bunkamuraザ・ミュージアムにて2011/12/23から開催されている「フェルメールからのラブレター展」(Communication:Visualizing The Human Connection In The Age Of Vermeer)を昨日、休暇を申請して観に行きました。
この展示会の目玉は何と言ってもタイトルにあるようにヨハネス・フェルメールの作品が3点も出展されていることです。フェルメールの現存する30数点の作品の中でも、日常生活に密やかなドラマをもたらす手紙のテーマは、彼の作品の中でも2割近くを占めている。
今回出展されたフェルメール3作品は:
①手紙を読む青衣の女(制作:1663-64年頃)アムステルダム国立美術館所蔵
②手紙を書く女(制作:1665年頃)ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵
③手紙を書く女と召使い(制作:1670年頃)ダブリン、アイルランド国立絵画館所蔵
Ⅰ.人々のやりとり-しぐさ、視線、表情(Personal Relationships:Gestures,Glances and Facial Expressions)
ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらを中心に11作品を展示。仕事や余暇を楽しむ民衆の姿を描いているが、その多くが、オランダの諺や格言、道徳的なメッセージを示唆している。画家らが描いた場面はアトリエで考案されたものであるとされている。
Ⅱ.家族の絆、家族の空間(Familian Ties,Family Members)
ここでも前述のデ・ホーホやステーンらを中心に11作品を展示。描かれている家族の肖像画の中には女性達の家事の様子を描いたものが目立つ。一部には召使いと女主人のやり取りを描いたものもあるが、当時の家庭で召使いがいたのは1~2割程度とされている。
Ⅲ.手紙を通したコミュニケーション(Personal Communications Through Letters)
ここでフェルメールの3作品を含めて8作品が展示されている。今でこそe-mailがコミュニケーションの主要手段であるが、やはりこの時代におけるオランダはヨーロッパでも識字率が高く手紙のやり取りが急速に発達した時代であり、そんな中で手紙は個人の気持ちや強い感情を伝える手段としては最適だった。
フェルメール作品では手紙を読んだり、書いたりする若い女性の物思いに沈む美しい姿を描いている。「手紙を書く女と召使い」では手紙を感情に任せて書く女主人を急かすように背後に立っている召使いの表情がユニークだ。どの作品もフェルメールらしい背景、色遣い、構図、表情が見事に描かれている。
「手紙を読む青衣の女」は作品の修復が2年ほどかけて終了したばかりで、世界に先駆けて修復されて見事に蘇った作品が今回日本で公開されています。会場ではその修復の過程がパネルで詳しく紹介されていました。
Ⅳ.職業上の、あるいは学術的コミュニケーション(Professional/Scholary Communication)
オランダでは当時高い識字率を誇っていたが、それらを支えていたのは弁護士や公証人、著述業などが、商売に関わるコミュニケーションや経営の手助けをした。
ここではヤン・リーフェンス、ヘリット・ダウらの11作品が展示されているが、中でもリーフェンスの「机に向かう簿記係」のモデルとなっている老人の表情やひげの描写は秀逸で、今まで観た作品の中で一番印象に残ったひげです(笑)。
先ほどブラブラ美術館でこの展覧会をやってましたね。
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