対称性とはここでは群論的な意味である。素粒子物理学では対称性を流行させるもとになった論文は私の先生であった、小川修三、池田峰夫両先生に当時名古屋大学の大貫さんの3人による論文が発祥である(IOO対称性という)。素粒子の対称性の数学的な側面はいうまでもなく大貫さんと池田先生の合作によるものと聞く。
何回かその群論の表現論を勉強しようとしたのだが、いつも中途半端で身についていない。この間朝方の夢というか眠りから覚めない状態でこれを勉強してみたいとまた思うようになった。いくつかの手がかりはある。
Gasiorowiczの図的表現(これは川口さんの本にも出ていた)とか、LipkinのLie group for pedstrians とかCloseのquarkとleptonの本とかまた、Dynkinの論文とか。これらをかじったのだが、どれももう一つものにしていない。
Racahのレビューも勉強したが、これも中途半端であった。小出氏の講義ノートにも既約表現をつくるところがあった。そういうものを統一的に理解したいというのが夢である。
Dynkinダイアグラムは群のbraching ruleをある程度説明するので、それももう一度きちんと勉強してみたい。GeorgiのLie algebraの本の第2版が出ていて、とてもいいと聞く。
またそういう連続群ではないが、点群だったか化学で使うものについては米沢貞次郎さんたちの量子化学にhow toの説明があり、当該の箇所は一応最後まで読んだが、なかなか分かりやすかった。もっともこれもこの本だけではいくつかの疑問点があった。
ごく最近GiorgiのLie algebra in particle physicsを購入しました。(これの第1版を京都大学の九後さんが翻訳しています)。
Giorgiは物理で役に立つのはほとんど群の表現論だと書いています。昔大学院生のときにポントリャギンの連続群論のはじめの2章だか3章だかを読まされましたが、まったく抽象的で沈没してしまいました。講義が終わった後で池田峰夫先生は後ろの方の章が物理には訳に立つのですがねと言われていました。
でもLipkinという物理学者が書いている、Lie group for pedestrians(Norh-Holand)は友人と大事なところは読みました。
でも使えるようにはなりませんでした。まだどこか足らないのです。
もっとも数学は物理をやる人には単に道具なので、そんなことに拘泥していては新しいことなど出来ないという意見もあります。
Diracだって、Heisenbergだって、Einsteinだって数学を知らなくて新しい学問を開いたのだからといわれれば、まったくそうなのです。
線形代数から群論へというような本が日本語で数学者によって書かれているようです。上下2冊の本のようですが、まだ読んだことはありません。