成相先生は宇宙論の研究者でした。いまはない、広島大学付属の理論物理学研究所で研究をされていました。理論物理学研究所は学部の学生を受け入れてはいませんでしたが、大学院学生は受け入れていました。
私はもちろん彼の学生ではありませんでしたが、大学院のマスターのときに彼の相対論のセミナーをとりました。テクストは有名なメラーの『相対性理論』です。テクストは学生はすべて研究所の蔵書を借りて読んだように思います。学生数があまり多くなかったので、それくらいの冊数を研究所で用意していたと思います。
セミナーは一年間でしたから、一般相対論のところにも入ったと思うのですが、一般相対論は私には身につかなかったです。その後、10年以上たってロンドンを訪れたときに、書店でメラーのこの本を見つけて、購入し、いまでは自分でも同じ本をもっています。もっとも本は改定されて第2版となっています。
計算もある程度フォローしていたはずですが、まったくその記録は残っていません。先生、学生が計算がへたくそなので授業時間の後半ではいらいらして自分で黒板で計算することが多くなったという気がします。
少なくとも私たちから見ると計算がとても早くて、見る間に計算をしてしまうという感じがいつもしていました。いくら先生がよくてもどうもセミナーを学生のほうの学力というか実力がそれに伴わなかったという感じがしていました。
成相先生は猛烈な研究者の一人で、これは人から聞いた話ですが、夜の3時より前に寝たことはないとか聞いたことがありました。それくらい猛烈に研究をするという気風がこのころの理論物理学研究所にはあったようです。
もっともそういうハードワークのせいか、定年退職された後は、割と早く亡くなられたのを残念に思っています。
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