ずいぶん久しぶりの更新になってしまいました。さて,過払金訴訟は,最近めっきり減りましたが,ニ○ス・○○クと続けて,取引履歴破棄の事案を扱っています。
2件ともこちらから取引を推定し,この取引に基づき請求しました。
一つは,口座引落による返済額が通帳に記載されている事案です。ただ,キャッシングとクレジット(立替払)が合算されているので,利限法を超過しているキャッシング取引を推定する必要が有ります。これは,クレジットの引落額は毎月同額なので,残りがキャッシングと推定できます。
もう一つは,月ごとの入金額・貸付額・約定利率及び月末時点の貸付残高のデータのみ開示されている履歴があり,このデータに基づき推定することになります。
推定に当たって,開示された履歴から,借入と返済の習性を探りそれに近い取引に合わせて数字を入力すると,意外にも最初の数か月,全ての要件を満たすぴったりの取引が推定できたのです。その後,数百円貸付残高が合わなくなりましたが,これは,遅延損害金が発生したものとして貸付残高を合わせ,非開示の期間の推定した取引を利限法に引き直して請求額を確定しました。
取引履歴開示初日の残高は,約定利率に基づく残高であることは,貸金業者も認めているのですが,その額を下回る残高である具体的な数値の立証責任は,原告に有るというのが現在の趨勢です。
貸付残高は,被告に有利な事実であるとして,被告が立証責任を負うという主張もできますが,取引履歴が存在しない場合,これを一律に認めると,実際の利得以上の請求額を認めてしまうリスクを重視した考えのようです。
もっとも,武富士を始め,幾多の貸金業者の営業が過払金返還請求により,窮地に陥っていることも一つの要因であると思います。
特に,取引開始日が判明していて,その日から取引履歴開示初日までの日が数年経過しているとき,その間取引が継続していれば,約定利率からしてとうに貸付残高が0円になっていると思われる事案でも,その間取引が継続されていたという事実をどのように主張立証していくかにつき悩ましい問題があります。
取引履歴という確定的な証拠が無い中で,当時原告と被告におかれていた事情という間接事実の積み上げで,どれ位裁判官に認定してもらえるか?
この判断は裁判官の考え方にもよるので,実際やってみないと結果が分からないという状況です。
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