S社との過払金返還請求訴訟の判決が届きました。結果は,請求棄却で納得できません。
基本契約内が一つであるにもかかわらず,最高裁平成20年1月18日の1個の連続した取引であると評価すべき基準を採用したのです。この裁判官とは,考え方が違うようです。
過払金を後に発生した債務(借入金)に充当できないとするのは,民法にそのような規定がないからです。充当には意思表示が必要だから,相殺または不当利息返還請求の意思表示をして法律行為を行う必要があるとするのが,平成19年2月13日最高裁判決です。
ところが,これに続く前記平成20年1月18日判決まで,充当意思は,債務が発生した都度必要なものではなく,契約時点で予め債務の発生が見込まれるものであれば,過払金が発生した場合にこれに充当する旨の合意は可能としました。いわゆる過払金充当合意です。
貸金業者との基本契約は,貸付限度を定めこの限りにおいて,借入と返済を繰り返す事が想定されているものであるから,債務が発生したら,過払金があればこれを即座に充当して精算するとした条項を基本契約に含むことは可能であると考えることができるのです。
最高裁は,このような契約を,過払金充当合意を含むものとしました。
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