、前頭葉の機能レベル、『前頭葉』を含む脳全体の機能レベルの精緻な判定が不可欠となるからなのです。認知機能障害の判定を要件とするとしながら、MMSEや長谷川式の活用による判定では、肝心の『前頭葉の機能レベルの判定が不可能』なのです。我が国で健康保険適用の対象にするに際しては、厚労省が、この点をキチンと評価し、決定すべきものなのです(対症療法薬でしかなかったアリセプトの二の舞にならない為にも)。未だに、アルツハイマー型認知症の発病及び症状の重症化が進行するメカニズム自体が不明であるとしながらも(この薬は、単なる仮説であり、未だに仮説でしかない=アミロイドベータの蓄積とアルツハイマー型認知症の発病との間の因果関係を立証できていないアミロイドベータ仮説を開発の根拠コンセプトにしている)、この薬に、発病自体の予防、或いは、症状の進行の抑制を含む治療効果が有ると主張する当該製薬会社に、根拠を聞いてみたいのです。

(2) 「アルツハイマー型認知症」研究の専門家の数はと言うと、世界中で言うと、星の数ほどいると考えられるのです。それでいて、未だに仮説の類が提唱されるだけで、『発病のメカニズム(原因)については、全く分からない、不明のものである』とされている理由は、どこに有るのでしょうか。『アルツハイマー型認知症というタイプの認知症は、私たち人間だけに特有なものである、意識的な世界が関わる認知症である』ことに、世界中の専門家達の内の誰一人として、このTadを除いては、全く気付いていないからなのです。『アルツハイマー型認知症の本態、発病のメカニズムに照らして、治療の効能を有する薬が開発されることは有り得ない事なのですから。

(3)「アミロイドベータ仮説」は、器質的な原因病変に因る「記憶障害」という要素が発病を惹き起こす原因であるとの想定(仮説)に基づいた考えであり、マウス(アミロイドベータを注入したアルツハイマーマウスを含む)の行動を研究する仮説なのですが、マウスには、「注意の分配力」の機能が備わっていなくて、意識的な世界における脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」という脳機能が備わっていないのです。言い換えると、『アルツハイマー型認知症は、記憶障害に起因して発病するものではなくて、意識の世界が関わる認知症なのであり、前頭葉の三本柱の機能の核心的な機能である注意の分配力の機能の廃用性の機能低下の進行及びそのことに起因した実行機能、就中、前頭葉の機能の廃用性の機能低下の進行に因り、その機能が異常なレベルにまで衰えてきていることが、発病及び症状の重症化が進行して行く「真の原因である」ことに、未だに気づいていない』ことが、致命傷なのです。

&8 「意識的な世界」と「アルツハイマー型認知症」の発病との関わり方

(1)自分が置かれている状況を分析し、理解し、判断して、為すべき「テーマ」を発想し、「テーマ」の実行内容及び実行の仕方を検索し、企画し、計画して、その実行結果について、洞察し、推理し、シミュレーションし、評価し、比較して、最終的な実行内容及び実行の仕方を抑制し、或いは選択して、その実行を決断し、実行の指令を脳の各部に発することになる、これが、意識的な世界における『実行機能』と総称される「個別認知機能」の発揮の工程表なのです。その各種テーマは、「意識的な世界」では、基本的に「常に複数存在」していて、異なる複数の意識(意識的な世界=覚醒の度合いがそれぞれに異なる意識状態)を構築し、管理し、コントロールしている脳機能が「注意の分配力」の機能なのです。「意欲」が下支えているのが、「注意の集中力」であり、「注意の集中力」が下支えているのが「注意の分配力」の機能と言う機能発揮上の視点で言うと、「階層的な機能構造の関係」にあるとTadは考えるのです。

(2)私たち人間だけに特有なものである「意識的な世界」では、実行機能と総称される個別認知機能の各発揮度を構築し、統合し、支配し、下支えて、管理し、コントロールしている脳機能が、私たち人間だけに特有な機能である「注意の分配力」という機能なのです。このことを言い換えると、個別認知機能(実行機能)の機能の発揮度と注意の分配力の機能との間には、機能発揮上の二重構造の関係が存在しているということなのです。即ち、「注意の分配力」の機能の発揮の度合いが、個別認知機能(=「実行機能」)の機能の発揮の度合いを左右し、管理し、コントロールし、下支えているということなのです。

(3)私たち人間だけに特有な世界である「意識的な世界(意識状態)」は、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能(以下、「前頭葉の三本柱の機能」と呼ぶことにします)を基礎機能としつつ、「評価の物差しの」機能及び「記憶の倉庫」の機能並びに「実行機能」及び「前頭葉の三本柱」の機能が有機的な関係下で協働して働くことに因り構築され、統合され、維持され、管理されている世界なのです。興味や関心の度合いの変化、前頭葉の三本柱の機能の発揮度の変化、更には新たなテーマの発想により、「評価の物差し」が別のテーマを選択させることになる、この働きの変化を含む機能構造体が、所謂、ホムンクルスの小人の正体ではないかとTadは考えているのです。「評価の物差し」の機能こそ、実行機能が働く上での最初の関門となることに、未だに誰一人として気づいていないのです。このことが、意識の機能構造解明の出発点となる要因であるにも拘わらず。

(4)私たち人間には、意識的な世界における脳全体の司令塔の役割を担っている『前頭葉』(「前頭葉の三本柱」の機能、実行機能、評価の物差しの機能、記憶の倉庫の機能が局在している脳機能部位=前頭前野)に加えて、デジタル情報の処理に特化した機能部位である「左脳」、アナログ情報の処理に特化した機能部位である「右脳」及び身体を動かす処理に特化した機能部位である「運動の脳」という『実行機能の手足の機能』があります。『意識的な世界』は、左脳、右脳及び運動の脳という三頭の馬が牽引する三頭立ての馬車の御者である『前頭葉』が運行を支配し、管理し、コントロールする世界と考えているのです。

猶、覚醒された『意識』については、基本的には、異なる複数の意識が構築されていて、並存しているものであり、加えて、それら各意識には、時間軸(時間の経過という変化)及び空間軸(空間の拡大及び縮小という変化)両要素が含まれているので、「意識状態」と考えるのがより適切であるというのが、Tad自身の考え方なのです。意識は一つしか存在していないとする主張が多くみられるのですが、たった1つの意識(意識状態)のみが存在するという状態は、実は、作り出すこと自体が極めて困難なものなのであり、相当の鍛錬が不可欠となるものなのです。複数の異なる意識同時並存を可能ならしめている脳機能こそが、『注意の分配力』の機能なのです。

(5)Tadは、意識に関する世界的に著名な学者の最新版著書「脳の大統一理論:カール・フリストン」、「意識はいつ生まれるのか:マルチェッロ・マッシイミーニ;ジュリオ・トノーニ」、「意識と脳:スタニスラス・ドウアンヌ」及び「予測する心:ヤコブ・ホーヴィー」を読み込んでみたのですが、残念なことに、どの著作も、最も肝心な脳機能である「評価の物差し」の機能の存在とその役割についての記述が無いのです。彼等の誰一人として、その存在に気づいてもいないのです。「意識的な世界」における「実行機能」の働きが起きてくるためには、まずもって、「評価の物差し」の機能が関わることが不可欠のものとなることにさえ、誰一人として気づいてもいないのです。更には、評価の物差しが働くにも、実行機能が機能を発揮する上でも、記憶の倉庫との照合が不可欠となることについても、もっと根源的な問題である『実行機能の発揮に関わる、前頭葉の三本柱の機能の関わり方(Tadが問題提起する実行機能の機能発揮上の二重構造の問題の存在)』についても、何等の説明がなされていないのです。

意識」の覚醒の度合いが一定レベル以上に在る状態下で、何らかの「認知」が惹起される為には、「評価の物差し」の機能が起動されることが前提条件となること及び認知の内容が同期し、同定される(=メタ認知)には、「記憶の倉庫」の機能との照合が不可欠となること等、「意識」を語る上で、或いは、「意識の機能構造」を説明する上で不可欠となるこれらの機能要素についての言及が全くないことに、Tadはただ驚くばかりなのです。猶、「評価の物差し」と「意識」との関わり方の詳細については、このブログの(B-10、11、12)及び(B-83)を参照して見て下さい。 

&9 現時点でも、世界的に独自の主張内容である「二段階方式」の概要

   意識的な行為の世界と実行機能によるその認知度及び機能の発揮度

意識的に何かの「テーマ」を実行する場面では、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、批判、想像、理解、了解、興味、関心、発想、連想、妄想、企画、計画、創意、工夫、予測、具象化、抽象化、シミュレー・ション、予見、比較、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断等、「前頭葉」の機能を構成している各種の高度な認知機能を正常に発揮する上で、一定レベル以上での「認知度」が確保されていることが不可欠となるのです。認知度が一定レベル以下だと、例示した「前頭葉」の各種個別の認知機能自体が必要なレベルで発揮されなくなるのです。そうした個別の認知機能によるその「認知度」の高さ或いは低さを左右しているのが、意欲、注意の集中力及び注意の分配力という「前頭葉の三本柱」の機能なのです(「認知度」と「発揮度」とがともに、「三本柱」の機能レベルと「リンク」している)。

「前頭葉」を中核の機能として、有機的な連携のもとに左脳や右脳や運動の脳も参加して、脳全体で何をどのように実行するのかを組み立てるには(実行すべきテーマをいくつか発想し、その中から1つを選択し、その実行内容を組み立てるには)、先立って且つ常に、必要な機能レベルでの「意欲」の継続的な発揮が不可欠になるのです。自分が現在置かれている状況と環境の判断をベースとして、様々な状況の変化を予測して考慮し、いく通りかのケース・シミュレーションを経た上で最終的な内容を決定し、実行に移すには、「注意の集中力」と「注意の分配力」の機能の継続的な発揮も必要になるのです。上述のようにその「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能の構成要素である個別の『実行機能』によるその認知度及び機能の発揮度を左右し、下支えする働きを担っていて、個別の「実行機能」を十分に発揮するに際しての「二重構造」の関係(私たちのネーミング)が存在しているのです。 

 

   『前頭葉の3本柱の機能』に内在する「正常老化の性質」

私たちが意識的に何かのテーマを思いつき実行しようとするときに、必要とされる各種の認知機能を発揮する上で、必要不可欠の機能である「前頭葉の三本柱」とも言うべき、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の機能には、『加齢』と共にその働きが衰えていくという「正常老化の性質」(私たちのネーミングです)が内在されているのです。私たちが世の中の専門家達に先駆けて発見したそのカーブの存在は、私たちが「二段階方式」に基づく「かなひろいテスト」と「MMSE」テストの実施結果及び廃用性の機能低下を進行させてきた原因であり、「キッカケ」を契機に開始され継続されてきたナイナイ尽くしの単調な生活習慣を内容とする『生活歴』の聞き取りの実施により集積した年齢別の脳機能レベルの推移を示す膨大な量の脳機能データにより証明されているのです(20歳代の内にピークを迎えて、その後は、緩やかではあるものの、下向きのカーブとなり、「第二の人生」の入り口ともなる60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢になると急速に下降するカーブを描いていくようになる)。

私達人間だけに特有な世界であり、DNAの99%が人間と同じとされるチンパンジーにも無い世界、「意識的な世界」における脳の司令塔は「前頭葉」であり、『加齢』の進行と共に、「前頭葉の三本柱の機能」(意欲、注意の集中力及び注意の分配力)、実行機能の働きが衰えていくという性質、「正常老化の性質」が、「前頭前野」に局在する脳機能全体に内在していることが、「アルツハイマー型認知症」の発病及び症状の重症化が進行して行く「メカニズム」及び「機序」を解明する上で、不可欠の視点となるのです。加齢による機能低下が基礎要因として存在していて及び仕事とは無縁の日々となる「第二の人生」を送る上で繰り返され、継続されるナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」に起因したものであり、加重要因である廃用性の機能低下の同時進行に起因した、「前頭葉の三本柱」の機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が、「評価の物差し」の機能、「記憶の倉庫」の機能及び「実行機能」の異常な機能低下の進行に波及する結果として、「総体」としての『前頭葉』機能の廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行が惹き起こされて、その直接的な反映が、『アルツハイマー型認知症』の発病及び三段階に区分される(小ボケ、中ボケ及び大ボケの三段階)症状の重症化の進行として発現して来るだけのものなのです。

猶、この「前頭葉」の正常老化曲線のカーブの傾きの度合いは、60歳を過ぎた高齢者と呼ばれる年齢になると、脳の使い方という視点からの「生活習慣」に大きく左右されるようになります。脳の後半領域の働きであり、「前頭葉」と協働して意識的な世界でのテーマを実行するための下部機構として機能している左脳、右脳及び運動の脳とのやり取りの中で処理される情報の質と量次第で、「前頭葉」の老化の曲線は、「緩やかに低下するカーブ」(正常な老化)を描き、或いは、「加速度的に低下するカーブ」(異常な老化)を描くことになるのです。

実態面に目を向けた時、「アルツハイマー型認知症」を発病するその対象が60歳を超える年齢の「高齢者」に限られていて、然も、70歳代、80歳代、90歳代、100歳代と高齢になるほど発症率が高くなっていく原因は、基礎要因としての「正常老化のカーブ」の存在にあるのです。

「働き盛りの50歳代で、アルツハイマー型認知症を発症する人達が増えてきている」などとマスコミが取り上げ騒ぐことがあるのですが、「アルツハイマー型認知症」を50歳代という「若い年齢で発症」するケースは皆無とは言わないまでも極めて稀なことなのです。「アルツハイマー型認知症で」はなくて、側頭葉性健忘症とか緩徐進行性失語とか緩徐進行性失行などの、「認知症と紛らわしい病気」であることを知らない(見抜く為の手技を持たない)医師達が誤診している結果に過ぎないのです。

本著作物「F-07」に掲載され、記載され、表現された内容に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所帰属しています。 

このブログ中の内容の一部を引用する際は、必ず、著作権法の規定に則って引用してくださるようお願いします(特に、医学会に身を置く人達に、お願いします)。 

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