花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

宮城県美術館「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」の感想(4)

2020-08-10 02:02:57 | 展覧会

ボローニャ国立絵画館の玄関脇には、バロック期におけるボローニャ派を牽引したカラッチ一族の3人(ルドヴィコ、アンニバレ、アゴスティーノ)を顕彰する大理石プレートが掲げられている。そして、ボローニャ派の展示室入り口脇には、グイド・レーニを顕彰するかのように、レーニの肖像と、彼の描いた母の肖像が飾られている。

(上)シモーネ・カンタリーニ《グイド・レーニの肖像》(1635-36年頃)ボローニャ国立絵画館

(下)グイド・レーニ《老女の肖像(画家の母の肖像)》(1632年)ボローニャ国立絵画館

今回の展覧会にはグイド・レーニ(Guido Reni, 1575 - 1642年)の《マグダラのマリア》《読書する福音記者聖ヨハネ》とともに、レーニの弟子で肖像画も描いたシモーネ・カンタリーニ(Simone Cantarini, 1612 /15 - 1648年)の《少年の洗礼者聖ヨハネ》も展示されていた。特にカンタリーニ作品はカラヴァッジョの影響が見て取れ、私的に興味深く観てしまった。

シモーネ・カンタリーニ《少年の洗礼者聖ヨハネ》(制昨年不詳)リヒテンシュタイン・コレクション

カンタリーニはペーザロの出身で、フェデリーコ・バロッチやオラツィオ・ジェンティレスキ(一時マルケで仕事をしている)作品の影響を受けたようだ。ジェンティレスキもレーニもカラヴァッジョの影響を受けているし、更にカンタリーニ自身も1640年頃にローマ滞在したことがあるので、制昨年不詳のこの作品にカラヴァッジョ的な明暗表現を見ることは不思議ではないと思う。

ちなみに、プラドのカンタリーニ《聖家族》がカラヴァッジョ《洗礼者聖ヨハネのいる聖家族》を想起させるのも面白い。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:La_Sagrada_Familia_(Cantarini).jpg

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1604_Caravaggio_Heilige_Familie_mit_Johannes_dem_Taeufer_anagoria.JPG