過日の不動産決済のこと。事務所に戻り,所有権移転登記の申請を行うため登記識別情報通知(以前の権利証の代わりに物件毎・所有者毎に発行される12桁のパスワードのようなもの)のシールを剥がそうとしたところ,剥がれません。
銀行から帰って来たのが3時を過ぎていましたので,当日中に申請するためには時間的余裕はありません。こういう場合,焦ってとんでもないことをしてしまうものです。
とんでもないこととは,識別情報通知の裏側から,ハーガスといって切手等を剥がす薬品を塗り,シールを剥がそうとしたのです。
ところが,印字は,識別情報の紙面に直接記載されているのではなく,識別情報をシールで覆わった紙片そのものが通知書に貼られていたのでした。
なので,紙片自体を識別情報通知の用紙から剥がしただけで,パスワードを覆うシールは小さくなったこの紙片から剥がすことになり,余計に難しくしてしまいました。
同職に聞いたところ,アイロンやドライヤーで紙片を暖めると接着剤が緩み剥がれるとのこと。とりあえず,同日は識別情報無しで申請し,休日にドライヤーを事務所に持ち込み,ようやくシールを剥がすことができました。
何でも平成21年10月までの頃発行の識別情報は,剥がれにくく再発行に応じたようです。
これからは,決済の席上で,周りに見えないようにシールを剥がしてみることにします。
決済の場から帰って来てから,シールが剥がれないことが発覚したら大変ですから。
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職務上請求書とは,司法書士等の法律事務専門家が委任された事務を行うために必要な戸籍・住民票等の公的な書類を, この書面により,委任状なくして代理人として,交付の請求及び受領をすることができるとする書面です。
職務上請求書には,請求する書面を特定するために,本籍・筆頭者又は住所・世帯主を記載する欄があります。 さて,戸籍抄本を請求する際,戸籍の筆頭者が記載されていない場合,様式不備として交付を拒絶することが可能でしょうか?
私は,請求する戸籍が,請求書により特定できるのであれば,交付を拒絶することは相当でないと考えます。 交付を拒絶するためには,正当な理由が必要です。
正当な理由とは,1.請求内容から戸籍の特定ができない又は特定するのに多大な労力を要する 2.請求者(司法書士)の代理権につき疑いを生じる恐れのある場合
1.ついては,言うまでもありません。対象を特定できなければ交付のしようがありません。 通常,戸籍筆頭者は,戸籍を特定するために有力な情報です。ただし,コンピュータ化が一般となった戸籍においては,本籍地と姓が同一であれば,同一戸籍あるいは親族の戸籍である蓋然性が高く,万一,筆頭者の異なる戸籍に同一の氏名の者が存在する場合には,対象者の生年月日を確認する方法で,請求された戸籍を特定することが可能です。
ですから,現在の戸籍一部事項証明書(戸籍抄本)のようにコンピュータ化された戸籍は,筆頭者の記載がなくても請求された戸籍を特定できる場合が多いと思います。この場合1.の要件は充足されることになります。
では,2.については,どうでしょう。これは,判断になりますが,筆頭者の記載がないことをのみをもって,請求した代理権を疑うに足る理由があるとは言えないと思います。
実は,戸籍の抄本を請求するのに,戸籍筆頭者でない請求対象者の本籍・氏名を記載して請求したところ,検索は可能であるが,戸籍筆頭者の記載が無い職務上請求書では交付できません。と交付を拒絶されたことがあります。
その時は,依頼者とその場で連絡が取れ,筆頭者の氏名を聞き取り交付を受けることができたのですが,依頼者とその時点で連絡がとれなかった場合,請求する戸籍が特定されているのに,戸籍筆頭者が判明するまでその場で待つか,改めてその行政機関に出直しをする必要があります。
このような場合,筆頭者の記載がされてない理由等を聴取することにより,代理権不存在の恐れがないと判断できれば,交付すべきでしょう。
このようにして,戸籍筆頭者の記載のない戸籍抄本を職務上請求書により交付しても,行政機関が注意義務違反に問われることはないでしょう。
行政機関は,とかく記載欄の趣旨を考慮せず,表面的な形式を重んじる傾向にありますが,交付の拒絶には,拒絶することに正当な理由が必要であるということを認識していただきたいと思います。
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銀行から確定日付の依頼を受けました。確定日付の申請は,公証人役場又は法務局において可能です。
確定日付とは,私署証書に公証人役場又は法務局の日付印を押印することにより,その日に当該私署証書が存在していたことを証明する役割を果たします。
私署証書の場合,日付を遡らせた文書を作成することは容易に可能な事から,必ずしも作成日付にその文書が存在していたことの証拠にはならないからです。
長年司法書士業務をしておりますが,法務局で確定日付付与の申請をしたことがありません。でも,確定付与申請書を記載し,収入印紙700円を貼れば,法務局でも確定日付がもらえます。
今回は,枚数が相当数ありましたので,公証人役場に行きました。私の最寄りの公証人役場では,申請書の記載が不要です。
でも,1~2枚なら法務局への申請が便利ですね。
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京都に本社を置くチワワで有名なA社。訴訟中の案件で,担当を変え何度も和解の電話を掛けてくる。
内容は,とても話にならない。良くて過払金元金の50%である。この担当者の話しぶりに腹が立つのは,原告(依頼者)は,訴訟を続ける意思があるのか,分断の争点を理解しているのかとか。
全く余計なお世話である。その全てを把握した上で,訴訟を選択しているのである。
この会社,準備書面は使い回しの物で,案件毎に即した主張などほとんどできていない。恐らく訴訟対応部署の人数が極端に少ないのであろう。
ひたすら和解を勧め,控訴審の判決までじらしじらし,原告がしびれを切らすのを待つ作戦だ。
こちらは,そんなことは百も承知の上で,依頼者に説明し,承諾を得た上で訴訟を継続している。
今後は,この会社に限り,和解の提案を全てFAXに限るとすることを考慮中である。
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時々見かけるのですが,所有権の仮登記をしていて,仮登記名義人(権利者)が所有権移転登記を受ける際,仮登記をそのままにして,通常の所有権移転登記を行っているケースがあります。
この場合,銀行からは仮登記の抹消を行ってほしいと要求されます。登記原因は混同と言って,所有者と仮登記名義人が同一人物なわけですから,両方の権利が同一に帰したとして(もはや仮登記に存在意義がないため)仮登記の権利が消えます。
この事実は,登記簿上明らかですから,登記原因情報を作成する必要は無いのですが,問題は添付書類です。法務局は,申請構造上共同申請になるとして,義務者(権利者でもある)の印鑑証明書のみならず,登記済証(仮登記の権利を受けた際,法務局から交付された書面)も要求しているのです。
ここが分かりません。実体法上消滅している権利を報告的に抹消するだけなのに,何故登記済証まで要求するのでしょう?
仮登記の本登記(このときに仮登記済証は不要です)をせずして,通常の所有権移転登記をするくらいですから,仮登記の登記済証はほとんど紛失しているか破棄されています。なので,事前通知か本人確認情報添付の申請を行うより他はありません。
最近,立て続けにこれを受任しました。1件は事前通知。もう1件は,代金決済の関係で本人確認情報の方法を採りました。
登記を熟知している(と思っている)者にとっては,この方法は,無駄に登記申請手続きを複雑にしているとしか思えないのですが・・。
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