加瀬工務店のブログ 熱血!建築魂!

千葉・南房総地域(館山市・南房総市・鴨川市・鋸南町)で新築注文住宅を中心に、真面目で丁寧な家造りを目指しています。

社外学習 畳

2010-05-21 | 社外学習

今回から完全不定期でお送りします社外学習。(^_^)

記念すべき第一回は  です。

最近では畳のある家が減ってしまいましたね。
私が小さい頃は1件新築すると、たいてい20畳くらいはあったのようですが、今では6~8畳程度、無い家も結構あります。(>_<)
畳って日本人の暮らし方にはとても良い物なんですが・・・。
もっと良さを評価されても良いと思う物のひとつです。

今回は祖父の代から付き合いのある畳屋さんの工場へ行って工場見学してきました。
畳というと、「国産のい草を使った物が良い畳」 「熊本のい草が有名」 などを思い浮かべると思います。
確かに国産のい草は品質がよく、産地では熊本や岡山などが有名です。
しかし、い草を使った畳表だけが畳ではありません。
畳の耐久性を決める重要な要素としてい草を貼る畳床の品質があります。
一般的に見た目の部分(畳表)ばかり注目されていて、見えにくい部分(畳床)が重要視されていないのは畳にも言えるようです。
畳床は藁でできた 藁床 や 発泡スチロールを繊維板(紙などをミンチにして圧縮したりした板)で挟んだスタイロ床が主流です。
ホームセンターなどで売っている薄い畳は、繊維板などでできています。
当社では、価格は安くありませんが、足触りがよく、耐久性もある藁床をおすすめしています。
当社の付き合いのある畳屋さんは、今では珍しくなってしまった畳床(藁床)を自社で作っています。
今回はその畳床の製作工場の見学です。
実は仕事の用事で立ち寄ったついでなんですが・・・(^_^;)

私が生まれる前からお付き合いしている畳屋さんなのですが、初めて見る光景です。

20100227 製造ライン全景です。(写真①)
作業場の全長は30mくらいでしょうか。
古い機械を職人さんが手動で操作して造る、大量生産には向かない手作り感の強い小さな工場です。
隣には倉庫があります。(写真②)
畳の床の原料となる藁がたくさんストックさえています。
年々藁が減っていて確保が難しくなっているそうです。
房総の藁は環境がよいので生育が良く、藁床の原料には適した長さで、太さも適度でしなやかさがあり、良質の原材料だそうです。寒い地域の藁は短かったり、環境に対応するため太さが太くしなやかさがなかったり、細くて固かったりするそうです。
では、藁床の生産工程へ入ります。
まずは床の一番下になる防虫シート(写真青色)を敷いたライン上に、こもうら と呼ばれる藁を並べて糸でつないだものを乗せます。(写真③)
続いて したばき と言われる藁を手で選別して良いものだけを残したものを縦横方向に2段重ねで載せます。(写真④)
ラインが流れてブルドーザーと言われる機械に入り、自動で藁を短く切った  切り藁 が敷き詰められ、2回に分けてたたきながら均してくれます。(写真⑤)
ブルドーザーから出てきたら、通常だとそのまま次の行程に行くのですが、ここでもう一度人の手で均しながらムラをとる作業をします。(写真⑥)この行程を行うことがより均一な藁床を造るポイントだそうです。
ラインの奥では、しっかりした藁を機械ですぐる(すく?)作業が行われています。(写真⑦)昔農家で稲穂を収穫したときによく見られた光景です。
そこですぐった藁を、横方向に敷く よこてわら と縦方向に並べる うわばき に分けて敷きます。(写真⑧) 良い畳の床になるとこれを2重に敷いたり、防虫シートを挟んだりするそうです。そうすることでより締まった藁床や防虫生の高い物ができるそうです。
そしていよいよ仕上げるために、製畳機に通されます。
絞り込むように圧力をかけて寸法を決めながら、たくさんの針と糸で自動的に縫い、耳を切り落としていきます。(写真⑨)
縫う作業を終えた畳の端を整えながら長さを決め、カットします。(写真⑩)
カットした藁床に持ち手をつけて完成です。(写真⑪)
できた藁床は、出荷を待つために倉庫にストックされます。(写真⑫)
藁床のできるまで。 この説明でわかりましたか?
この藁床を使って、表面に畳表を貼り、縁(へり)を付けて畳の完成です。
藁床の製作行程を実際に見てみたい方は、当社に問い合わせをいただければご案内いたします。
いろいろ勉強して家造りしませんか?

藁床も大型機械を使った量産化や、藁を使わない化学床(スタイロ床)などの普及により、低価格化が進んでいます。
昔ながらの製法で丁寧に造られた藁床は低価格化されないため、流通量は減っていますが、しっかりとした製品なので今では高級な畳への採用が多くなっているそうです。
関東一円や静岡などからの注文もあり、それなりの需要があるそうです。(大きな需要ではありませんが)
あたりまえにやっていたことが、周りのレベルが落ちた?ために良い物になってしまった格好です。
そんな良い藁床を製造元で畳を作ってもらうことで、一般的な価格で採用できてきたことは嬉しいことです。
ただ、そんな丁寧に造られた藁床も職人さんが高齢になっている上に後継者不在で、手に入る期間も先が見えてきてしまっています。
何とかしてほしいのですが、私達の力ではどうにもなりません。
「藁床造りを仕事としてやってみたい!」と言う方がいたらご一報を。
m(_ _)m


南房総 加瀬工務店
T.K
http://www.kasekoumuten.com

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