物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

ギュンター・グラス氏の死去

2015-04-15 13:21:20 | 日記
ドイツの作家で1999年にノーベル文学賞を受けたギュンター・グラス氏が13日にリューベックの病院で亡くなったと新聞に出ていた(注)。87歳だった。

グラス氏の小説を読んだことはないのだが、映画の「ブリキの太鼓」(Blech Tronmel)は見たことがある。特異な感覚の映画だったと思うが、あまりよくわからなかったので、もし死去に際しての再放送がどこかのテレビであれば、もう一度見てみたいと思う。

ミヒャエル・エンデとかこのギュンター・グラス氏がドイツの現代を代表する作家だったと言っていいだろう。

ミヒャエル・エンデは先年に亡くなっていたので、ドイツは相続いて優れた作家を失ったことになる。

ドイツ文学者の池内 紀さんの印象では「ギュンター・グラスは作家というより、農夫のようだった」と今朝の朝日新聞の天声人語に書かれていた。

エンデだったか、このグラスだったかの厚いエッセイ本をある懸賞としてもらったことがある。これはクイズに答えた葉書を送ったら、ドイツからその厚い本がクイズの賞品として送られてきた。

もっとも私にはこの本は猫に小判でなかなか読めないという感じがしている。ドイツ人の R 氏によれば、それほどは難しいドイツ語ではないという。だが、気楽には読めないところが私の現在のドイツ語の実力の程度である。

また作家の池澤夏樹さんによれば、「『ブリキの太鼓』ほどナチスの台頭するドイツの雰囲気を正確にシニカルに書いた小説はない。我々は第2次世界大戦中の生活について、日本の『ブリキの太鼓』を書く作家をもたなかった。これは日本とドイツの戦後の歩みの違いを象徴している」という。 心すべき評であろう。

敬愛すべき日本人の作家に大江健三郎がいるが、彼は私よりは年長ではあるが、グラスほど年長ではないので、たぶんグラスの役目をすることはできなかったであろう。これは生年の違いであり、しかたがない。少なくとも他にはいなかったということであろうか。

私は読んだことはないのだが、大西巨人の『神聖喜劇』とかがこれにあたるのではないのだろうか。亡くなった長兄の蔵書から私がもらった『神聖喜劇』を一度読んでみたい。

(注)カタカナでグラスと名前を書いたが、発音はグラースとラの後を伸ばすような発音をすると思う。もっともカタカナ表記は新聞にしたがった。