WoodsのAdvanced Calculusを E 大学の付属図書館から借りてきた。これは附属図書館の書庫の中でも立ち入り禁止になっているところにあった。それで図書館員に頼んで借り出してもらわねばならなかった。
実はこの書はあの有名なFeynmanが高校生のころの物理の時間に教室の隅で先生から与えられたこの書を密かに読んでいたという曰くつきの書である。この書によると初版は1926年だという。F. S. WoodsはMITの教授だったという。
なぜこんな古い書に関心があるかというと、この書でFeynmanがいわゆる「積分下でのパラメータによる微分によって、積分を求める方法」を学んだと彼の自伝『御冗談でしょう、ファインマンさん』(岩波書店)のなかで述べているからである。
私も以前に自著『数学散歩』(国土社)でこの記事をとりあげて、数学エッセイを書いている。タイトルは「微分をして、積分を求める」である。最近になって、これは日本では2012年のことだが、ストロガッツという人の『二人の微積分』(岩波書店)という本が訳書として出版されて、この書の中にまたこの「積分下でのパラメータによる微分によって、積分を求める方法」について言及されたからである。もっともストロガッツの原著は2009年発行である。一方、私の前著は2005年発行である。
『二人の微積分』には実はWoodsの表記の本が参考文献として出ており、元の原本の名前を知った次第である。
内容をここで、紹介しておこう。とはいっても章のタイトルだけである。
第1章 Preliminary
第2章 Power Series
第3章 Partial Differentiation
第4章 Implicit Functions
第5章 Applications to Geomerty
第6章 The Definite Integral
第7章 The Gamma and Beta Funcitons
第8章 Line,Surface, and Space Inegrals
第9章 Vector Notation
第10章 Differential Equations of the First Order
第11章 Differential Equations of Higher Order
第12章 Bessel Functions
第13章 Partial Differential Equations
第14章 Calculus of Variations
第15章 Functions of a complex Variable
第16章 Elliptic Integarals
Answers
Index
となっている。章のタイトルを日本語訳することもないだろう。これでおおよその見当はつくだろう。
(2022.12.1付記) 今日このブログを10人ほどの人が見たらしいので、自分でも見直した。Woodsの本にはベクトル解析の話も出てくることをこの目次で知った。
第8章 Line,Surface, and Space Inegrals
第9章 Vector Notation
がそれである。この本のこの箇所は読んでみる必要があるだろうか。私は今ベクトル解析に関心があるので。また微分をして積分を求めるところはたぶん第6章の定積分のところだったと思う。
パラメーターで微分して定積分を求める話は『数学散歩』に書いたよりは詳しく「数学・物理通信」に3回にわたって書いてある。インターネットで「数学・物理通信」を検索すれば出てくると思う。
(2023.4.6付記)8章と9章のベクトル解析のところを見てみたいのと定積分下でのパラメータによる微分による積分の例をきちんととりあげたいと思っている。私も「数学・物理通信」で3回これについてエッセイを書いたことがあるのだが。いつだったかインターネットでファインマンの使った積分法はどういうものだったのかという質問があり、私の『数学散歩』(国土社)のgoogle booksからの引用が質問の解答に使われていた。少しは世間のお役に立っていればうれしい。『数学散歩』(国土社)の内容についてはgoogle booksは一時にすべての内容を展示してはいないが、ある時々で掲示される箇所が異なっている。
(2024.2.7付記) 昨日だったか7人の方がこのブログを見て下さったらしい。Woodsの本が関心をもたれることは考えられないので、やはり「微分して積分を求める」ということが関心をもたれたのであろう。
その後、Woodsの本を読んで、「微分して積分を求める」という例が私のすでに上げた例以外にもあれば、報告すべきであったろうが、これはまだ果たせていない。
しかし、いずれにしても「数学・物理通信」にはすでに十分な例を挙げてあるので、そちらを参照してほしい。