財政破綻国家アルゼンチン。超高金利で魅力的に見えてもアルゼンチンの債権はデフォルトの危険と隣り合わせと言うか何回もデフォルトしているので手を出してはいけない。物語はその財政破綻国家アルゼンチンの描写から始まる。
今となっては信じられないのですが、アルゼンチンは豊富な農業資源と第二次世界大戦の圏外にいたこともあって南米トップの富裕国で国民一人当たりGDPが世界第4位だったこともあった。ところが政治はポピュリズム的人気取りに走り放漫な財政運営を続けたことにより財政は破綻、ハイパーインフレを招きIFMの管理下となり立ち直れないままに。
しかし、日本もこのまま財政赤字を垂れ流していればいいのか。何時か破綻が来るのでは…
そして2015年、生命保険会社の取り付け騒ぎから国債暴落の危機に瀕しこれを何とか収めた江島が総理大臣になり、日本を若き時に見たアルゼンチンにしてはならないと財政革命オペレーションℤを実行しようとする。その中身は一般会計歳出半減つまり手を付けかねる国債費、防衛費、人件費を除いた社会保障関係費と地方交付税交付金をゼロにする。併せて歳入増を図るために増税も行う。
そこにはアメリカ大統領からの日本経済への懸念から財政再建に取り組むべきという(表には出ないが)強い働きかけがあり、IFMの専務理事からも同様な懸念があった。
江島総理の決意のもと財務省からは若手エリートのプロジェクトチームが動き出していく。
当然ながら霞が関は大混乱。与党内部でも異論噴出で永田町は反対の声で満ちていく。
たしかに日本の財政は歳出の半分も税で賄えずに国債依存度は35%、国債残高は積もり積もって1000兆円を超え。アベノミクスの名のもとに日銀は異次元の金融緩和の名のもとに物価目標2%を達成するまではゼロ金利政策をとり、国債を買い続けさらにはETF迄購入して、市場にマネーを供給し続けている。残念ながら当初は1年で物価目標を達成すると言っていたのに円安は進んでも未だデフレ脱却とは言えずに金余りの状態。資金供給しても国内投資に向かわず生産性も賃金も横ばい。
それでもアベノミクスの修正については強い抵抗がある。旧安倍派はいまだ与党内では大きな勢力であるし、野党も対抗軸として異次元の金融緩和の撤回を訴えるところはない。見直そうとすると経済への影響は大きく大混乱に陥る可能性もあり、大きな外圧でもない限り修正できないのだろう。そう思うと昔は口癖で「子や孫のためにあえてこの政策をやらなくてはいけない」という政治家が結構いたはずだが、最近は今そこにある危機ばかり語られ日本の将来のためにという議論はあまり聞かないような…
借金頼みの財政が続くと徴税権を持つ国と家計とは違うとは言われているけど、これだけ国債残高が膨らむといいのかと思う。国の資産と相殺すれば大したことはないと言う意見もあるが国の資産は道路でも建物でも土地でも売れないものばかりだし、仮に売れてもそれが全部中国辺りに買われてしまえば国家の独立も危うい。これから少子高齢化はとどまることなく進むのに賃金も生産性もあがらず税収の確保はままならず社会保障費は増え続けざるを得ないとなると、このままでこの日本は大丈夫かというのは多くの人が思い、漠とした不安を抱えている。とにかく財政再建を訴えれば財務省の省益を考えた陰謀なのだから心配せずにどんどんばらまけばいいと言う議論が跋扈しているのだが、本当にそれで日本としての持続可能性があるのか?いったい誰が日本の未来に責任を持つのだろうか。
この小説では今が国家破綻にならないようにする転換の最後のチャンスで、アメリカもIМFも憂慮して手を差し伸べようとしているとなれば、破綻国家アルゼンチンを見ている江島が総理大臣となり一か八かの大博打に乗り出していくのだが、ちょっと乱暴な展開過ぎる。
トランプ以降のアメリカは日本の財政事情などどうでもよくてアメリカの武器を買いアメリカ製品を輸入して生産拠点をアメリカに移せと言っている。日本が破綻しようがアメリか大事としか思っていない。
既得権益を全部見直すなどと選挙になれば増税だの歳出削減だのは誠に不人気の政策で打ち出して戦えば負けるし、政治家も分かっているだけに反対論陣を張りポピュリズム的な主張しかしない。国民にとっては漠とした不安に留まっている限りは真剣に向き合おうとしない。現実に自分の生活に影響が出るまでは何とかなるだろうと思っているし、自ら身を切ろうとはしないし、危機が現実化した時には遅いかも。
普通に考えてあり得ない物語なのだが、この物語が現実味を帯びないように祈るだけです。
今となっては信じられないのですが、アルゼンチンは豊富な農業資源と第二次世界大戦の圏外にいたこともあって南米トップの富裕国で国民一人当たりGDPが世界第4位だったこともあった。ところが政治はポピュリズム的人気取りに走り放漫な財政運営を続けたことにより財政は破綻、ハイパーインフレを招きIFMの管理下となり立ち直れないままに。
しかし、日本もこのまま財政赤字を垂れ流していればいいのか。何時か破綻が来るのでは…
そして2015年、生命保険会社の取り付け騒ぎから国債暴落の危機に瀕しこれを何とか収めた江島が総理大臣になり、日本を若き時に見たアルゼンチンにしてはならないと財政革命オペレーションℤを実行しようとする。その中身は一般会計歳出半減つまり手を付けかねる国債費、防衛費、人件費を除いた社会保障関係費と地方交付税交付金をゼロにする。併せて歳入増を図るために増税も行う。
そこにはアメリカ大統領からの日本経済への懸念から財政再建に取り組むべきという(表には出ないが)強い働きかけがあり、IFMの専務理事からも同様な懸念があった。
江島総理の決意のもと財務省からは若手エリートのプロジェクトチームが動き出していく。
当然ながら霞が関は大混乱。与党内部でも異論噴出で永田町は反対の声で満ちていく。
たしかに日本の財政は歳出の半分も税で賄えずに国債依存度は35%、国債残高は積もり積もって1000兆円を超え。アベノミクスの名のもとに日銀は異次元の金融緩和の名のもとに物価目標2%を達成するまではゼロ金利政策をとり、国債を買い続けさらにはETF迄購入して、市場にマネーを供給し続けている。残念ながら当初は1年で物価目標を達成すると言っていたのに円安は進んでも未だデフレ脱却とは言えずに金余りの状態。資金供給しても国内投資に向かわず生産性も賃金も横ばい。
それでもアベノミクスの修正については強い抵抗がある。旧安倍派はいまだ与党内では大きな勢力であるし、野党も対抗軸として異次元の金融緩和の撤回を訴えるところはない。見直そうとすると経済への影響は大きく大混乱に陥る可能性もあり、大きな外圧でもない限り修正できないのだろう。そう思うと昔は口癖で「子や孫のためにあえてこの政策をやらなくてはいけない」という政治家が結構いたはずだが、最近は今そこにある危機ばかり語られ日本の将来のためにという議論はあまり聞かないような…
借金頼みの財政が続くと徴税権を持つ国と家計とは違うとは言われているけど、これだけ国債残高が膨らむといいのかと思う。国の資産と相殺すれば大したことはないと言う意見もあるが国の資産は道路でも建物でも土地でも売れないものばかりだし、仮に売れてもそれが全部中国辺りに買われてしまえば国家の独立も危うい。これから少子高齢化はとどまることなく進むのに賃金も生産性もあがらず税収の確保はままならず社会保障費は増え続けざるを得ないとなると、このままでこの日本は大丈夫かというのは多くの人が思い、漠とした不安を抱えている。とにかく財政再建を訴えれば財務省の省益を考えた陰謀なのだから心配せずにどんどんばらまけばいいと言う議論が跋扈しているのだが、本当にそれで日本としての持続可能性があるのか?いったい誰が日本の未来に責任を持つのだろうか。
この小説では今が国家破綻にならないようにする転換の最後のチャンスで、アメリカもIМFも憂慮して手を差し伸べようとしているとなれば、破綻国家アルゼンチンを見ている江島が総理大臣となり一か八かの大博打に乗り出していくのだが、ちょっと乱暴な展開過ぎる。
トランプ以降のアメリカは日本の財政事情などどうでもよくてアメリカの武器を買いアメリカ製品を輸入して生産拠点をアメリカに移せと言っている。日本が破綻しようがアメリか大事としか思っていない。
既得権益を全部見直すなどと選挙になれば増税だの歳出削減だのは誠に不人気の政策で打ち出して戦えば負けるし、政治家も分かっているだけに反対論陣を張りポピュリズム的な主張しかしない。国民にとっては漠とした不安に留まっている限りは真剣に向き合おうとしない。現実に自分の生活に影響が出るまでは何とかなるだろうと思っているし、自ら身を切ろうとはしないし、危機が現実化した時には遅いかも。
普通に考えてあり得ない物語なのだが、この物語が現実味を帯びないように祈るだけです。