事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

消えるにゃ消えるわけがある

2011-08-26 12:02:32 | 事件記者の物語
榧の木祭り
価格:¥ 945(税込)
発売日:1978-01

一応健在なんだね、このヒト、小説は書いてないみたいだけど、それ言ったら庄治薫だって書いてないし
前にこの作品を芥川賞受賞作の中で一番の傑作だと思うと書いた、だけど古書をゲトできたので読み直したらやっぱかなり問題ありだと思った、確かにドラマチックなストーリーだがこのアイディアはどう考えてもパクリなのだ、誰もつっこまなかったのがフシギ

悪魔の収穫祭 (1976年)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:1976

で元ネタはこれ、やっぱ古書しかないね、もう一回買う気はないんで記憶だけで書くけど、メインテーマは「豊作を祈る祭りで一人の男が生贄にされ選ばれた女がその子供を産む」
「榧の木」のテーマはまさにそれ、ただあちらのトウモロコシ畑をこちらの榧の木山に置き換えたせいで設定に微妙なムリがかかってるし(木の根元に穴を掘って死体を埋めるってそう簡単じゃないと思うよ)、元ネタは明らかに20世紀のUSAを舞台にしてるところが、こちらはいつの日本なのか全くわからない(だからかどうか服装の記述が全くない)、どこの地方という具体的な土地を決められないせいか、登場人物のしゃべり方もどこか不自然(語尾がほとんど「だぞ」、たまに「やんす」、ヒトの呼び方が「へーあん」、「きーあん」、「姉あん」・・・どこの言葉だよ?)、さらに重要な役を果たす二人の男の子は向こうがジャスティンとラージー、こちらはガシンとコウジ、わざわざ日本人の名前としては不自然なガシン(餓死の意味らしい)って・・・・

また今回仰天したのは「四斗籠を背負う」こと、おいおい四斗ってば72リッターだぜ、ヒト一人が余裕で入る、そんなの女に背負えるか、その籠に木の実を20杯も集めるって、いったい何年分だよ?(お米なら四斗=一俵=60キロはまあ4ヶ月分って見当?)、さらに榧の種は主食にならないらしい、結局よそで採れるお米と交換するのだ、それだったら飢饉でお米がとれなくなれば一蓮托生ではないか、特にこの里の暮らしが米作農家より有利とは思えんけど-とまあ、パクリでない設定はかなり破綻してるわけで、ホント誰もつっこまなかったのがフシギだよ、選考委員ってマジに読んでないんじゃないか(明らかに読んでない選評がまちがいなくあったな)

で、もう面倒だから書かないけど、この本に収録されてるもう一作「鏡の栖」がまたそうとうにヒドい、これ受賞第一作じゃない普通の第二作だったらしいんだよな、まさしく「補助輪なしで走れる」ことを確かめてから授賞しても遅くなかった(佐藤亜紀さんの言)と思うよ

で、これいったい何をやったんだって、34年目の決着、当時の選考委員が生きてるかどうかは知らんが・・・

追記-大江健三郎(当時約40歳)はまだ生きてる、その他皆様の選評もあり(こちら)、絶対読んでないのは瀧井孝作(岐阜県出身)だけど、歳が歳だったからしゃーない、つかそんな年寄りに選考委員やらせる方が悪いよな

もう一つ追記-井上靖いわく「こうした土俗的世界を取り扱う場合、こうした世界を取り扱わざるを得ない作者の心の落款のようなものが捺されてなければならないが、それは感じられなかった」、これってすごく鋭くない?元ネタ知らなくても何となくわかったんだよね、パクリだって

というわけ、今さらだけど文句あるならいつでも言ってちょ、高城修三殿?

と書いてから気がついた(ウソ)、今日までこの名前を記憶してたのはたまたま浦瀬キャップと同姓だったからかもね


Kizuna:Fiction for Japan

2011-08-25 11:36:32 | 本と雑誌

FictionがFriction=マサツに見えるフシギ-と茶々を入れつつ、とりあえず日本人作家の、つまり元は日本語だった作品を拾い読み

Downtown Pharmacy : Ken Asamatsu-自殺を考えた友人が飲んだくれて薬局で睡眠薬を買った、え、処方箋なしで買えたって?
Pocket : Touya Tachihara-ボクのおなかに四次元ポケットができた、何も出て来ないけど何でも入る、さてどうやって使うかな?
Memories of Ken : Junichi Ashikawa-昔々、まだ小学生が原っぱで野球をやってた頃のこと・・・
The Old Man and Honey : Minoru Inaba-地震の3週間後に救われた犬をモデルにしたフィクション、真実は強い
Why Wear Red? : Sho Tomono-真夏に現れたサンタスタイルの女の子たちは何者?・・・何気にホラー
Cherry Guard : Yuusuke Tokita-桜守ってけっこう大変な仕事だと思うんだがな・・・
Initiation : Naohiko Kitahara-数学の天才、アル少年の正体は・・・あ、ネタバレ?
Five short Twitter novels : Riri Shimada-短いけど中味の濃いSF、ほんとに元は140字なのかなあ?
The Flower : Fumihiko Iino-病室の不幸な女の子にお見舞いの花・・・これもホラーかな?
A Summer’s Melody : Hiroshi Yamamoto-ある夏、幽霊屋敷からピアノ曲が聞こえてた、このネタならもうイーハンほしいとこだが・・・ネタバレ自粛
If Only Flowers : Mie Takase-伊勢の海の沖つ白波「花にもが」・・・英語で言うとこうしかないかなあ?
Recollections : Ukyo Kodachi-ネットで知り合った女の子が実は・・・ありがちだけどけっこう受けた、それがオチじゃないとこも
The Music Box : Tadashi Ota-動かなくなったオルゴールに隠された秘密とは?この作者らしいミステリ、私の一押し
Natsumi’s Diary : Midori Tateyama-津波で多くの電子データが失われたが手書きの文字は残った、そしてそこには・・・・
The Story without a Key : Yufuko Senoh-シェラザードが話し終わった時、王様はどうなったのか・・・でいいと思うけど違うかな?
Mom, Dad and Hiro : Yasumi Kobayashi-「お父さんを呼んで来て」「何でボクが?」平凡な家族の会話と思いきや・・・この作者らしい奇想、私の二押し
That Day… : Ryuto Hijiri-地震が起きた、4歳のボクは家を飛び出して迷走し・・・なるほどその手があったか
The End of the Royal Palace and the Kingdom : Joji Hayashi-どんどんヒトが減って行く宮殿、ここはいったいどこ?実はよくわからん・・・
The Mermaid Princess’ Love, Curse and… : Tamao Kanroji-「人魚の味気ない性生活」+「人魚の肉を食べて年をとらなくなる」=「驚きの結末」
That Long Day : Shinya Gaku-あの日自分は門前仲町から高田馬場を経てさいたま市の自宅へ戻った・・・大変でしたね、3/11

オマケ(これも元は日本語と思しい)
Appointment at the Oji Inari Shrine : Massimo Soumare-広重描く「王子稲荷に集まる狐たち」、この直後に起きた事件とは・・・かなり根性悪な作者

これで全体の約30%、いずれ元々英語だった作品にもチャレンジすると思う、そのうちには・・・・・


バカ田大学

2011-08-24 04:21:08 | 本と雑誌

言わずと知れた「バカボンのパパ」の母校だが、一時少年マガジン(だったと思う)に特集ページが載ってた、バージョンはいくつかあってその中の一つ-バカ大いろはカルタ

ノータリンどんどん来たれバカ大へ

目は口ほどにもの食わぬ

後は忘れた、知ってるヒトない?

突然何事って・・・いやたぶん2ちゃんからの連想だと思うけど自分でもよくわからん、アルコールが抜けんうちに書いとこうかなと


光牙忍法帖

2011-08-22 12:27:07 | SF
機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA) 機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2010-09-22

同じ作者の本を続けて紹介することになるが、これまたメチャメチャおもしろい、風太郎忍法帖の正当な後継と言おうか、もちろんパクリじゃないよ

ここはこの世ならぬ宇宙のとある惑星、人類が暮らし一応の文明はあるようだが、地球とはどこか違う、月があり日蝕も起きるがなぜか空は青くない、この世界に異常な能力を持ち「忍び」として生きているのはどうやら地球人たち、多くは全く過去を持たないが、一部記憶のカケラを持つものもいる、十代の女の子は普通の高校生だった、とある若い男(主人公の友人)も平凡な暮らしだったがきれいな奥さんがいた、彼ら「光牙衆」はいつか元の世界へ帰りたいと思っているが、どうすれば帰れるのか、その手がかりはこの惑星を支配する「異次元の王朝」(それがどんなものかは全く不明)と闘うことで得られるらしい
ところで地球から来た忍びの一部は王朝の手先になって、権力に従わない独立国家を滅ぼす役を果たしている、そんな集団の一つ「骸魔衆」が「光牙衆」に攻撃をしかけて来た、さてどんな戦闘が展開するのかそれは読んでのお楽しみ・・・・

いかにもヒーロードラマ的に単純な善悪の対決プラス殺し合いには違いない(そこは風太郎御大の「甲賀忍法帖」の方が上-ってあれほどの名作がそうあってたまるかってんだ)が、敵も味方も意外な正体(スレッカラシには読めるところもあるが)を隠してたり、けっこうマジにミステリしてるところが私好み、当然のことながら主人公側が勝って無事に使命を果たすのだが、この世界をめぐるナゾは全く解かれぬまま、地球人の彼らはいったいどんな事情でこの惑星の「忍び」になったのか、元の世界へ帰るべく異次元王朝との戦いはまだまだ続くのであった・・・・しかし本の続きがあるかどうかはわからない、あればうれしいけど、これでオシマイ、後は読者が勝手に想像すればよいという結末もありかなと思う、何にしても注目の作者なのだった、これは「結晶銀河」の大森さんに感謝かも


Kindle for PC

2011-08-21 23:34:49 | パソコンと周辺機器

Kindleのファイルがいつの間にやらWindowsでも読めるようになっていた、今回とある事情でそういうものを買ってしまったのである、いやたいしたもんだ、ワンクリックでこっちのHDへ届くし、けっこう読みやすい、Kindle本体を持ってれば外へ持ち出して読むことも問題なさそうだ、もちろん買わんけどね、元をとれるほど英語の本を買うとは思えんし・・・

何を買ったんだって、こういうもの

この前の地震に義捐金を出そうと世界の作家が協力して作った-という何かメッチャぜいたくな本、私はとりあえず太田さんの短編(オルゴール-いつかどっかで聞いたな)だけしか読んでないけど、朝松健、山本弘、林譲治、飯野文彦、小林泰三と豪華メンバーが並んでる、あ、これ日本人でわかった名前のみね、作者は言葉も国籍も様々な70人以上、ちゃんと読めて元をとれるといいな・・・・・

あ、日付変わった、今日はもう眠たいからこの件はいずれまた(書くとは限ってない)