相続登記の依頼を受けた時の方が還付金詐欺にあってしまいました。一人暮らしの方です。
普段はジョークを言っていて,とても判断能力が衰えているとは思えない方です。身よりがいないため,その日,死後事務委任の説明を受けるため事務所に来られました。
その際,市役所から還付金の請求がされていないと連絡が来たことが話に出ました。実は,私の受け持つ被後見人も,同時期に市役所からの還付金があり,私が代理で書面を申請したことにより,振り込まれた事実があったのです。
その時は,てっきりその類いの話か,あるいは高額限度医療費の還付金のことだと思っていました。そして,依頼者は,市役所に行って手続をしてくるものだと思い込んでいました。ところが,なんとその当日に,依頼者が還付金(振り込め)詐欺にあったと,警察から電話があったのです。
聞くところによると,銀行の本店の事務員を名乗る女性から,店舗ではなくATMの機械だけが設置してあるところに電話で誘導され,言われるままの操作をしてしまったようです。不信に思った近所の店の人からの通報により,犯罪が発覚したようです。高齢であり精神的ショックも大きいため,警察に行き自宅まで送り届けました。
年金しか収入が無く,いずれは老人ホームに入所するための資金を騙し取られたのです。許せません。何という卑劣な行為なのでしょう。
それにしても,市からの還付金の話があると話が出た時に,もしかしてと疑うことができなかったことが悔やまれます。これほど,振り込め詐欺が騒がれているときに,まさか身近な人が対象になってしまうとは・・。警察曰く,市からの還付が行われる時期に合わせてこのような詐欺が横行するようです。
とりあえず,日常生活費として使用する金融機関の口座を除き,私が通帳管理をしています。今後の管理の方法ですが,財産管理委任契約か信託による方法が考えられます。
銀行に確認したところ,財産管理委任契約の場合,定期性の預金の払戻については,受任者からの払戻請求に際して,本人の意思確認の方法に相当の制約があるようです。そうなると,受託者名義になる信託の方が使い勝手が良いと思いますが,信託の場合,司法書士が受託者になることができません。
来年契約を行う予定ですが,依頼者の財産を100%守るためのスキームを考えたいと思います。
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