時々見かけるのですが,所有権の仮登記をしていて,仮登記名義人(権利者)が所有権移転登記を受ける際,仮登記をそのままにして,通常の所有権移転登記を行っているケースがあります。
この場合,銀行からは仮登記の抹消を行ってほしいと要求されます。登記原因は混同と言って,所有者と仮登記名義人が同一人物なわけですから,両方の権利が同一に帰したとして(もはや仮登記に存在意義がないため)仮登記の権利が消えます。
この事実は,登記簿上明らかですから,登記原因情報を作成する必要は無いのですが,問題は添付書類です。法務局は,申請構造上共同申請になるとして,義務者(権利者でもある)の印鑑証明書のみならず,登記済証(仮登記の権利を受けた際,法務局から交付された書面)も要求しているのです。
ここが分かりません。実体法上消滅している権利を報告的に抹消するだけなのに,何故登記済証まで要求するのでしょう?
仮登記の本登記(このときに仮登記済証は不要です)をせずして,通常の所有権移転登記をするくらいですから,仮登記の登記済証はほとんど紛失しているか破棄されています。なので,事前通知か本人確認情報添付の申請を行うより他はありません。
最近,立て続けにこれを受任しました。1件は事前通知。もう1件は,代金決済の関係で本人確認情報の方法を採りました。
登記を熟知している(と思っている)者にとっては,この方法は,無駄に登記申請手続きを複雑にしているとしか思えないのですが・・。
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利害関係人の承諾書で抹消とか仮登記はテクが必要です。仮登記用の本を一冊持っておかないと本人確認情報を作成して無駄な費用を依頼人に払わせることになります。