先日、DREAM16がやっていた。
対戦カードは、結構、充実していたはずだが、なんともスッキリしない試合が多く、この辺がPRIDEと比べて地味に感じる部分なのだろう。
視聴率もとれないからか、TV放送も少ない・・。
ライト級で”クラッシャー”の異名をもつ川尻達也を破った自他ともに認めるDREAMのエース、青木真也はマーカス・アウレリオを終始圧倒するも、決めきれず、判定勝ち。
41歳で現役続行中の桜庭和志は、いいトコロなくジェイソン”メイヘム”ミラーの肩固めで秒殺・・。
ワンパンチでチェイス・ビービをKOし、フェザー級タイトルマッチ進出を決めた”伝説の喧嘩師”、高谷裕之の試合はよかった。
ケンカに明け暮れ、父親から「おまえはゴミみたいな奴だ」と言われたコトもある元ヤンキーが、タイトルマッチには会場に来る・・という父の約束と、新しく生まれた命をモチベーションにして、もぎとった価値ある1勝だった。
去年の大晦日以来、9ヶ月ぶりに日本のリングで戦った石井慧は、ミノワマンを判定で下すも、打撃に課題が残るとK-1出場を希望、ピーター・アーツとの対戦を要求した。
実現すれば、これも面白いカードだ。
さて、メインのライトヘビー級タイトルマッチを制し、見事2階級制覇を成し遂げたゲガール・ムサシは、かつてK-1で戦ったコトもある、立ってよし、寝てよしのトップ・ファイターで、最も”世界最強”に近いといわれる男の1人。
惜しくも(?)負けてしまった対戦相手の水野竜也は、脱サラしてプロ格闘家に転向したという変り種の脱サラ・ファイターだ。
しかし、7月のDREAM15では、今回のタイトルマッチの挑戦権をかけ、メルヴィン・マヌーフと対戦、1Rにアームロックを決めて勝ち上がってきた実力の持ち主である。
かつて水野は、会社を辞めた2ヶ月後に、当時、ヒョードルと並び、最強の呼び声高かったトップ・ファイターのミルコ・クロコップとの対戦に自ら名乗りをあげ、ボコボコにされたとゆー戦歴をもつ。
その時、ボコボコにされる旦那を見ていた水野の奥さんは、
「人って、こうやって殺されるんだなぁ・・」
・・と思ったという。
「明日死んじゃうかもしれないし、体が動かなくなっちゃうかもしれないけど、絶対私が最後まで面倒みるし、一緒に生きる!」
プロ格闘家に転向した時から、たとえ、夫が死んだとしても、後悔のないように生きる―それが私にとっての覚悟・・そう言い切る妻に支えられ、二人三脚でこの試合に臨んだ。
しかし、世界のカベは厚く、あえなく玉砕・・。
スポットライトを浴び、リングの上で一瞬、輝く格闘家。
勝者は敗者の、その一瞬の輝きさえ奪ってしまう・・。
しかし、当り前のコトではあるが、勝者にも敗者にも、その1人1人に人生があり、愛する家族があり、ドラマがある。
―とはいえ、プロたる者、お金をもらって試合をしている選手である以上、試合の勝敗が、その人生の明暗を分けるのは、まぎれもない事実・・。
見る者は、シビアに「しょっぱい試合」・・などと無責任に言うが、しかし、それがプロってもんなんだよなぁ・・。
うーん・・それにしても、正直、フラストレーションたまる試合が多かった・・。