花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「美の美」 画家カラヴァッジオの犯罪

2006-05-15 01:18:40 | 映画
拙サイトの掲示板に書いた内容をそのままブログに再録します。(手抜きかも(^^;;;)

以前、めるがっぱさんや桂田さんにご紹介いただいた吉田喜重監督「美の美」カラヴァッジオ篇2本を「ポレポレ東中野」で観てきました。
・画家 カラヴァッジオの犯罪Ⅰ ―殺人の果ての写実性―(24分)
・画家 カラヴァッジオの犯罪Ⅱ ―シチリア・マルタ島への逃避行―(24分)
http://www.mmjp.or.jp/pole2/binobi.html

解説は四方田犬彦氏で、何と!吉田監督・岡田茉莉子ご夫妻ご臨席でした(・・;)
四方田氏の解説にもありましたが、1970年代にCARAVAGGIOを日本のテレビ番組で扱ったこと自体の先見性には驚いてしまいます。仙台の田舎育ちの管理人は見る統べもありませんでしたが…(涙)

さすがに映像は重厚で、吉田監督自身のナレーションがCARAVAGGIOという画家に光を当てながらズームアップにより浮き彫りにしていきます。ローマからシチリア、マルタへ、カメラは逃亡する画家を追って行きますが、管理人も追っかけた道程でしたので感慨深く見てしまいました。
映像で紹介されたのはフランチェージ教会の「聖マタイと天使」「聖マタイの召命」「聖マタイの殉教」、ポポロ教会「聖ペテロの磔刑」「聖ペテロの回心」&カラッチ作「聖母被昇天」、ボルゲーゼ美術館「病めるバッカス」「蛇の聖母」「ゴリアテの首を持つダヴィデ」「果物籠を持つ少年」、シチリアはメッシーナ美術館「ラザロの蘇生」「羊飼いの礼拝」、マルタは聖ヨハネ聖堂「書物をする聖ヒエロニムス」「洗礼者聖ヨハネの斬首」…だったと記憶しております(多分)。

管理人がなるほどと思ったのは、監督が、CARAVAGGIOは召命や回心を人間の内面に一瞬起こった出来事として写実的に描くことにより、反宗教改革の枠中に居ながら、宗教とは個人の内面的なものであると考え、カトリックの枠を超えた普遍的宗教感を持っていた(管理人の意訳)との指摘でした。画家の「写実性」が反宗教改革のカトリック側体制に取り込まれて行くことにより、画家自体の「実」体が暴力や犯罪として闇の中に失われて行く…(これも管理人の意訳かも)

上映の後に四方田犬彦氏の解説トークがあったのですが、これもまた実に濃い内容で面白く、明日また掲示板でレポートします。