亀田司法書士ブログ

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職務上請求書

2014-08-21 09:30:57 | 遺言・相続

職務上請求書とは,司法書士等の法律事務専門家が委任された事務を行うために必要な戸籍・住民票等の公的な書類を, この書面により,委任状なくして代理人として,交付の請求及び受領をすることができるとする書面です。

職務上請求書には,請求する書面を特定するために,本籍・筆頭者又は住所・世帯主を記載する欄があります。 さて,戸籍抄本を請求する際,戸籍の筆頭者が記載されていない場合,様式不備として交付を拒絶することが可能でしょうか?

私は,請求する戸籍が,請求書により特定できるのであれば,交付を拒絶することは相当でないと考えます。 交付を拒絶するためには,正当な理由が必要です。

正当な理由とは,1.請求内容から戸籍の特定ができない又は特定するのに多大な労力を要する 2.請求者(司法書士)の代理権につき疑いを生じる恐れのある場合

1.ついては,言うまでもありません。対象を特定できなければ交付のしようがありません。 通常,戸籍筆頭者は,戸籍を特定するために有力な情報です。ただし,コンピュータ化が一般となった戸籍においては,本籍地と姓が同一であれば,同一戸籍あるいは親族の戸籍である蓋然性が高く,万一,筆頭者の異なる戸籍に同一の氏名の者が存在する場合には,対象者の生年月日を確認する方法で,請求された戸籍を特定することが可能です。

ですから,現在の戸籍一部事項証明書(戸籍抄本)のようにコンピュータ化された戸籍は,筆頭者の記載がなくても請求された戸籍を特定できる場合が多いと思います。この場合1.の要件は充足されることになります。

では,2.については,どうでしょう。これは,判断になりますが,筆頭者の記載がないことをのみをもって,請求した代理権を疑うに足る理由があるとは言えないと思います。

実は,戸籍の抄本を請求するのに,戸籍筆頭者でない請求対象者の本籍・氏名を記載して請求したところ,検索は可能であるが,戸籍筆頭者の記載が無い職務上請求書では交付できません。と交付を拒絶されたことがあります。

その時は,依頼者とその場で連絡が取れ,筆頭者の氏名を聞き取り交付を受けることができたのですが,依頼者とその時点で連絡がとれなかった場合,請求する戸籍が特定されているのに,戸籍筆頭者が判明するまでその場で待つか,改めてその行政機関に出直しをする必要があります。

このような場合,筆頭者の記載がされてない理由等を聴取することにより,代理権不存在の恐れがないと判断できれば,交付すべきでしょう。

このようにして,戸籍筆頭者の記載のない戸籍抄本を職務上請求書により交付しても,行政機関が注意義務違反に問われることはないでしょう。

行政機関は,とかく記載欄の趣旨を考慮せず,表面的な形式を重んじる傾向にありますが,交付の拒絶には,拒絶することに正当な理由が必要であるということを認識していただきたいと思います。

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