控訴審は,敗訴的和解で終了しました。そこで,裁判所が控訴人に対し,敗訴的な支払額を提示した原因を考えました。
このようなことを書くと裁判所には大変失礼に当たるため,私の妄想と評価していただいて構いませんが,これには,第1回口頭弁論期日において,裁判長が,被控訴人に和解の意思はあるのかと聞いたとき,1審の判決内容を見直す方向なのかと思ったからです。
何故なら請求棄却の場合,敢えて聞く必要のない質問だからです。ただ,うがった見方になりますが,これも和解成立に向けての伏線だとしたら用意周到であると思います。
本訴の争点は,一つの基本契約内における完済後空白期間を経て発生した貸付金に対して,過払金充当合意が及ぶかという点です。
被控訴人は,完全には認めていないものの,基本契約書が一つしかないのですから形式的には一つの基本契約です。
ただし,再貸付時における信用調査等を行った事実を注視し,これをもって別取引であるとする被控訴人の主張について,実務として形式より実質的な判断をすべきとの見解によれば,同一の基本契約内取引においても,取引の一連性は平成20年1月18日付け判例に示す6つの基準を適用して判断すべきであるとの結論に導かれます。被控訴人も同様の見解に立つ勝訴裁判例を証拠として提出してきました。
ところが,最高裁が,そもそも過払金充当合意なる概念を創出した背景には何があるのでしょう?
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