釣船 開進丸(鯛ラバ、ジギング、一つテンヤ)

釣れる日もあれば、釣れない日もある。楽しかったり、悔しかったり「船釣り」の一時を過ごしてみませんか。

6月1日 下りの激流と北東の風

2021年06月02日 | 日記
船を止めて、潮の流れの速さを確認する。

「2ノット以上で流れているよ」

従兄弟の信司と、その速さにビックリする。

「速いときは、3ノット近くになるよ」



着底したジグの転がる感覚が、ラインを通して伝わってくる。

「多分、このまま張っていたら、ジグが海面に浮いてくるよ」

潟近くで、こんなに速いのは、久し振りの気がする。

「釣りに成りません」

信司も、困った表情をしている。


「もっと、浅いところに行くか」

「そうですね。ロックをやりましょう」

信司と相談して、浅い岩場に移動する。

水深20メートルでも、潮の流れは2ノット超になっている。


南東からのウネリが、岩場に打ち寄せている。

そのウネリも気になるけれど…。

「信司、もっと浅いところに入るよ」

船を流すところは、浅いところで水深4メートル、深いところで水深15メートル。

「アタリが出るだろうか」

そんな心配が、気持ちを支配していた。

しかし、その心配を吹き飛ばす様な、ビックリするアタリが出てくる。

「多分、仕掛けは直ぐに浮いてしまっているでしょうね」

潮を見て、信司が悩んでいたその時、アタリが来た。





「来た!来たけど止まらん」

その獲物は、潮の流れに逆らって、北に走っている。

水深6メートルでのアタリ。

竿で堪えるが、一瞬で切られた。

「浅いから。岩場に当たったかな」

ロックフィッシュ用の針が、折れていた。


気持ちを切り替えて、やり直す。





アラカブが、ヒットしてきた。


コースをずらして、再度流していく。

潮の流れは、速い。

ラインが、どんどん出ていく。

信司の竿に、何かがバイトしている。

いきなり、グイッと竿が曲がってアタリが来た。

「又、来ました」

「差を詰めるよ」と、船で獲物の後を追う。

「水深は、10メートル無いからね。気を付けろよ」




突っ込みを堪えて、巻きに掛かった。

「ゆっくり行け」

船を止めて、タモを用意する。

バチッと、鋭く小さい音が聞こえた。

「どうした」

「切られました」

浅い海底の、ゴツゴツした岩場に当たった…のかな…。


信司は、大物のアタリを捕らえる事が良くある。

北東の風が、強くなってきた。

此処で粘って、何とか取りたいけれど、強風には勝てない。

「場所を変えよう。こんなアタリは出ないかも知れないけど、アカハタを狙おう」


場所を、大きく変える。


「ここも、凄く浅いよ」

「どれ位ですか」

「水深は、5~17メートルくらいだよ」

「海底の岩場は、、どんな感じですか」

「岩が張り出して、その張り出しに引っ掛かる事があるよ」

「濁っていなければ、海底の岩が見えるはず」


水深4メートルの浅場から、流し始める。


そのアタリは、直ぐに来た。




竿が折れそうなくらいに、曲がっている。

「瀬に気を付けろよ」

「あっ…」

一瞬で、ラインが飛んだ。

「また、やられた」

「何が居るんだ。アラかな」

その強烈な引きに、色々な想像が働く。

「負けたくない!」

私も、信司も同じ気持ち。

コースを変えて、次のアタリを探る。


何かが、じゃれついて来るのは分かる。


何度目かの流し。


「来た!。来ました」

直ぐに、船で差を詰める。

「前に立て!落ちるなよ!」





獲物が、島影から沖に向かって、底走りしている。

徐々に水深が、深くなっている。

沖は、時化ているので何とかして、この辺りで勝負したいのだが…

信司が、必死に頑張っている。

「取れ。浮かせ!」

心で強く願うが、海底の岩場が邪魔をする。

「あーっ、切られた。帰られん!」

「釣り上げるまで、船から下りんど!」

口惜しい気持ちの、叫びだ。


何回、仕掛けを作り直しただろうか。


最後の針を結んで、仕掛けを入れていく。

「来ました」





釣り上げたアカハタは、37センチの良型。


「アカハタは、嬉しいけれど、口惜しいね」

二人で、口惜しい話をしながら、強い風の中、帰港した。