本件上告は棄却されました。理由を紹介しましょう。
「所論は,原判決には影響を及ぼすことが明らかな法令違反があると主張するが,その実質は,原判決にいう,T社と同A社の取引を一連の取引と認めず,過払金充当合意の存在を認めなかった原判決には,事実誤認及び判例違反があるというに帰するところ,所論の点に関する原審の認定判断は,本件の関係証拠に照らし,正当として是認することができ,原判決に所論の違法はない。論旨は,原審の専権に属する証拠の取捨判断,事実の認定を非難するか,又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず,採用することができない。」となっていました。
棄却の文は,このような振り合いになるのでしょう。学校における論文のテストのように,主張(陳述)をあげて,この部分が正しくないのですよとは解説してくれません。
納得いくもいかないも,上告理由書を提出して一年半待ってこの結果でした。私より絶対優秀な裁判官3人がこのような判断をしたのですから仕方がありません。でも,借主は,全て貸主の主導的な要求に応えた結果,過払金が時効消滅したのですから納得がいきません。貸主が債権譲渡や借換を指示しなければ,一つの取引が続いていたのです。
現に,プロミスの事案においてですが,債権譲渡会社であるクオークに対して発生した過払金を,譲受会社であるプロミスは引き受けないと判断しましたが,その最高裁判決の原審において,ただし,債権譲渡時に既に生じている過払金を引き受けるものでは無いが,譲渡後債務が存在するものとして返済した分の過払金は,その後基本契約に基づき貸付けた債務に充当する合意があったと判断しているのです。
借主は何も落ち度がないのに,法律違反により生じた過払金返還請求権を時効により失いました。ですから,これを容認する裁判所の姿勢には信頼を抱けません。何か政策的な臭いさえします。残念ながら,訴訟に対する意欲が失せました。
弁護士さんは日々どのような感情を抱いて業務にあたっているのでしょう?このようなことばかりでなく意義あることがたくさんあるから仕事にやり甲斐があるのでしょう。
この程度でへこたれないようにしたいものです。
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