亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

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上告審判決日(2)

2017-10-26 13:46:26 | 遺言・相続

本件は,H社がA社に株式を譲渡し,A社から借主に債権譲渡通知と当時に異議をとどめない承諾書の用紙を送付しました。借主は内容が良く分からないまま承諾書を提出し,A社に返済をしました。といっても,店舗も従業員もH社のままです。借主にとっては,店名が変わった程度の認識でしょう。

まもなく,A社は借主と基本契約を締結し,この貸付けで譲受債権を完済(借換)させました。借主は金銭消費貸借取引を続けたかっただけで,関心があるのは借入を受けられるか,返済方法はどうなるのか等であることが推定されます。その後過払金に気づき訴訟を起こした段階では,借換時点から10年以上が経過していました。

1審の簡裁では,請求認容されたものの2審の地裁では逆転敗訴になりました。 敗訴の理由は,債権譲渡に係わる債権と新たな基本契約に基づく貸付金とは取引の当事者や種類を別にするから,一個の連続した取引として評価することができないとされたことでした。

これで,借換時に発生した過払金をA社との基本契約に基づく貸付金に充当できないと結論づけられ,過払金は消滅時効にかかってしまいました。

これは,取引の一体性を重視した結果によるものです。確かに過払金充当合意理論によれば,当初の基本契約がことなるため,充当合意が別契約による取引に及ぶことは考えられません。であれば,平成20年1月18日の理論により充当の適否を判断することになります。

ところが,ここで借換に特有なあることに気づきました。これを裁判所がどのように評価するかが勝敗の分かれ目になると思います。

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上告審判決日(1)

2017-10-24 14:36:36 | 債務整理

本日は,上告審判決日。上告と言っても一審が簡易裁判所なので,東京高裁が判決を下します。

こちらの上告理由書が高裁に届いたのが昨年4月ですから,判決まで1年半を要したことになります。

控訴審でも感じた裁判所の傾向から,また,上告審の原審さいたま地裁が参考にした貸金業者勝訴の多数の高裁判決からすると,かなり厳しい結果が予想されますが,控訴審の和解のように結論のないまま終了するのではなく,一定の判断が示されることに期待感をおぼえます。

本件は,債権譲渡の後,基本契約を締結させこれに基づく貸付けにより,譲受債権を借り換えさせた事案です。充当できない理由は,譲受債権と基本契約に基づく債権は,種類も当事者も異なるから一個の連続した貸付取引と評価することはできないというものです。

ところが,これら一連の取引は,全て譲渡会社の株式を取得して子会社化した親会社であるC社主導によるものです。タンポート・プロミスの関係に似ています。

これも,借主の不知をいいことに,事後的に一個の連続した取引と評価できるか否かとの,単なる機械的な判断基準により処理しようとしています。

そこには, 利息制限法違反による不当な利得の存在という重大な要素をなおざりにしています。さて,裁判所はどのような判断を下すのでしょう?

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控訴審の結果(7)

2017-10-23 11:47:40 | 債務整理

過払金請求事件の原告である借主は,概ね金銭的に恵まれている人々ではありません。彼らが,時にやむを得ずサラ金に手を出し,法的知識の乏しさにより,払う必要のない利息を長期に渡り支払続けた結果生じたものなのです。いわば,法の不知に基づく奴隷化現象なのです。

裁判所はこれを是正する唯一の機関なのです。過払金の返還を免れることにより,貸金業者は利益をあげ,比較的富裕な株主に配当することになるのです。 確かに一時,貸金業者の破綻が続きました。貸金業者に就業する従業員も存在します。しかし,これは,元々得られるはずのない利益を前提とした事業であり,法の適用のもとでは破綻して当然のことなのです。

私は,最高裁が過払金充当合意を創出し,これを契約締結に際しての当事者の合意事項として理論付けた以上,余程の事情がない限り,一個の契約内の取引には過払金充当合意が及ぶと考えます。 そして,平成20年1月18日判決は,理論的に充当合意が及ばない異なる契約間における取引においても,実質的には同様な契約内容が継続されたものとして,合意の効力が及ぶものとする救済措置であると考えます。

こう考えないと,合意により開始した契約の途中で完済を契機として合意の効力が失われ,次の借入の際にまた効力が復活するという奇妙なことになります。 判例にいう過払金充当合意とは,このように,完済によりいったん遮断され,再貸付けにより復活するという概念だったのでしょうか?

元々違法な利得の返還により,法を遵守するとの目的により創出されたと思われる理論構成からは,このような合意形態は考えられません。 このような事案が多発する過払金返還請求事件では,ともすれば裁判官による主観が優先され,似た事案でも判断結果が異なることが少なからず発生するように思います。

これでは,苦しみながら違法な高金利を返済し続けた一般市民の裁判所に対する信頼を著しく失う結果を招く恐れを捨てきれません。

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控訴審の結果(6)

2017-10-18 16:24:34 | 遺言・相続

現在の裁判所の趨勢は,取引終了を外形的な契約ごとではなく実質的に判断すべきだと考えているようです。つまり,同一の契約内の取引においても,完済後の次の借入までの状況により,平成20年1月18日の基準を当てはめてもよいと考えています。

本件も完済後3年間経ち,新たな借入をする際,カードが無い為無人機で新規の申込をしたことをもって,契約番号が同一であることや新たな基本契約書の作成を行わず,取引履歴にも完済後の借入日を契約日と記入していない事実があるにも拘わらず,完済日までの取引と3年後に再度借り入れた取引を別の取引と評価しています。

そして,平成20年1月18日の基準をもって,両者は一個の連続した取引とは認められないとして,完済により初めの取引が終了し,この時から時効が起算されると判断したのです。

これは専ら取引の連続性・一個性を重視する考えです。基本契約の異同に拘わらず取引が一定の期間継続されていない場合,前の取引において存在した過払金充当合意は,取引の連続性に欠けるから,後の取引には及ばないとするものです。

たしかに裁判所の実務として実質的な判断を尊重する姿勢は分かります。しかし,過払金返還請求は,一般の取引に基づき発生した事件ではなく,違法な取引に基づく利得を返還させるいわば違法行為を是正する役割を持つものです。

ですから,違法の是正を第一義的に考え,これを達成する理論を優先して考えるべきです。そうでなければ,本訴のように,通常事件において行われる主張により,容易に正々堂々と違法がまかり通る結果となってしまいます。

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控訴審の結果(5)

2017-10-13 09:52:48 | 遺言・相続

最高裁は,過払金債権者が,過払金の存在に気づかぬまま過払金を時効消滅させてしまう結果になることに,懸念を抱いていると推測できるのではないでしょうか?

なぜなら,仮に借主が過払金の存在に気づいた場合,そのまま続けて返済を行うことは一般常識で考えられません。 そこで,取引中は過払金の存在に気づいていないのであるからその間時効は進行せず,過払金の存在に気づく可能性のある,取引の終了時から時効が起算されるとしたのです。すごく簡単な理屈だと思います。

また,過払金充当合意が,合意という名の下,契約に付着するものであると理論構成している関係から,異なる契約間には合意は及ばないことになってしまいます。

そこで,平成20年1月18日判決で,契約が異なっていても事実上一連の取引と判断すべき6つの事情を挙げました。これは,経済的弱者である借主が,貸主の指示に従って契約書を書き換えることが頻繁に行われていた実情があるからです。

こう考えれば,時効の起算点を左右するものは,借主の過払金の存在の認識可能性の有無に絞れば良いことになります。

ところが,貸主らは,判決文が取引の終了時としている文言をとらえて,一つの基本契約の中でも完済した時に取引が終了したと主張し,この場合にも平成20年1月18日判決の判断基準を採用すべきだとし,これに沿う判決も存在するのです。

そもそも,過払金返還請求をしないまま同じ基本契約により再度貸付けを受けようとする人が,過払金の存在に気づいているはずがありません。ですから,同一の基本契約内において取引をした場合,最後に完済した以外の完済時から時効が起算されるとするのは,明らかに最高裁の判断に反します。

過払金充当合意は,契約に付着する合意なのですから,理論上も契約内の取引が皆無にならない限り,合意が消失することはありません。

このように考えてくれれば,少なくとも一つの基本契約に基づく取引については,最終の取引日から時効が起算されると考えられるはずです。

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