kintyre's Diary 新館

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映画『ウィンターズ・ボーン』を観て

2011-11-14 16:44:24 | アメリカ映画 2011

11-74.ウィンターズ・ボーン
■原題:Winter's Bone
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:100分
■字幕:杉田朋子
■鑑賞日:11月13日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
■料金:1,800円
 

□監督・脚本:デブラ・グラニック
□製作・脚本:アン・ロッセリーニ
□撮影:マイケル・マクドノー
□編集:アフォンソ・ゴンサルヴェス
□美術:マーク・ホワイト
□衣装デザイン:レベッカ・ホファー
□音楽:ディコン・ハインクリフ

◆ジェニファー・ローレンス(リー)
◆ジョン・ホークス(ティアドロップ)
◆デイル・ディッキー(メラブ)
◆ギャレット・ディラハント(バスキン保安官)
◆ローレン・スィーツァー(ゲイル)
◆ケヴィン・ブレズナハン(リトル・アーサー)
◆シェリル・リー(エイプリル)
【この映画について】
サンダンス映画祭でグランプリ&脚本賞の2冠に輝き、アカデミー賞では作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の4部門でノミネートされた、インディペンデント映画界の意欲作。ダニエル・ウッドレルの同名小説を基に、ミズーリ州の山間部の村に住む17歳の少女が、家族を守るため父親を捜しに、そして真実を追い求めて旅をする。心のすさんだ大人たちから罵声を浴びようとも、暴力に打ちのめされようとも、くじけず、諦めず…本作でオスカーにノミネートされた新星、ジェニファー・ローレンスの凛々しい姿が観る者の心を打つ。本作が長編2作目となるデブラ・グラニック監督は、ミズーリ州でオールロケを行い、土着性、地域密着のリアリティを追求した画作りとなってる。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ミズーリ州南部のオザーク山脈に住む17歳の少女リーは、年少の弟と妹をかいがいしく世話し、その日暮らしの生活をどう切り盛りするかで頭がいっぱいだ。ドラッグ・ディーラーの父ジェサップは長らく不在で、辛い現実に耐えかねて精神のバランスを崩した母親は言葉を発することすらほとんどない。
そんなある日、リーは地元の保安官から、警察に逮捕され懲役刑を宣告されたジェサップが、自宅と土地を保釈金の担保にして失踪、もしこのまま翌週の裁判に彼が出廷しない場合、リーたちの家は没収されると聞かされる。
あてどない父親捜しを始めたリーは、何らかの手がかりを得ようと、親族や知人を訪ねることにする。だが薬物漬けの伯父ティアドロップは、リーを荒っぽく突き放す。父親の消息をタブー視する村人たちの過剰な反応ぶり、そして秘密を隠し持っているかのような態度にリーは不審を抱く。

そんなとき親友ゲイルの協力を得たリーは、州境のバーに足を踏み入れる。そこで父親の元愛人エイプリルと対面した彼女は、父親が深刻なトラブルに巻き込まれたらしいとの目撃証言を得る。さらにティアドロップが重い口を開き、もう父親はこの世にいないことを仄めかしてくる。
やがて裁判の当日、ジェサップはやはり姿を見せなかった。リーのもとにやってきた保釈保証人は、冷酷にも一週間以内に家を出て行くようにと告げる。何とか自宅の没収だけは免れたいリーに残された唯一の手段は、既に父親が死亡したという証拠を見つけ出し、保釈保証人に手渡すことだった。

どうやら父親はこの地域の掟に背いた報いを受け、何者かに殺されたらしい。リーは全ての真相を知っているであろうミルトン一族の長老への直談判を試みるが、一族が封印しようとしている父親の謎をこれ以上ほじくり返すことは、彼らの逆鱗に触れる行為だった。
案の定、ミルトン一族の女たちに拉致されたリーは、凄まじいリンチを受ける。そんな絶体絶命のリーを助け出したのは、意外にもティアドロップだった。命は救われたものの、もはやリーは家族とともに家を立ち退くしかなかった。だがリーの切なる思いが通じたのか、予期せぬ人物が彼女の前に現れる……。

アメリカの閉鎖的な田舎町でのとある一家を巡る話しで、一族の掟を破った父を捜す娘リーの逞しさが魅力な映画。リーの母親は父失踪以来精神的に病んでしまい全く何の役にも立たない。となると17歳で年長のリーが否が応でも何とかしないと一家はホームレス状態を強いられるから、さあ大変。
本当は父の一家が救助の手を差し伸べるべきなのだろうが、そんな日本的な考えはこの地区の一家には通じないばかりか、逆に何の役にも立たず17歳のリーは八方塞。でも、このリーはやはり行動的でしっかりしている。
リーは自分の身に何かがあった時の為にと、空いている時間を利用して散弾銃での狩猟方法を伝授する。更に、彼女自身が軍隊への入隊を志望する場面が中盤に登場するのだが、それは入隊すれば纏まったお金がもらえる、と知っていてそのお金を頼りにしようとするものの面接官に相手にされず入隊も出来ず途方に暮れる。
結局、父の消息は当初は冷たかったティアドロップのおかげで、寒い池の中から死体が発見され父親が死亡したことが分かったおかげで、何とか自宅を没収されずに終わったので、まあ一応ハッピーエンド。なのでしょうが、それはあくまでも当面の危機を乗り切っただけで、精神を病んだ母親や若い弟妹の成長を見守らなければならないリーに取っての試練はまだまだこれからで、そういう意味ではハッピーエンドとは程遠いな。

リーを演じているジェニファー・ローレンスは現在は21歳だが、若さを前面に出した美貌派でも肉体派女優のどちらでもないが、この若さで既に成熟した演技を見せている。ストーリー展開上、その必死さが伝わってくる演技は見事である。
撮影は殆どがミズーリ州でのロケ映像で、重苦しいストーリーとバックに流れる音楽も含めて見事にマッチしていた点も見逃せない。


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