亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

控訴審の結果(2)

2017-09-29 16:45:47 | 遺言・相続

控訴審は,敗訴的和解で終了しました。そこで,裁判所が控訴人に対し,敗訴的な支払額を提示した原因を考えました。

このようなことを書くと裁判所には大変失礼に当たるため,私の妄想と評価していただいて構いませんが,これには,第1回口頭弁論期日において,裁判長が,被控訴人に和解の意思はあるのかと聞いたとき,1審の判決内容を見直す方向なのかと思ったからです。

何故なら請求棄却の場合,敢えて聞く必要のない質問だからです。ただ,うがった見方になりますが,これも和解成立に向けての伏線だとしたら用意周到であると思います。

本訴の争点は,一つの基本契約内における完済後空白期間を経て発生した貸付金に対して,過払金充当合意が及ぶかという点です。

被控訴人は,完全には認めていないものの,基本契約書が一つしかないのですから形式的には一つの基本契約です。

ただし,再貸付時における信用調査等を行った事実を注視し,これをもって別取引であるとする被控訴人の主張について,実務として形式より実質的な判断をすべきとの見解によれば,同一の基本契約内取引においても,取引の一連性は平成20年1月18日付け判例に示す6つの基準を適用して判断すべきであるとの結論に導かれます。被控訴人も同様の見解に立つ勝訴裁判例を証拠として提出してきました。

ところが,最高裁が,そもそも過払金充当合意なる概念を創出した背景には何があるのでしょう?

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控訴審の結果(1)

2017-09-28 18:01:54 | 遺言・相続

控訴審ですが,残念な結果に終わりました。裁判長は,2回目の口頭弁論において弁論を終結し,その場で,予め被控訴人に打診して準備書面に記載されていた額での和解の可否につき,控訴人に意見を求めました。

控訴人が和解額の増額を主張したところ,提示額を僅か数万円上回る額を,裁判所が相当と考える額と述べたのです。

この額は,どのように理論付けても算出できない額であり,言わば和解を成立させるためだけの額と思われます。

本人訴訟において,裁判長から○円が相当であると告げられたとき,本人はこれに抗えるものでしょうか?裁判長の発言は,それ程重いということを,意識してのことでしょうか?

裁判長は,事件を早期に解決させたのですから,実務家としては優秀な方と評価されるのでしょう。ただ,この方法にとても違和感を持ちました。

今まで,裁判所からの和解勧試を,何度も経験しました。しかし,いきなり,裁判所から具体的な額を告げられたことはありません。

一般的には,弁論準備手続等非公開の場で,一方に妥協できる額を聞き,その後その額についての相手方の回答により,双方の妥協をさぐる方法でした。つまり,競りのような方法でした。

ところが,このように裁判所からいきなり額を告げられれば,これは判決に等しい効果をもたらす程の影響力を持つと考えてもおかしくはないでしょう。

仮に本件において,和解を拒否したらどのような判決になったのでしょう?請求を棄却しても,提示額は,あくまで互譲により和解を勧めるための金額であるから,何ら矛盾しないことになるのでしょうか?

とすれば,このままでは,請求棄却になるのだから,少しでも和解額をもらって解決するという助け船を出してくれたことになるのでしょうか?

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後見人届出の本人確認の方法

2017-09-14 16:21:45 | 成年後見

後見人選任審判が確定すると,先ず,金融機関や行政への届出をします。 金融機関の届出書式は多種多様であり,取扱い件数の少ない支店おいては,処理に結構な時間を要します。

預金の名義や届出印を後見人にする場合,実印を押印し印鑑証明書を求める所と,顔写真付きの公的証明での確認で良いところがあります。公正証書の作成等公証人役場では,どちらの方法も採れます。

申請人の便宜を考えれば,顔写真付き公的証明の方法を採っていただきたいと思いますが,写真と本人の容貌が結構相違している場合もあり,実印・印鑑証明書による方法を採る方が,安心・確実と考えるのでしょうか?

ただ,印鑑証明書も偽造される場合もありので,預金取引についての金融機関の注意義務の負担は,決して生易しいものでは無いと思います。

現状,一部金融機関でキャッシュカードの発行を認めない所があり,これは,後見人の本人確認を行った以上,本人自身による通常の取引と異なる方式は,本人及び後見人に余計な負担を課すものであり,変更してもらいたいと思います。

特に振込料はATMより窓口で行う方が高く,また,時間も手間も掛かり大変なのですから。

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