美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

おお久遠よ(ニーチェ)

2010年07月13日 | 瓶詰の古本

   曾て私に或る気息が、創造的気息から、そして諸星の輪舞を踊るべく猶も偶然に強要する・あの天上の必然から吹いてきたとき、
   曾て私が、業の長い雷鳴が微に轟きながらも柔順に従いて来た・創造的電光の笑で笑つたとき、
   曾て私が、地が震つて裂けて火の河を吹き上げたほど、神々と一緒に地の神々の卓上で骰子遊びをしたとき、―
   ― 何となれば地は神々の卓であつて創造的新語や神々の骰子で震動してゐるからだ―
   おお、どうして私は久遠と、結婚の「指輪の指輪」― 回帰の輪とを熱愛せずにゐられようぞ!
   私はまだ決して、私が愛する此の女以外に私が子達を生ませたい女を見つけなかつた。何故つて私はお前を愛するからだ、おお久遠よ!
   何故つて私はお前を愛するからだ、おお久遠よ!

(「ツァラトゥストラー」 ニーチェ 登張竹風訳)

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