亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

兄弟が相続人となるときの相続の問題点(2)

2018-07-27 10:23:54 | 遺言・相続

表題が長いので少し簡略しました。

現行民法では,子又は直系尊属(親,祖父母等)がいない場合,被相続人の兄弟に相続権を与えています。そして,その兄弟が被相続人より先に死亡している場合,その子すなわち甥姪に相続権が移ります。

平均的な寿命を迎えて死亡した場合,その兄弟も死亡しているケースも多く,特に末っ子等年齢の下の兄弟死亡の場合,上の兄姉も死亡している可能性は高くなります。この場合,甥姪に相続権が移るのですから生存している甥姪の数だけ相続人は増えます。

 さて,兄弟の存在を調査確定するには,被相続人の両親の死亡から出生までの連続した戸籍を取得する必要があります。死亡した人の兄弟は,死亡した人と父母を同じくする兄弟のみならず,父母どちらかが再婚していれば,再婚した後に産まれた子との間も兄弟になり相続権を得ます。

ただし,例えば父死亡で母がその後再婚し産まれた亡父とは父が異なる兄弟が存在する場合,再婚後に産まれて父が異なる兄弟(半血の兄弟)の相続分は,民法900条4号により,亡父の存命中の兄弟(全血の兄弟)の相続分の2分の1になります。

さらには,一旦相続人になった後,遺産分割協議未了の状態でその相続人が死亡した場合,代襲相続ではなく再相続,つまりその相続権を相続した人の法定相続人が相続するという,ダブルの相続の状態になります。

そして,そのようにして相続した人に子がいる場合,子は兄弟のような一代代襲の規定がありませんから,孫や曽孫の代まで相続権が引き継がれます。

このような状態になると,ネズミ算的に法定相続人の数が増える可能性があります。

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兄弟が相続人となる相続につき代襲相続の規定を適用することの問題(1)

2018-06-15 16:32:58 | 遺言・相続

現在の民法の規定では,被相続人(亡くなった人)に子がいない場合(親も既に亡くなっていることを前提とします。),兄弟に相続権があります。そして,兄弟が被相続人より先に亡くなっている場合,甥姪にあたる兄弟の子にも相続権が行きます。

これは,法定相続人がいない場合には,国が相続財産を取得するのですが,そのような事態を避けるため,できるだけ親族に相続をさせる趣旨であろうと思われます。

ところが,昨今の家族状況に鑑みれば,この規定を見直した方が良いと思われる場合が多いと感じざるを得ません。つまり,兄弟の甥姪まで相続人とすると,被相続人に兄弟が多い場合,10人を超える法定相続人になることが珍しくなくなってしまうということです。

本件もその例に漏れず,法定相続人数18名,うち外国居住者が2名の案件でした。

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建物明渡し(4)

2018-05-24 10:16:05 | 遺言・相続

第1回目の口頭弁論期日,被告借主は出席してきました。そして,法定で複数の写真を裁判官に見せるのです。

これは,何度か修繕を要求したにもかかわらず,貸主が一向に修繕をしないのでこのような状態であると立証しようとしたのです。被告の意図しようとすることは分かるのですが, 証拠として提出するのであれば,立証趣旨を記載した証拠説明書と共に提出する必要があります。

それにしても,仮に修繕が不十分だとしても,賃料一切を支払わないことを正当化することにはなりません。 裁判長は,案件を,司法委員を交えた和解の席に移しました。

さて,私はそこで,あらためて被告の主張や現在置かれている状況を聞きました。 被告は,支払わなければならないことは理解している。ただ,現状一括支払いできる程の資金がない。ただし,2~3年後には退職金が入る予定だし,不動産業に長年就いている関係で知り合いに部屋を貸してくれるところはあるとのこと。

そこで,引越費用をこちらが用立て,延滞賃料の減額及び残額の分割払いを提案し,和解が成立しました。

貸主にとっては,引越費用まで立て替えるのは腹立たしい限りかもしれませんが,このまま判決を取っても,執行まで至れば,引越費用を超える 執行費用も見込まれます。それより早期に任意に明渡しをして貰う方が得策と考え,和解に応じました。

残念ながら,賃料滞納事件における延滞賃料の回収は思うように行かないのが現実です。何故なら,もともと生活費に窮している人が賃料未払いになる可能性が高いからです。

この現状に鑑みれば,滞納が少ないうちに,早期に明渡しの法的手続を採る方が,少ない被害で済むと考えるべきでしょう。

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建物明渡し(3)

2018-05-09 11:19:00 | 司法書士の日記

賃借人の主張は,建物の管理が悪いから賃料を支払わないというものでした。 賃借人曰く,何度か貸主に修繕等の対応を求めたが,一向に直さない。だから,賃料を支払う必要が無いというものでした。

これは,一見正当な主張のように思われますが,大きな誤りが有ります。 それは,賃料の支払いと建物修繕とは売買契約のように,同時履行の関係に無いことです。

売買の場合,引渡が無ければ代金を支払いませんよという主張は,同時履行の抗弁権と言って民法533条に規定されています。

しかし,賃貸借の場合は,賃料減額請求または使用に耐えられないほどの大きな瑕疵(欠陥)の場合の契約解除権が認められているだけです。

本件では,修繕しなければ使用に耐えられない程の瑕疵ではなく,修繕しなければ賃料を減額してくださいと請求した上で,聞き入れられなければ,賃料減額の調停を申立てかつ自身が正当と思われる賃料を供託する必要が有るのです。

しかも借主は,不動産関係の会社に勤務する人です。このような知識を持っていないとも思えません。借主は,答弁書でこのような主張したまま一回目の弁論期日を迎えました。

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建物明渡し(2)

2018-05-07 15:09:08 | 司法書士の日記

前回のブログから相当期間が経過しましたが,遅ればせながら,明渡し訴訟の結果をお伝え致します。

先ず本件は,以前の内容証明郵便が受取拒否により,差出人に戻されたという事案でしたので,訴状の送達について懸念があったのですが,あっさり送達されました。

次に,契約条項には,解除後の遅延損害金につき,賃料の2倍相当額とする定めがあったのですが,督促及び解除の通知を被告がいつ受け取るか日時が確定しないため(普通郵便では立証性に問題がある),延滞金及び支払済みまで賃料相当額の損害金を求める形にしました。

これで,契約解除日の特定が必要ないことになります。例え,契約解除後の遅延損害金の額を減額してでも,訴状の複雑化を回避したのです。

すると,当職の不在中,訴状の内容について反論があると,被告の弟と称する者の訪問がありました。その反論とは?

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