「今日は、釣れると良いね」
「久し振りですよね。魚が居るかな」
港を出るとき、釣れるだろうかという不安と、期待が交錯していた。
「頑張ってみようや」
従兄弟の細田信司(以下、信司)に、竿を出す様に進める。
「此処のポイントは、特徴は海底の窪みだよ。ベイトは、其処に集まっているよ」
潮は、下り潮がゆっくりと払い出している。
船の流れる速さは0.3ノット前後。
殆ど流れないと、言っても良いくらいだ。
その中で、信司がアタリを捕らえた。
「ホール中に何か来ました」
ラインが、引き出されている。
「良い感じの引きやね。真鯛やね」
竿先を激しく叩く引きは、まさしく真鯛の引きだ。
海面に綺麗な真鯛が、姿を見せた。
65センチ、2.5キロの綺麗な真鯛。
「久し振りだったので、緊張しました」
信司の、ホッとした笑顔が良い。
「一流し目にアタリを捕らえたね。出足良いね。私も竿を出そうかな」
私も、信司の隣で竿を出すことにした。
すると、私にアタリが来た。
「信司の真鯛よりも大きいかもよ」
ドラッグ音がなり、ラインが出ていく。
そのやり取りを楽しみながら、真鯛を浮かしていく。
73センチ、3.3キロの真鯛が上がってきた。
「やったね。信司より大きいね」と、笑顔で記念写真。
次のアタリも直ぐに来た。
良型のウッカリカサゴだった。
「これは、刺身が取れますね」
美味しいカサゴを手に、今夜のカサゴ料理を考える。
アタリは続いて、私にオオモンハタが来た。
「良い感じのオオモンハタやね。久し振りに釣ったかな」
4回くらい流したところで、ポイントを移動する。
「ここは、初めてやろう。駆け上がりの瀬がポイントだよ」
「ベイトが立ち上がっていますね」
「何かが居るかもよ。最初はジグでやってみるよ」
信司が鯛ラバ、私がジグでトライしてみた。
その一流し目に、私のジグにいきなり大当たりが来た。
「ラインを新しく巻き替えていて良かった」
上がってきたのは、2キロ超のオオモンハタ。
今度は、信司にアタリが来た。
上がってきたのは、大きなアカヤガラ。
美味しいアカヤガラだが、今回は海に帰す。
なかなか潜っていかなかったが、やがて見えなくなった。
信司に続けてアタリが来た。
「おおっ、ビックリした」
横を走る船を眺めていたときに、いきなりのアタリが来た様だ。
体高のある、キロ超のオオモンハタだ。
「此処のオオモンハタの引きは強いですね」
ジグをひったくる様なアタリを見せるオオモンハタに、チョット驚いた表情だ。
この後もボツボツとアタリが来て、ガンゾウヒラメや鯖などが上がってきた。
「ポイントを変えようか」
大島東沖に移動する。
最初のアタリは、私に来た。
ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出されるアタリ。
「きっと真鯛やと思う。ゆっくりやるね」
と、余裕を見せていたら、針が外れた。
「4回も走ったのに、失敗したね」
チョット残念だが、逃げた魚は取り返せない。
信司にアタリが来た。
チダイが、小気味よいアタリを見せて上がってきた。
この後も、レンコダイやガンゾウヒラメが連続して、信司の竿を曲げた。
「このガンゾウヒラメ、大きいね。こんな大きいガンゾウヒラメは久し振りかな」
「肉厚もあって、刺身も取れると思うよ」
釣った魚は、美味しく料理する。
信司の腕も、上がってきたのだろう。
朝は、曇りで丁度良い感じだったが、お日様が顔を出すと急に暑くなる。
「そろそろ帰ろうか」
暑くなって来た事もあり、帰港した。