春望 杜甫
国破山河在 国破れて山河は在り
城春草木深 城は春にして草木深し
感時花濺涙 時に感じて花も涙を濺(そそ)ぎ
恨別鳥驚心 別れを恨みて鳥も心を驚かす
烽火連三月 烽火は三月に連(つら)なり
家書抵万金 家書は万金抵(あた)る
白頭掻更短 白頭の掻きて更に短く
渾欲不勝簪 渾(す)べて簪(かんざし)に勝(た)えざらんと欲す
この杜甫の詩は吉川幸次郎・三好達治編の『新唐詩選』(岩波新書)からとった。
今朝どうしたものか
国破れて山河在り
城春にして草木深し
というこの有名な詩の一節が頭に浮かんだ。そのときに「烽火三月に連なり」という個所がこの詩のどこかにあった気がした。それでそのことを妻に言ったら、すぐにタブレットで探してくれた。
私の疑問は「烽火」と「三月」とがどう関係しているのであろうというところにあった。そのことをいったら、タブレットで実はこの「三月」は一月、二月、三月の三月ではないという。三か月のことらしい。ところが後で上の書の該当箇所を読んだら、三月を三か月間と解するのは誤解であろうと書かれている。ほんとうはどうなんだろうか。
いま、この詩の注釈を読むと「破れて」は「敗れて」ではないという。「破れて」は国家の機構が解体してずたずたになった状態だという。戦争に負けたときの心情をうたった詩かと思っていたのは誤解であった。
杜甫はどれくらい以前の人かは知らない。だが、まさに La vie est courte, mais l'art est long. (人生は短く、芸術は長し)である。Hippocrateの引用だとインターネットにあった。そこにはmaisが入っていなかったが、わざと私の気持ちとしてmaisを残しておこう。
杜甫にはいまのようなインターネットの時代が来るなどとはまったく予想もされなかったであろうし、そのような現代に自分の詩を思い出してくれる人がいるだなんて。
国破山河在 国破れて山河は在り
城春草木深 城は春にして草木深し
感時花濺涙 時に感じて花も涙を濺(そそ)ぎ
恨別鳥驚心 別れを恨みて鳥も心を驚かす
烽火連三月 烽火は三月に連(つら)なり
家書抵万金 家書は万金抵(あた)る
白頭掻更短 白頭の掻きて更に短く
渾欲不勝簪 渾(す)べて簪(かんざし)に勝(た)えざらんと欲す
この杜甫の詩は吉川幸次郎・三好達治編の『新唐詩選』(岩波新書)からとった。
今朝どうしたものか
国破れて山河在り
城春にして草木深し
というこの有名な詩の一節が頭に浮かんだ。そのときに「烽火三月に連なり」という個所がこの詩のどこかにあった気がした。それでそのことを妻に言ったら、すぐにタブレットで探してくれた。
私の疑問は「烽火」と「三月」とがどう関係しているのであろうというところにあった。そのことをいったら、タブレットで実はこの「三月」は一月、二月、三月の三月ではないという。三か月のことらしい。ところが後で上の書の該当箇所を読んだら、三月を三か月間と解するのは誤解であろうと書かれている。ほんとうはどうなんだろうか。
いま、この詩の注釈を読むと「破れて」は「敗れて」ではないという。「破れて」は国家の機構が解体してずたずたになった状態だという。戦争に負けたときの心情をうたった詩かと思っていたのは誤解であった。
杜甫はどれくらい以前の人かは知らない。だが、まさに La vie est courte, mais l'art est long. (人生は短く、芸術は長し)である。Hippocrateの引用だとインターネットにあった。そこにはmaisが入っていなかったが、わざと私の気持ちとしてmaisを残しておこう。
杜甫にはいまのようなインターネットの時代が来るなどとはまったく予想もされなかったであろうし、そのような現代に自分の詩を思い出してくれる人がいるだなんて。