物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

湯浅誠氏の講演

2011-02-05 13:05:15 | 日記・エッセイ・コラム

昨夜、愛媛大学のグリーンホールで湯浅氏の講演を聞いた。これは知人からファックスで知ったので聞きに出かけたのである。

湯浅氏はいま話題の人であり、一昨年の「年越し派遣村」の村長を務めたことで知られている。また、岩波新書の「反貧困」の著者であり、この著書を私も読んだことがある。

さて、講演の内容を簡単に述べるべきだと思うが、なかなかうまく要約できそうにない。それでも無理やりにまとめてみると30年以上前の世代(すなわち、私の世代)とその子どもの世代のおかれている状況はまったく変わっており、いまの現状は前の世代(私の世代)の人には自分の体験上から理解ができないのだという。

そして、前の世代に一般的であった、国家の傘、企業の傘、働き手の傘が小さくなって国民や市民をその傘の下に庇護する力はなくなってしまった。だから、この庇護の傘から漏れてしまった人々を国家として救う政策が必要となっている。その政策を上の世代の人々は「バラマキ」と言っているという。

だが、例えば無職の人々に生活費を給付しながら、技能を身につけさせるというような教育をして、新しく職につけるようにすれば(そういう人はいま8万人くらいの規模になっている)、それらの社会から一時的にせよ助けられた人々はそういう政策を行う社会や政治を支持するようになる。そういう感覚や意見の人々が多くなり、社会の考え方が変わるまで忍耐強く社会弱者を助けていくと言われた。

社会を変えていくにはおよそ30年の時間がかかるが、それを25年または20年に短縮するように努力をしたいとのことであった。

湯浅さんは社会活動家であって、政治家でも革命家でもまたは政策を提言する学者でもないが、現場に密着しつつも将来を見据えて活動を続けていく覚悟と思われた。

彼の話したことに感銘を受けたかと言われれば、それほどではなかったが、一人の人としての生きざまとしては十分に肯定をしてもいいと思う。

だが、20年では遅すぎると思うし、国の大きな財政的な赤字をどう思うかとは誰も質問しなかったので、そこらをどうか考えているのかも知りたいことであった。