亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

上告審判決日(1)

2017-10-24 14:36:36 | 債務整理

本日は,上告審判決日。上告と言っても一審が簡易裁判所なので,東京高裁が判決を下します。

こちらの上告理由書が高裁に届いたのが昨年4月ですから,判決まで1年半を要したことになります。

控訴審でも感じた裁判所の傾向から,また,上告審の原審さいたま地裁が参考にした貸金業者勝訴の多数の高裁判決からすると,かなり厳しい結果が予想されますが,控訴審の和解のように結論のないまま終了するのではなく,一定の判断が示されることに期待感をおぼえます。

本件は,債権譲渡の後,基本契約を締結させこれに基づく貸付けにより,譲受債権を借り換えさせた事案です。充当できない理由は,譲受債権と基本契約に基づく債権は,種類も当事者も異なるから一個の連続した貸付取引と評価することはできないというものです。

ところが,これら一連の取引は,全て譲渡会社の株式を取得して子会社化した親会社であるC社主導によるものです。タンポート・プロミスの関係に似ています。

これも,借主の不知をいいことに,事後的に一個の連続した取引と評価できるか否かとの,単なる機械的な判断基準により処理しようとしています。

そこには, 利息制限法違反による不当な利得の存在という重大な要素をなおざりにしています。さて,裁判所はどのような判断を下すのでしょう?

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控訴審の結果(7)

2017-10-23 11:47:40 | 債務整理

過払金請求事件の原告である借主は,概ね金銭的に恵まれている人々ではありません。彼らが,時にやむを得ずサラ金に手を出し,法的知識の乏しさにより,払う必要のない利息を長期に渡り支払続けた結果生じたものなのです。いわば,法の不知に基づく奴隷化現象なのです。

裁判所はこれを是正する唯一の機関なのです。過払金の返還を免れることにより,貸金業者は利益をあげ,比較的富裕な株主に配当することになるのです。 確かに一時,貸金業者の破綻が続きました。貸金業者に就業する従業員も存在します。しかし,これは,元々得られるはずのない利益を前提とした事業であり,法の適用のもとでは破綻して当然のことなのです。

私は,最高裁が過払金充当合意を創出し,これを契約締結に際しての当事者の合意事項として理論付けた以上,余程の事情がない限り,一個の契約内の取引には過払金充当合意が及ぶと考えます。 そして,平成20年1月18日判決は,理論的に充当合意が及ばない異なる契約間における取引においても,実質的には同様な契約内容が継続されたものとして,合意の効力が及ぶものとする救済措置であると考えます。

こう考えないと,合意により開始した契約の途中で完済を契機として合意の効力が失われ,次の借入の際にまた効力が復活するという奇妙なことになります。 判例にいう過払金充当合意とは,このように,完済によりいったん遮断され,再貸付けにより復活するという概念だったのでしょうか?

元々違法な利得の返還により,法を遵守するとの目的により創出されたと思われる理論構成からは,このような合意形態は考えられません。 このような事案が多発する過払金返還請求事件では,ともすれば裁判官による主観が優先され,似た事案でも判断結果が異なることが少なからず発生するように思います。

これでは,苦しみながら違法な高金利を返済し続けた一般市民の裁判所に対する信頼を著しく失う結果を招く恐れを捨てきれません。

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控訴審の結果(3)

2017-10-02 13:57:52 | 債務整理

過払金を,以後の貸付金に充当するには根拠が必要です。借主が,過払金の存在を認識し,これをもって,貸付金に充当するとの意思表示をすれば充当されるのですが,借主は過払金の存在に気づいていません。

そもそも利息制限法自体を知らない借主の意思表示をまっていたのでは,過払金は,発生と同時に次から次へと消滅時効が起算されてしまいます。 消滅時効とは,本来このようにして成立していきます。債権者が,消滅時効の完成を意識して注意する必要があるのです。

さて,これからは,判例の趣旨解釈についての私の持論部分です。

最高裁は,基本契約に基づき貸付けと返済が反復継続して行われ,かつ,返済額が一つ一つの貸付けに対応して決まるものではなく,一定の時期の債務残高に応じて額が決まる方式の取引においては,一つの返済が,契約内おいて生じた債務の全体に対する充当意思を持つものとして,このような基本契約には「過払金充当合意」が含まれるとしました。

ただしこれは,当事者の意思解釈としては,かなりこじつけに近いものがあると思っています。なぜなら,過払金の存在を意識していない借主が,一つ一つの返済が,将来発生する債務に充当する意思を含んでいると認識することは困難ですし,貸主も,時効の起算点を遅らせることになるこのような借主の意思表示を認めて取引を開始する認識など持っているはずがありません。

ところが,こうして,過払金充当合意を含む基本契約の存在を認めたところに,最高裁の第1の意図がありました。

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控訴審弁論期日

2017-08-03 16:01:47 | 債務整理

控訴審弁論期日が,7月19日にありました。被控訴人の答弁書(反論書)が,期日の一週間前に届き,その中で司法書士の代理権について主張するところがあったので,少なくともこの部分につき反論する必要がありました。

依頼者と面談し答弁書の内容を検討し,こちらの主張を整理・確認する為の時間を要したため,反論書の提出が,期日直前にならざるを得ませんでした。

過払金返還請求訴訟の控訴審は,通常一回の弁論で終結することが多いのですが,今回は,被控訴人側がこちらの準備書面の主張内容の検討に時間を要するとして,続行期日が入りました。

裁判官は,被控訴人に和解の意思があるのかを尋ねました。本事件につきましては,色々書きたいこともあるのですが,将に審理中のため終了まで記載を控えようと思います。

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控訴理由書作成中

2017-06-14 17:50:55 | 債務整理

控訴理由書の作成中です。現在貸金業者の主張は,ほとんど時効がらみです。

今回は,同一の契約なのに,完済ごとに取引の分断を主張し,なんと簡裁ではこの主張を認めてしまいました。

最高裁は,借主が,取引の最中は過払金についてよく分からないし,これは,貸金業者側が過払金を生ずる取引を続けていたからだとしているのに。

一般人である借主は,債務整理でも通常完済でも,取引を終了しない限り過払金返還請求なんて思いもよらないのが通常です。

利息制限法に違反した取引について,年18%を超える部分を返還してもらうのは当然なのです。

年18%の利息を支払うことがどれほど大変なのか,計算してみればすぐ分かります。

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