本件の争点の一つは,和解契約の効力です。
返済が苦しくなった依頼者が,約定の返済額を支払えず延滞してしまったところ,アイフルが,遅延損害金の一部を減免し,残元金を含めた合計額を分割して弁済する旨の提案をしました。依頼者は,この分割案を受諾し,和解書に署名しました。
アイフルは,この和解契約の効力を否定することは,取引の安定を害することになると主張しました。しかし,この時点で,依頼者は利息制限法制限利率を超過する利息を払い続けてきていますし,この旨の説明や取引履歴の開示も受けていません。
彼にとって見れば,損害金をまけてくれて,利息が付かない分割金を支払えば良いのだから,その時点での彼の情報からの判断によれば,決して悪い話ではありません。いや,そのように考えるまでも無く,延滞している負い目から,提案を飲まざるを得ない心理に追い込まれていたのでしょう。
ところが,現実にはこの時点で利息制限法制限利率に計算し直せば,既に過払金が生じていたのです。常識的に考えても,過払いが生じている取引において,債務を認めて支払う旨の和解をするはずがありません。
このようなあたりまえのことでも,何とか理屈をつけて,自分の主張を認めさせようとするのが訴訟です。
こちらも,「そんなこと常識的に考えてするわけないでしょ!」では裁判上通用しませんので,法的に理論付けた反論を行い,判決を引き出さなければなりません。
さて,当方の主張は,次回に記します。
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