事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

新潮9月号2

2011-08-14 18:48:16 | 本と雑誌

いしいしんじある一日」-前半はメッチャおもしろい、京都というどこか神秘な街、存在してない(らしい)オバハンからマッタケ(本物!!)を買えるフシギ、京都のヒトはハモ鍋が好き、地蔵菩薩は忙しい、キューバの寺院で大きなキノコ(実は傘をさした男女)に会った、ニューヨークのハドソン川だか八重山諸島の海だか(どっちかわからんというとこがスゴイ)でハモに救われた(のかもしれない)・・・とってもファンタスティックでかつ純文的、これは趣味かもなと思った、けど後半は個人的にパス、こういうこと(奥さんの出産、それもかなりの難産に立ち会ったこと)を堂々と書けるヒトを作家というのかもわからんけど、それは私の趣味じゃない、そんだけで(つまり趣味じゃないことはパスと言うだけで)私は批評家とか解説者とかにはなれんと思う、改めてならんでよかった・・・そも基本的なツッコミを一つ、お話はお産の前の日から始まってない?「一日」じゃないじゃん

西川美和その日東京駅五時二十五分発」-玉音放送とは別のルートで戦争に負けたことを知ってしまった通信部隊、できる限り自分らの存在を抹殺して兵隊たちに「早く帰れ」という、19歳第二乙種の主人公=僕(飛行機が好きで弟がいるという設定に「帰らざる夏」との共通点を見るのはただのシンクロニシティか?)は8月15日の始発で東京駅を出発、24時間かけて出身地「広島」へたどり着いたのだが・・・・当然街は瓦礫の山である、家も家族もどうなったのかわからない、そいでどうしたの?ってとこで終わってる、いやおもしろいと思うよ、読まされたことはまちがいない、だけど金井美恵子の超絶技巧に出会った直後では何かもの足りんのだな、作者は映画監督だそうだが、自分でこのストーリーを映画化するにしても、ラストにもうワンカットほしいと思わない?

ジェイムズ・ジョイスユリシーズ11章」-柳瀬尚紀訳、いやもうここまでわからんとタハハハハとしか言いようがない、「セイレーン」って別に女の子が二人いるだけじゃん、歌いもしないし主人公の冴えない(らしい)中年男のことなんか全然相手にしてないみたいだし、バーを出入りするおおぜいの男どももいったい何やってんだか・・・・でも言えること、これだけ「わけわからん(らしい)英語をわけわからん日本語に訳そうとする」この訳者は天才だなあ、いつか単行本で全編読めたらよいと思う、それまで自分が生きてたらな

円城塔よい夜を持っている」-何よりも芥川賞残念でしたね、文春は一人買い手を逃したよ、候補作として別の作品を載せたんだから、何か村上春樹が「DNAの扱い」に文句つけたんだって、メッチャ読みたくなっちゃったじゃないか、新潮さん、早く単行本出してね、あ、関係なかったな・・・・・何かとてつもなくフシギな精神構造を持ってたお父さんを回想する息子のお話、ヒトが考える「ヒトならぬアタマの構造」てのはたとえばこんなものなのかな?「時間の経過がなくて思い出せることはいつも今、今がどんどん変化する」とか「数字は大きさというか値を意味しない」とか「書かれた文章はいつもその通りの意味」とか・・・いや違ったらゴメン、ヒトの精神構造は一つしかないと思ってたけど円城さんと私はもしや別の世界に生きてるのかもね

以上これにて今月のラジー賞ミッションを完了とする、あ、そうそうイカちゃん、いつもコメントありがと
そうだ、これも、「群像」売り切れてるね、恐るべしミエコ効果、このタレントを業界が手放すわけはないって誰か言ってたよな(たぶんayanarinさん、彼にもいろいろつける注釈はあるんだが)ともあれ以下来月・・・・・