I Love Nature

自然の中で見つけたステキなモノ

レンゲソウ Renge-sou

2006年04月13日 | 植物のお話

               岐宿町で見つけたレンゲソウ

福江島の北東部にある岐宿町をドライブしているとよく見かけるのがこのレンゲ畑。一面ピンク色に染まったレンゲ畑を見ていると、幼い頃友達とレンゲソウで花冠を作って遊んだことを思い出します

              

春になるとよく見かけたこの風景、最近なかなか見なくなったと思いません?
ご存じかも知れませんが、実はこのレンゲ畑、自然にできるものではありません。レンゲソウはもともとは中国原産で、明治末期から水田などの緑肥用に導入されたもの。緑肥とは、なにか植物を育て、それを土に返して肥料にするという昔からある方法で、もうちょっと詳しく言うと、レンゲソウの根に付く根粒菌が空気中の窒素を取り込み、それが土や作物の栄養分となるわけです。緑肥作物には他にもアブラナやクローバーなどがありますが、レンゲソウはタンパク質も多く、家畜の餌としても利用されていたとか。

見て美しく、肥料となり、さらには家畜の餌となる。

レンゲソウはまさに一石三鳥のステキな植物なのです

      

近年めっきりその姿を見なくなってしまったのは、多くの農家が化学肥料に頼るようになったからです。化学肥料は決して体に悪いものではありません。速効性があり、生産性も高く、人口がこれだけ増えてしまった今、化学肥料は農業に欠かせないものであると言えるでしょう。しかし使いすぎると土が固くなって作物が根を張れなくなってしまったり、地下水や川に栄養分が流れ込んで(富栄養化)魚が住めなくなったりしてしまいます。一方、草木や家畜の糞を腐らせた堆肥やレンゲソウのような緑肥は、土の中で微生物に分解されてから養分となるため、速効性はありませんが、土を柔らかくし、土の保水性を高めてくれます。このような性質の肥料を有機肥料といいます。「有機栽培」といえば体にいいと思いがちですが、実は化学肥料のようにはっきりとした基準がないため、調整不十分な有機肥料を使うと逆に危険なのだそうです。

                

化学肥料の良さと有機肥料の良さを生かし、この二つの肥料をバランス良く使えば、 作物も健全に育つし、環境にも優しい農業ができる。そして、人々が毎年この素晴らしい風景に感動することで、人の心も豊かになる。

農業ド素人の私が言うのもおこがましいですが、この提案いかがでしょう?口で言うほど簡単なことではないとは思いますが、近年緑肥が見直されてきているのは確かなようです。また少しずつでもレンゲ畑が増えていくといいなぁ毎年レンゲ畑を見て育ってきた私としては、次の世代の子どもたちにもこのステキなお花畑を見せてあげたいです