船を走らせながら、潮の変化を見る様にしている。
最近、見られていた赤潮が消えている。
潮の色も、青みが戻りつつある様に感じる。
「少し、良くなったかな」
今日の潮は、そんな印象の潮だ。
潮の色は良くなってきた印象だが、今日のウネリは凄いウネリが入っている。
南東からのウネリで、時折、目線を越えてくる。
幾分でもホッとするのは、ウネリが白波を伴っていない事。
船を走らせながら、ウネリを越えると、谷間に入る感じを受ける。
仲間達も「気持ちが悪い、凄いウネリですね」と、警戒している。
私も、当然、ウネリを警戒しながら、ポイントに入る。
「イサキが釣りたいですね」
金丸さん、加治佐さん、巣立さんも、ウネリを気にしながらの竿出しだ。
潮行き、ゆっくりとした下り潮が、流れている。
最初のアタリは、加治佐さんに来た。
良型の真鰺が、ヒットしてきた。
釣り上げた真鰺を掲げる笑顔が、爽やかだ。
巣立さんにヒットしてきたのは、イサキ。
赤潮が見られる様になって、釣果が出ていなかった。
良型のイサキに、ホッとする。
加治佐さんにも、イサキがヒットしてきた。
立て続けのイサキのヒットに、赤潮で曇っていた気持ちが、パッと晴れた気がした。
一方で、「アタルけど、外れる」浅い食い込みが見られる。
加治佐さん、金丸さん、巣立さん共に、合わせに苦労している。
巣立さんに、アタリが来た。
「重いよ。根魚かな」
ゆっくりと、巻き上げていく。
姿を見せたのは、ガンゾウヒラメ。
「煮付けが美味しいですよね」
釣り上げたガンゾウヒラメを掲げて、食の話に花が咲く。
金丸さんも、浅い食い込みに苦戦している。
時間の経過と共に、ウネリも治まりを見せてきた。
気持ち悪くなる船の揺れだったが、かなり落ち着いてきた。
海が落ち着いてくると、気持ちが楽になる。
食い渋りに悩まされながらも、ポツポツと良型の真鰺がヒットしてくる。
40センチ近い、良型の真鰺。
「アタルけど、外れる」食いの浅さが無ければ…。
掲げられる真鰺の大きさを見て、そんな気持ちになる。
午後1時、午前便の釣りを終えて、船着き場に帰る。
午後便のお客様達と交代する。
午後便になって、潮が変わった。
「潮が動いていない」
塩田さん、黒木さん、鬼塚さんが、潮の動きに同じ感想。
色々と、ポイントに出てくるベイト反応を探りながら、移動していく。
塩田さんに、アタリが来た。
ニベが上がってきた。
鬼塚さんにヒットしてきたのは、アヤメカサゴ。
黒木さんにヒットしてきたのは、ウッカリカサゴ。
しかし、ここから暫くアタリが出なくなってしまう。
船仲間の関屋さんから「凄いベイト反応がある」と、連絡が入る。
この連絡で、状況が変わる。
鬼塚さんに、アタリが来た。
ヒットしてきたのは、真鰺。
鰺のアタリが出始めた。
アタリが続けてきた。
「これは、鰺では無いと思います」
上がってきたのは、イサキ。
午前便でも、姿が見られた良型のイサキ。
この時、船の前方で突然ナブラが立った。
トビウオが、飛び回って逃げている。
ナブラの発生と同時に、塩田さんに強烈なアタリが来た。
「ブリが来ました」
強い引きに、慎重なやり取りが続く。
海中に、姿が見えてきた。
無事にタモに収まる。
丸々と太った、75センチのブリ。
「やりました」と、掲げるブリの重さが気持ち良さそうだ。
黒木さんにも、アタリが来た。
粘りで釣り上げたのは、イサキ。
「ホッとしました」
渋いアタリに苦戦していただけに、ホッとした笑顔だ。
惜しかったのは、鬼塚さんが掛けたブリ。
タモ入れ直前で、針が外れた。
「後少しだったのに…」
口惜しそうな表情が、心の内を語っている。
締めにヒットしたのは、塩田さんカマス。
「これが美味しいんですよ」と、笑顔。
このカマスを締めとした。