1991年、初めてメキシコに行ったとき、
ダンナの仕事(と言ってもまだ学生でしたが)の関係で
ヌエボ・ラレドという国境の町の近くへ行きました。
「仕事」というのは地質調査です。
私はおまけでくっついていったわけですが、
今思うと、貴重な体験でした。
観光客どころか、メキシコ人でもなかなか行かないようなところです。
(用事もないですもんね)
◆
広大なランチョ(農園)に、ひたすら乾燥した植物が生え、
やせこけた牛や馬や犬や、
ニワトリもきっと羽をむしったらやせこけているに違いない、
そして上半身裸のランチョの兄ちゃんたちも、あばらが浮き出ています。
見慣れない外国人(?)を隠れて覗く牛。
腰骨の辺りに痩せ具合が見て取れるでしょうか。
いくつかのランチョを回って調査の許可を取り、
何もない広大な土地を歩き回ったわけですが、
見渡す限り、こんな感じ。
乾ききって棘だらけの植物。
緑色なのはサボテンと椰子の木と、
そしてこの写真、わかるでしょうか。
奥のほうに長く緑の筋になっているのは、そこだけかろうじて河が流れているところです。
乾ききった川床もありますが。
ダンナと、同行の石油会社の人が調査中。
そのあいだ私はひとりでこのすごい大地をうろうろと歩き回りました。
二回ほど、でかい亀の骸骨に出くわしました。
甲羅としゃれこうべになってました。カランカラン。
ウチワサボテンがあちこちに生えてます。
一度、大きなサボテンの横を気をつけて回ったつもりが、
いきなりサボテンが動いて、こちらに棘を打ち込んできたような気がしました。
ジーンズはいていた太腿に、棘が十数本、ぐっさり。
いってぇ~! とサボテンを見ましたけど、動いた様子はない(当たり前)。
棘を抜こうとしても、足をよけたときにズボン生地が引っ張られて
内側へ入り込んでしまってます。
キョロキョロと周囲を見回し、誰もいないのを確認。
たって、ダンナともうひとり以外に、人なんか間違ってもいませんが。
で、ズボンを半分下ろして、足に刺さった棘をブチブチと抜きました。
サボテンの棘って、大きいのになると先に折り返しがあるんですね。
引き抜くときに、それを身を持って感じました(笑。
◆
あるランチョでは、途中で大きな白い馬に二人乗りの男性と息子に会いました。
すごい旧式のライフル。西部劇にも出てこんぞ、そんな古いの、というくらい。
で、小屋へ行きますと、軒先に犬くらいの大きさの動物が、
頭と皮を取られて赤むけでぶらさがってました。
太腿辺りに、銃痕。
小屋に入ると、イノシシの赤ん坊がキィキィと鳴きながら床の上。
人間の赤ん坊も並んで床の上。
軒下のイノシシは臨月だったとか。
二匹入っていたらしいですが、一匹は死んでしまったとのこと。
生き延びたこのウリ坊は、いずれ大きくなったらお鍋に入るんでしょう。
そこのおじさん、私を見て、上から下までじろじろと眺め、
「それは女か?」とのたもうたそうです(当時、私はスペイン語ゼロ)。
ズボンはいてる女性を見たことなかったんですね。スイマセン。
カルチャーショックはお互い様です(笑。
◆
こんな石油会社のピックアップトラックで行ったんですが、
道によってはとんでもない揺れで、私たち三人ともがんがん天井に頭ぶつけてました(笑。
写真では、会社のおじさんがこっそりお休みです。
今地図で見ると、レイノーサからヌエボ・ラレドまでたかだか250kmほど。
それでも当時は果てしなく遠く感じました。
ドイツでメキシコ地図を買って持って行ってたんですが、
メキシコ全土を折り畳み式で載せてる地図の
町からキャンプ地へのほんの1cmくらいの道が、
どこまで行っても行っても行っても、ただひたすらな直線道路。
もうアメリカじゃないの~?と言いたくなりましたが、
もちろん国境にはリオ・グランデって川がありますし、
そもそもそんな気付かないうちに国境を越えているなんてことはありえません。
特に、こっちからあっちへはね。
あんまり暑いので、男どもは町で冷えたビールを買って、
ビール片手に運転。
これがほんとの飲酒運転、と思い知ったときでありました。
◆
どのランチョにも、犬が数頭は飼われているんですが、
私たちが入っていくと、猛然と吠えながらダッシュで駆け寄ってきます。
でも怖い犬知らずだった私は、どこでもすぐに仲良くなっちゃって、
そうすると、ものすごく甘えてくるんですね~。
押し合いへし合いで、撫でてくれと、互いに喧嘩までする始末。
ちょっと撫でてやると、掌がギンギラギンの垢だらけになるくらいで、
ここの人たちは犬をこういうかわいがり方しないんだろうなあ、
と思いつつ、それでも甘えたり撫でてもらいたがったりする犬たち、
なんだか不思議な気がしました。
ひとつのランチョに数日かかる調査でしたが、
寝泊りは最寄の石油会社キャンプ地に。
一度は小さな町の中でしたが、
明け方5時には、ものすごい大合唱で目が覚めました。
牛馬豚羊山羊ガチョウアヒルニワトリ七面鳥犬猫から蚊や蝿までが
いっせいにモーモーブーブーギャアギャアワァワァブンブンと……。
すさまじかったです。
もう一度は本当のキャンプ地。
トレイラーをいくつも並べただけのところでしたが、
ここにもまた犬の大群。20頭くらいいたかな。
そのボス犬がこれです。
威風堂々、立派な犬でした。
他には、はしゃぎたい年頃の仔犬、まだ若いメス犬、
ボスにたてつきたい若犬、
それからヒエラルキーを凌駕している女長老といった風情の老いたメス犬、
などなど、普段の私では見られない犬の群の構造や機能を観察できて、
もう楽しいことこの上なし。
お世話になったキャンプ地の皆さんに食べてもらおうと、
椰子の花採りをしています。
◆
最近は、北のほうへ行くと言ってもモンテレイ(大都会)か
レイノーサ(国境の町)へ親戚を訪ねていくだけで、
こんな辺鄙で面白いところへは行けません。
そりゃあもうマジで日射病でぶっ倒れるかも、というくらい暑かったですが、
しかもメキシコへ来る前日のドイツは大雪で、こんなんでしたし。
でもやっぱり、こうして写真を眺めていると、楽しかったなあ、また行きたいなあ~、
とひたすら思います。
ダンナの仕事(と言ってもまだ学生でしたが)の関係で
ヌエボ・ラレドという国境の町の近くへ行きました。
「仕事」というのは地質調査です。
私はおまけでくっついていったわけですが、
今思うと、貴重な体験でした。
観光客どころか、メキシコ人でもなかなか行かないようなところです。
(用事もないですもんね)
◆
広大なランチョ(農園)に、ひたすら乾燥した植物が生え、
やせこけた牛や馬や犬や、
ニワトリもきっと羽をむしったらやせこけているに違いない、
そして上半身裸のランチョの兄ちゃんたちも、あばらが浮き出ています。
見慣れない外国人(?)を隠れて覗く牛。
腰骨の辺りに痩せ具合が見て取れるでしょうか。
いくつかのランチョを回って調査の許可を取り、
何もない広大な土地を歩き回ったわけですが、
見渡す限り、こんな感じ。
乾ききって棘だらけの植物。
緑色なのはサボテンと椰子の木と、
そしてこの写真、わかるでしょうか。
奥のほうに長く緑の筋になっているのは、そこだけかろうじて河が流れているところです。
乾ききった川床もありますが。
ダンナと、同行の石油会社の人が調査中。
そのあいだ私はひとりでこのすごい大地をうろうろと歩き回りました。
二回ほど、でかい亀の骸骨に出くわしました。
甲羅としゃれこうべになってました。カランカラン。
ウチワサボテンがあちこちに生えてます。
一度、大きなサボテンの横を気をつけて回ったつもりが、
いきなりサボテンが動いて、こちらに棘を打ち込んできたような気がしました。
ジーンズはいていた太腿に、棘が十数本、ぐっさり。
いってぇ~! とサボテンを見ましたけど、動いた様子はない(当たり前)。
棘を抜こうとしても、足をよけたときにズボン生地が引っ張られて
内側へ入り込んでしまってます。
キョロキョロと周囲を見回し、誰もいないのを確認。
たって、ダンナともうひとり以外に、人なんか間違ってもいませんが。
で、ズボンを半分下ろして、足に刺さった棘をブチブチと抜きました。
サボテンの棘って、大きいのになると先に折り返しがあるんですね。
引き抜くときに、それを身を持って感じました(笑。
◆
あるランチョでは、途中で大きな白い馬に二人乗りの男性と息子に会いました。
すごい旧式のライフル。西部劇にも出てこんぞ、そんな古いの、というくらい。
で、小屋へ行きますと、軒先に犬くらいの大きさの動物が、
頭と皮を取られて赤むけでぶらさがってました。
太腿辺りに、銃痕。
小屋に入ると、イノシシの赤ん坊がキィキィと鳴きながら床の上。
人間の赤ん坊も並んで床の上。
軒下のイノシシは臨月だったとか。
二匹入っていたらしいですが、一匹は死んでしまったとのこと。
生き延びたこのウリ坊は、いずれ大きくなったらお鍋に入るんでしょう。
そこのおじさん、私を見て、上から下までじろじろと眺め、
「それは女か?」とのたもうたそうです(当時、私はスペイン語ゼロ)。
ズボンはいてる女性を見たことなかったんですね。スイマセン。
カルチャーショックはお互い様です(笑。
◆
こんな石油会社のピックアップトラックで行ったんですが、
道によってはとんでもない揺れで、私たち三人ともがんがん天井に頭ぶつけてました(笑。
写真では、会社のおじさんがこっそりお休みです。
今地図で見ると、レイノーサからヌエボ・ラレドまでたかだか250kmほど。
それでも当時は果てしなく遠く感じました。
ドイツでメキシコ地図を買って持って行ってたんですが、
メキシコ全土を折り畳み式で載せてる地図の
町からキャンプ地へのほんの1cmくらいの道が、
どこまで行っても行っても行っても、ただひたすらな直線道路。
もうアメリカじゃないの~?と言いたくなりましたが、
もちろん国境にはリオ・グランデって川がありますし、
そもそもそんな気付かないうちに国境を越えているなんてことはありえません。
特に、こっちからあっちへはね。
あんまり暑いので、男どもは町で冷えたビールを買って、
ビール片手に運転。
これがほんとの飲酒運転、と思い知ったときでありました。
◆
どのランチョにも、犬が数頭は飼われているんですが、
私たちが入っていくと、猛然と吠えながらダッシュで駆け寄ってきます。
でも怖い犬知らずだった私は、どこでもすぐに仲良くなっちゃって、
そうすると、ものすごく甘えてくるんですね~。
押し合いへし合いで、撫でてくれと、互いに喧嘩までする始末。
ちょっと撫でてやると、掌がギンギラギンの垢だらけになるくらいで、
ここの人たちは犬をこういうかわいがり方しないんだろうなあ、
と思いつつ、それでも甘えたり撫でてもらいたがったりする犬たち、
なんだか不思議な気がしました。
ひとつのランチョに数日かかる調査でしたが、
寝泊りは最寄の石油会社キャンプ地に。
一度は小さな町の中でしたが、
明け方5時には、ものすごい大合唱で目が覚めました。
牛馬豚羊山羊ガチョウアヒルニワトリ七面鳥犬猫から蚊や蝿までが
いっせいにモーモーブーブーギャアギャアワァワァブンブンと……。
すさまじかったです。
もう一度は本当のキャンプ地。
トレイラーをいくつも並べただけのところでしたが、
ここにもまた犬の大群。20頭くらいいたかな。
そのボス犬がこれです。
威風堂々、立派な犬でした。
他には、はしゃぎたい年頃の仔犬、まだ若いメス犬、
ボスにたてつきたい若犬、
それからヒエラルキーを凌駕している女長老といった風情の老いたメス犬、
などなど、普段の私では見られない犬の群の構造や機能を観察できて、
もう楽しいことこの上なし。
お世話になったキャンプ地の皆さんに食べてもらおうと、
椰子の花採りをしています。
◆
最近は、北のほうへ行くと言ってもモンテレイ(大都会)か
レイノーサ(国境の町)へ親戚を訪ねていくだけで、
こんな辺鄙で面白いところへは行けません。
そりゃあもうマジで日射病でぶっ倒れるかも、というくらい暑かったですが、
しかもメキシコへ来る前日のドイツは大雪で、こんなんでしたし。
でもやっぱり、こうして写真を眺めていると、楽しかったなあ、また行きたいなあ~、
とひたすら思います。
未だ道路が整備されて無く両都市の間200kmの半分は最悪の悪路で今なら2時間半で走れる所を4時間掛けて辿り着きました
風景は正にブログの写真そのもので凄かった
途中車に撥ねられた驢馬に鷲や鷹が真っ黒に集っている光景に野生のすざましさを感じさせられました
ホテルに入ると何と流行初めたばかりのプールバーが有ってこれまた驚かされた
リオ ブラボーは此処では淘々と流れる大河
先方の会社の人に何でこんな道で来たのかと言われ帰途は米国の道路で2時間半で戻れました
今は簡単に行けるそうです
>忍者さん
ヌエボラレドの町自体は(写真ありませんが)
15年まえでもそれなりの「都会」でした。
アメリカ人の若者たちが国境を越えてやってきて、
ソンブレロかぶってテキーラ飲んで嬉しがっていた(笑。
そこを少し離れると、動物の大合唱の町、
そこからさらにちょっと行くと、もうどこもこんな風景、でした。
そうそう、リオ・グランデはアメリカ側での呼び方、
メキシコ側ではリオ・ブラボでしたっけ。
モンテレイからヌエボラレドへは今ならまっすぐな高速道路がついているようですが、
当時、しかもレイノーサからの道はおそらく忍者さんと同じようなものだったと思います。
私はバカンスのついでだったから、時間がかかっても楽しかったけど、
仕事の人は大変ですよね。
お察しします
>せにさん
ん? どしてですか?
仕事の話がたまーーに来ますよ。
そんな田舎街だとは思ってませんでしたねー。
果てしない直線道路って退屈ですよね。
しかも、突然人間とか動物が飛び出してくるし。
寝ながら運転しようと思ってもなかなかそうはいきません(笑)
日本のように、山から海に流れるような。
DR.家族と一緒に、シティーからアメリカ・ダラスまで、車の旅をしました。みんなは、アメリカに留学している長女のところへ、私は日本に帰るときでした。
7月だったかな。モーテルのプールで泳いだっけ。
ひたすら北上する道で、電柱のような、背の高いサボテンの林がずっと続くところもありましたね。
国境は、簡単に通った記憶があります。
テキサス州、サン・アントニオでは、高層ビルの下を、船に乗って遊びました。
あの道を、今度は家族で走ってみたいな。
>ユースケさん
ややこしい書き方しちゃいましたが、
ヌエボラレドはちゃんとした(?)都会です。
写真は町でも村でもなくて、ランチョです。
ヌエボラレドからさらに行った小さな町、
そこからさらにガタガタ道を行ったランチョ、
というわけ。
ですので、ヌエボラレドへの出張、心配(?)せずに行ってくださいね。
でも寝ながら運転はダメッ!
死にますよ?
>さくらんぼうさん
日本に14年ぶりに帰ったとき、
実家の裏をダバダバと山から流れ続ける川にびっくりしましたよ。
この水、どこから来てんの~?って(笑。
でもマジ。
日本は狭い分、地形が急で、水が豊かですよね。
メキシコは逆、広くて水が少ない。
川はあっても、ゆったり、がほとんど。
ふふ、ちょっと人間みたいですね。
ハシラサボテンにょきにょきの風景、ダンナの写真で見たことあります!
う~わ~、行きた~~~い!! ここ行きたい~~!
って叫んだけど、今だ実現せず。
いつか行きます、一生のうちには!?
さくらんぼうさんも、またご家族といらっしゃるチャンスがあるといいですね
続いて本文に「はもっとすごかったでしょうね」となっています。
てっきり30年前の亀さんのことかと思いました。
すぐ上のせにしえんたさんのコメントに「やっぱ、あなたはただもんじゃないです」とあるので
よけいそう思ったんです。
ところがその亀さんの返事が「せにさん、ん?どしてですか?」になっているので
笑い転げましたよ。これ、わざととぼけているの?
本気だったらまさに「ただものじゃない」と私も思います。
それでなくても私もせにしえんたさんの説に賛成なんですけどね。
テンプレート変えてみました。
これで、どだッ!
(亀)がタイトルじゃないことがよくわかるでしょ?
で、
>30年前
>はもっとすごかったでしょうねえ。
というのは、忍者さんの
>30数年前にピエドラス ネグロスの工場に用事があって行く事になった
に対するレスポンスなんです。
わかったッ!?
いやでもどっちにしても、そろそろ飽きが来てたんで、
できればこうパァッと明るいテンプレートにしたかったんですがね。
今までの記事で白い文字や黄色い文字使った所が見えなくなっても困るし。
あ、しまった、反転文字使ったところも見え見えだ!
んじゃ~やっぱ、テンプレート戻すか??
うーん、どっちが皆さん、お好きですか?
で、せにさんへのレスはぜんっぜんとぼけてませんから!
真剣に訊いてますから!
>真剣に訊いてますから!
だったんですか、やっぱり?
だったら、「ただものではないの2乗」ということで。
今度のテンプレートもなかなかいいです。
部屋の模様替えの感じでね。
老眼鏡使用者のマルにはこっちのほうが見やすいということもあって
そんなぁ~!
誰か、心優しい人、解説してくださいぷりーず
でもこのテンプレでよかったですか?
私は実は、真っ黒背景ってあんまり好きじゃないんですが、
確かに字は大きめで読みやすいですかね。
それじゃ、しばらくこれで行ってみますか。