長い題名です。
遺伝について分かりやすく書いてあって、知的好奇心を満たされた本です。
ゲノムと遺伝子とDNAとよく聞きますけど、みんな同じ事を言ってるのかと違いがよく理解できていませんでした。
ゲノムとは体の設計図と言えるもので細胞のほぼすべて(例外は赤血球)に1セットずつ入っている。遺伝子はゲノムの設計図の中にある「文」でたんぱく質を作ると言う指令を出すもの。DNAは文字が並んだもので、二重らせんと塩基配列は高校の生物で習ったような。
塩基配列の様々な変化を遺伝子変異と言い、集団の中で100人に1人以上の割合で現れた遺伝子変異のことを遺伝子多型といい親から子に受け継がれる。たった1個の塩基の違いで体質の違いを生むことがあり、これを1塩基多型(SNP)と呼ぶ。犬のゲノムは犬種を問わず同じなのですが、SNPの違いによるそうです。
因みに遺伝子のゲノム全体に占める割合は約1・5%。でも残りの98・5%はごみDNAと言われていましたが、遺伝子の活動をコントロールしており、たんぱく質を作らせていないけど他の形で大切な働きをしている。1個の細胞に含まれるゲノム1セット分のDNAをすべてつなぎ合わせると2メートル近い長さになる。
近年ゲノム解析が急速に進んできたが、人と人との間の差はわずか0.1%。重要なのは、ゲノムのどこが違うか。
ところで一卵性双生児は全く同じゲノムなのですが、同じ病気になるとは限らない。遺伝子にはそれぞれにスイッチがついていて、いつオンオフになるのかによって遺伝子の働きが変わってくる。スイッチの状態が違うと体の特性も異なる。こうして遺伝子の働きが変わることは「エピジェネティクス変異」と呼びます。
病気のなりやすさは41ページ図1ー4にあるように①親から受け継いだ遺伝子多型とエピジェネディクス変異に加えて②生後に起きた遺伝子変異と③生後に起きたエピジェネティクス変異によって引き起こされる。
日本人は長い間に受け継がれてきた遺伝子多型とエピジェネティクス変異により「酒に弱くなる方向に進化」している。へえ?ですがそれは稲作文化の仕業。詳しくは読んでみてください。他にもいろいろな例が紹介されていますけど、それぞれの気候風土に即した感染症の脅威などから如何に体を防御するのかで体質は違う方向へ進化し、人種とか民族の違いが出来てきたみたいです。
生後成長していく過程での遺伝子変異とエピジェネティクス変異によっても病気のなりやすさも異なってきますが、そこには生活習慣とか栄養状況、ストレスとかも大きく関わってきます。一卵性双生児でも揃って同じ病気になる確率が40%を超えていたのはバセドウ病と自己免疫性甲状腺疾患と気管支喘息だけ。ゲノムだけではすべては分からない!
遺伝だけで100%決まる病気はごくわずかで、大部分の病気は遺伝による「なりやすさ」を下地にして、生活習慣と環境による遺伝子の変化が加わることで発生するのです。
日本人の遺伝的体質から考えて、酒は1日エチルアルコール20グラム、禁煙して、運動は週23メッツ・時、食物繊維と魚をたくさん食べて脂肪を摂りすぎない。日本人の栄養摂取バランスが最も優れていたのは1980年前後の食事とか。その頃私はまだまだ30歳前なので毎日仕事が終わるとつるんで飲み歩くヤクザな日々で、栄養摂取バランスはめちゃめちゃだったけど…
遺伝子関係なくよく言われていることばかりですけど、わかっちゃいるけどやめられないのをどうしたもんじゃろの~
ところで遺伝子のスイッチは不可逆的でいったんスイッチが入ると後でスイッチを切り替えることは出来ないのですが、IPS細胞は、特殊な処理を施すことによって遺伝子のスイッチを解除して、様々な組織や臓器に変化しうる多能性を与えたものです。
とにかく新書1冊に詰まった情報量は多くてスカスカ頭の私には要約しきれませんけど、興味を持った方は是非一度読んでみてください。
一緒に写っているのは池井戸潤の「民王」。異常な暑い日が続いてエアコンの効いた部屋で時間つぶしに読むには最適です。
設定は荒唐無稽ですが、漢字の読めない麻生総理とか泥酔会見の中川大臣を彷彿させられて、そう言えば昔そんなことがあったよねと笑ってしまいました。もう少し現実味のある設定に出来るともっとよかったんですけど、ちょっと無理か…
遺伝について分かりやすく書いてあって、知的好奇心を満たされた本です。
ゲノムと遺伝子とDNAとよく聞きますけど、みんな同じ事を言ってるのかと違いがよく理解できていませんでした。
ゲノムとは体の設計図と言えるもので細胞のほぼすべて(例外は赤血球)に1セットずつ入っている。遺伝子はゲノムの設計図の中にある「文」でたんぱく質を作ると言う指令を出すもの。DNAは文字が並んだもので、二重らせんと塩基配列は高校の生物で習ったような。
塩基配列の様々な変化を遺伝子変異と言い、集団の中で100人に1人以上の割合で現れた遺伝子変異のことを遺伝子多型といい親から子に受け継がれる。たった1個の塩基の違いで体質の違いを生むことがあり、これを1塩基多型(SNP)と呼ぶ。犬のゲノムは犬種を問わず同じなのですが、SNPの違いによるそうです。
因みに遺伝子のゲノム全体に占める割合は約1・5%。でも残りの98・5%はごみDNAと言われていましたが、遺伝子の活動をコントロールしており、たんぱく質を作らせていないけど他の形で大切な働きをしている。1個の細胞に含まれるゲノム1セット分のDNAをすべてつなぎ合わせると2メートル近い長さになる。
近年ゲノム解析が急速に進んできたが、人と人との間の差はわずか0.1%。重要なのは、ゲノムのどこが違うか。
ところで一卵性双生児は全く同じゲノムなのですが、同じ病気になるとは限らない。遺伝子にはそれぞれにスイッチがついていて、いつオンオフになるのかによって遺伝子の働きが変わってくる。スイッチの状態が違うと体の特性も異なる。こうして遺伝子の働きが変わることは「エピジェネティクス変異」と呼びます。
病気のなりやすさは41ページ図1ー4にあるように①親から受け継いだ遺伝子多型とエピジェネディクス変異に加えて②生後に起きた遺伝子変異と③生後に起きたエピジェネティクス変異によって引き起こされる。
日本人は長い間に受け継がれてきた遺伝子多型とエピジェネティクス変異により「酒に弱くなる方向に進化」している。へえ?ですがそれは稲作文化の仕業。詳しくは読んでみてください。他にもいろいろな例が紹介されていますけど、それぞれの気候風土に即した感染症の脅威などから如何に体を防御するのかで体質は違う方向へ進化し、人種とか民族の違いが出来てきたみたいです。
生後成長していく過程での遺伝子変異とエピジェネティクス変異によっても病気のなりやすさも異なってきますが、そこには生活習慣とか栄養状況、ストレスとかも大きく関わってきます。一卵性双生児でも揃って同じ病気になる確率が40%を超えていたのはバセドウ病と自己免疫性甲状腺疾患と気管支喘息だけ。ゲノムだけではすべては分からない!
遺伝だけで100%決まる病気はごくわずかで、大部分の病気は遺伝による「なりやすさ」を下地にして、生活習慣と環境による遺伝子の変化が加わることで発生するのです。
日本人の遺伝的体質から考えて、酒は1日エチルアルコール20グラム、禁煙して、運動は週23メッツ・時、食物繊維と魚をたくさん食べて脂肪を摂りすぎない。日本人の栄養摂取バランスが最も優れていたのは1980年前後の食事とか。その頃私はまだまだ30歳前なので毎日仕事が終わるとつるんで飲み歩くヤクザな日々で、栄養摂取バランスはめちゃめちゃだったけど…
遺伝子関係なくよく言われていることばかりですけど、わかっちゃいるけどやめられないのをどうしたもんじゃろの~
ところで遺伝子のスイッチは不可逆的でいったんスイッチが入ると後でスイッチを切り替えることは出来ないのですが、IPS細胞は、特殊な処理を施すことによって遺伝子のスイッチを解除して、様々な組織や臓器に変化しうる多能性を与えたものです。
とにかく新書1冊に詰まった情報量は多くてスカスカ頭の私には要約しきれませんけど、興味を持った方は是非一度読んでみてください。
一緒に写っているのは池井戸潤の「民王」。異常な暑い日が続いてエアコンの効いた部屋で時間つぶしに読むには最適です。
設定は荒唐無稽ですが、漢字の読めない麻生総理とか泥酔会見の中川大臣を彷彿させられて、そう言えば昔そんなことがあったよねと笑ってしまいました。もう少し現実味のある設定に出来るともっとよかったんですけど、ちょっと無理か…