相続財産の確定及び相続人に対する証明のため,預金等の残高証明を取得する必要があります。この申請に必要な書類が,銀行によってかなり異なっています。
今回は,子のいない独身者の相続なので,彼の兄弟に相続権があり,その兄弟も全員死亡し甥・姪が相続人のケースです。
相続財産の確定のため,財産が預金や保険等の金銭債権の場合,残高あるいは解約返戻金の証明書を銀行や保険会社に請求し,金額を確定させてから分割の協議をすることになります。
この場合,必要書類として,普通は,預金者が亡くなったことを証明する戸籍,請求者が亡くなった人の法定相続人の一人であることを証明する除籍及び受任者による請求の場合,委任状及び委任状に押印した実印の印鑑証明書で済みます。
ところが,某都市銀行では,1.亡くなった人に子供がいないこと2.亡くなった人の親が死亡していること3.請求者の親(亡くなった人の兄弟)が死亡していること を証明する戸籍・除籍まで必要とのことでした。その上,受任者である私の印鑑証明書も必要です。
預金や保険の解約返戻金の情報は,確かに個人情報ではあるのですが,司法書士は相続登記の委任を受けた場合,職務上請求書で戸籍や住民票の取得をすることができるのですから,受任者が司法書士・弁護士である場合,受任者を信じて一定限度を超える証明を省略する取り扱いをしても良いと思います。
取引履歴と異なり,法定相続人でも無い人が残高証明を取得して何の役に立つのでしょう。しかも,職業法律家は,不正な手段により,証明を取得すれば懲戒処分を受けます。
書類の重要性の軽重を考慮し,申請人の負担軽減をおもんばかる配慮は無いものでしょうか。
もっとも,今回の残高証明発行のための資料を,預金の払戻しの際に流用してくれるというのなら,少し納得できるのですが。
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