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自然の中で見つけたステキなモノ

平戸教会めぐり

2009年09月10日 | 長崎県北部のお話

川内峠で平戸の自然を満喫した後は、平戸の教会を巡ることに。目指す教会は、平戸教会宝亀(ほうき)教会、そして紐差(ひもさし)教会。まずは平戸のキリスト教の歴史を語る上では欠かせない南蛮貿易の歴史を少しだけご紹介しましょう。

1550年 ポルトガルの貿易船が初めて入港
       聖サンフランシスコ・ザビエルが平戸でキリスト教(カトリック)を布教

1580年 スペインの貿易船が入港

1609年 オランダが商館を設置

1613年 イギリスが商館を設置

1641年 オランダ商館が長崎へ移転
       平戸の南蛮貿易終了

今ではなかなか想像できませんが、当時の平戸には外国商館が立ち並び、たくさんの外国人が居留していたようです。平戸におけるキリスト教の歴史はおよそ460年前にさかのぼりますが、1873年(明治6年)に禁教令が解かれるまでは弾圧と潜伏の歴史があり、平戸や生月の信仰は次第に隠れキリシタン信仰へと変容していったのだそうです。これから紹介する教会は、弾圧を乗り越えてきた信者さんたちの強い思いによって建立された大切な祈りの場所なのです。

まず最初に訪れたのはカトリック平戸教会。1931年(昭和6年)に設立され、40周年を迎えた1971年(昭和46年)には、聖サンフランシスコ・ザビエルが3度訪れたことを記念して聖サンフランシスコ・ザビエルの像が聖堂の傍に建立され、それ以降『聖サンフランシスコ・ザビエル記念教会』とも呼ばれているそうです。外観はゴシック様式、中は美しいリブ・ヴォールド天井で、荘厳な雰囲気が漂っています

この平戸教会は入り口までしか入ることはできません。近年見学者の数が増え、中には大変マナーの悪い方もいると聞いています。教会を見学するときは決して大声を出したりゴミを残したりせず、きちんとマナーを守るようにしたいものです。

次に訪れたのはレンガ造りで瓦葺のちょっと珍しい宝亀教会。1898年(明治31年)に建立され、翌年に紐差教会から分離・独立した教会で、世界遺産暫定リストに決まった『長崎の教会群とキリスト教関連遺産』を構成する教会の1つです。

 

この教会の最大の特徴は教会の両サイドにベランダがあること。これは珍しい 今までたくさんの教会を見てきましたが、このような造りは初めてです

ベランダへの出入り口も兼ねている大きな窓は床面まで達し、教会の中は外から差し込む光で満たされています。こじんまりとした小さな教会ですが、装飾がとてもカラフルで、天井から吊り下げられた照明も可愛らしく、優しい印象を受けました

最後に訪れたのは紐差教会。この教会は、長崎市の旧浦上天主堂が原爆の被害を受け、新たに建てられるまでの間、日本で最も大きな教会と言われていたそうです。確かに近くで見るとなかなか大きいです

1929年(昭和4年)に五島の教会も多く手がけている鉄川与助によって造られた鉄筋コンクリート造りのこの教会は、外観はロマネスク様式で、日本最大級とあって内部も立派 天井が高いのでますます空間が広く感じられます

大きなステンドグラスからは色とりどりの光が差し込み、それが教会の床に映ってとてもきれいでした なんか天使が舞い降りてきそうだなぁ~

教会の裏にある『十字架山』にはたくさんの十字架が立ち並び、それぞれにキリストの歴史が刻まれていました。ゴルゴタの丘をイメージしているのかな?

建物だけを見れば完全に洋の雰囲気ですが、教会の周囲に植栽されている樹木はきれいに剪定され、和の雰囲気を漂わせています。完全に西洋のものではなく、日本の文化とうまく融合しているところが長崎の教会群のステキなところ。皆さんも平戸を訪れた際にはぜひ教会めぐりもしてみてください。ただし、どの教会も現役で、今も信者さんたちの大切な祈りの場となっているので、見学するときはくれぐれもお静かにお願いします

次回は生月に渡ります