怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる」浜崎智仁

2015-01-07 21:11:16 | 
本の題名につられてついつい読んでしまいました。

健康診断ではいつも肝機能と並んで高脂血症とマークされていましたが、そもそも基準値が変わる変わらないとかで議論があって、検診の数字が多少高値でもそこそこのところで安定していれば、まあいいかと思っていた身としてはわが意を得たりです。
基準値でいえば今では総コレステロールは考慮せずに、LDL―コレステロール値とHDL―コレステロール値に中性脂肪の値で見るので高いばかりがいけないのではなくなり「高脂血症」と言わずに「脂質異常症」というのだとか。
この本によればコレステロールに関する死亡率に研究では、コレステロール値が低いほうが死亡率が高く、コレステロール値が高いからと言って有意に死亡率が上がるわけではないとか。コレステロール値が高いほうが心疾患で死亡する率は高くても全体の死亡率は低い結果なのです。脂質異常に対して標準療法で出される薬も有効性がきちんと実証されていないとか食事療法も逆効果と言われると、なんだったのかとなります。
コレステロールは血液粘度とほとんど関係ないし、動脈硬化や急性心筋梗塞の危険因子は高い順に年齢、性差(男性が多い)、遺伝、魚を食べない食生活、ストレス、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満と続き、その後にやっとコレステロールが出てくるとか。
そもそもコレステロールは人体に必須のものであって、高コレステロール血症のほうが感染症に対して強く、胃腸や肝臓はしっかりしていて、うつ病にもなりにくい。免疫機能も高いので癌にもなりにくいから結果として死亡率も低くなる。長生きできるのです。
う~ん、誰だ、脂質異常を悪の権化のように言う奴は。
思うに特定の疾患については因果関係がすっきりしていても、全体の死亡率との因果関係が明確でないので、その点はスルーしているのではないでしょうか。病人扱いして薬を出していれば医者も製薬会社もハッピーだからね。
健康診断などでは、脂質異常で引っかかる人がかなりいるのですが、そもそも我が国の平均寿命を考えると国民の何割かが異常とかいう基準は間違っているのではというのが私の素朴な疑問です。そんなに要医療の人ばかりのいる国の平均寿命が世界一なんて言うのは冗談としか思えません。
ちなみに別の高血圧についての本(高血圧は薬で下げるな)では血圧についても年齢を考慮せずに基準で機械的に判断して、すぐに降圧剤を出すのは医療費の無駄使いばかりか健康にも悪いとか、これもわが意を得たりです。

ところでこの本のコラムに書いてあるのですが、ネズミの実験では自由に食べさせた場合と比べて、エネルギー摂取量を半分近くに減らすと寿命が延びるという有名な実験があるのですが、そこから長寿のためには腹八分目ということをよく言われます。
動物には脳科学の成果によると未来を考える部位が発達していないので未来を考えることができないとか。そのため餌があれば本当に腹いっぱいになるまで食べることをやめません。自然界では今度いつ食べられるかわからないために限界まで食べてしまうのです。
一方、人間は未来への思考能力があります。毎日食事をきちんととると考えているので1回位の食事に物理的な満腹までは食べない。無意識のうちに自然に食事制限をして腹八分目にしている。これ以上に食事制限を多少厳しくしても寿命は延びないのだろう。
動物実験の結果を当てはめるのはどうだろう。加えて実験動物はほぼ無菌状態にあり感染症の脅威からは免れている。高コレステロールのほうが感染症に対して抵抗力があるとすると動物実験の結果はまた違ってくるかもしれない。
この本では脂質異常で出される薬がほとんど意味がないとというかかえって有害とまで言っていますが、いったい薬に審査はどうなっているのでしょう。効果のエビデンスを確認して認可しているのではないのでしょうか。国民医療費はどんどん増大していますが、ここらにメスを入れないと際限ありません。
さらに、栄養指導の間違いもめった切りしているのですが、著者の基本は「人類が誕生して以来食べてきたもので農業が発達する以前に食べてきたものを食べればいい。」です。リノール酸とかトランス脂肪酸は体に悪いし、それらを含んだ植物油とかマーガリンはとらないほうがいい。どうすればいいかというと低炭水化物食にすること。お米、パン、麺類、イモ類、ケーキやお菓子は減らす。果物もたくさん食べない。要は炭水化物は摂らないようにする。あまり厳密にすると続かないので1週間に1度は羽目を外してもいいよ。肥満の解消には低脂肪・カロリー制限職よりも低炭水化物食のほうがよほど有効なのだそうです。魚を食べて少しの野菜があれば十分とか。
そもそも内臓脂肪にも重要な機能はあるのだし、美人の基準も太めのほうが好まれていた。痩せたほうが美人という基準は20世紀になって服をたくさん売るための商業主義の影響で、行き過ぎたダイエット志向、そこに一役買っているのが「太っていると健康的でない」という概念、著者もここまで言うとちょっと言いすぎかなというか自分がぽっちゃり系が好きという偏見かと思いますが、それはそれとしてデータも豊富で説得力があります。
ひとまず脂質異常も大したことなく安定しているので医者には掛からないようにします。

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