「国民の皆さん!
私は今日、厳粛な思いで任務を前にし、皆さんの信頼に感謝し、我々の祖先が払った犠牲を心にとめて、この場に立っている。
・・(中略)
我々の多様な出自は強みであり、弱みではない。
キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、そして無宗教者の国だ。地球上の津々浦々から来たあらゆる言語と文化で形作られている。
内戦(南北戦争)や人種差別という苦い経験もしたが、その暗い時代をへて、我々はより強くなり、きずなも深くなった。
かつての憎しみはいずれ消え、我々を分け隔てた壁はいずれ消える。
世界が小さくなるにつれ、我々が共通に持つ人類愛が出現する。
そしてアメリカは平和の時代をもたらす役割を果たさねばならない。
・・(中略)
我々の試練は新しいのかもしれない。
それに立ち向かうための道具も、新しいかもしれない。
我々が成功するかどうかは、労働と誠実さ、勇気、フェアプレー、忍耐、好奇心、忠誠心や愛国心にかかっている。
古くから言われていることだ。
だが、真実だ。
それは歴史を進歩させた静かな力だった。
今求められているのは、こうした真理への回帰だ。
責任を果たすべき新たな時代だ。
・・(中略)
なぜ男性も女性も子供たちも、どのような人種、宗教の人々も、こうして就任式に集まることができるのか。
なぜ約60年前なら地元のレストランで給仕されなかった可能性のある男の息子が、こうして皆さんの前で宣誓式に臨むことができるのか。
これこそが、我々の自由、我々の信条の意味なのだ。
我々が誰なのか、我々がどれほど遠くまで旅してきたか。
今日という日を、それを記憶に刻む日にしよう。
・・(中略)
将来、我々の子孫に言われるようにしよう。
試練にさらされた時に我々は旅を終わらせることを拒み、たじろぐことも後戻りすることもしなかったということを。
我々は地平線と注がれる神の愛を見つめ、自由という偉大な贈り物を前に送り出し、それを次世代に無事に届けたのだ、ということを!」
(2009・1・20就任演説より抜粋)
アメリカ初の黒人大統領の就任式には米史上最多、200万人の聴衆が集まった。
Change!Yes、We can!