
今日も、水平線に上がる朝日は気持ち良い。
右田さんと、少し風を気にしながらポイントへはいる。
ベイトに、昨日までと違う、反応が出ている。
海底付近ではなく、中層に可成り濃いベイトが映っている。
「右田さん、このベイトは鰺か鯖ですかね」
「中層に可成りの幅で映っていますよ」
右田さんが、ジグに枝針を付けて落としていくが、アタリが出ない。
「なんだろう…」
正体を知りたいと思っているところに、右田さんにアタリ。
上がってきたのは、今月初めに水島付近で私もつった「ホシフグ」。
青い魚鯛に白い棘みたいなのが、体全体にある。
食用には適さない魚だ。
「フグの群でしょうかね」
私にもアタリが来て、30センチくらいの鰺が上がってきた。
暫くすると、又しても右田さんの仕掛けにホシフグが掛かってきた。
「フグが群れているみたいですね」
ポイントを移動するが、船を走らせている間、中層にはベイトの群れが映っている。
「このベイトの群れ、油津の沖全体にいるんですかね。可成り、広い範囲ですよ」
ポイントを移動したところで、右田さんにこれまでと違う強いアタリが連続してきた。

しかし、「あっ、外れた」
途中で、全部針はずれになってしまう。
スロージギングで丁寧に底を探り、ワンピッチで中層を探りと右田さんが“獲物”を求めて、丁寧に慎重にジグをシャクリ続けている。
その粘りは、凄い物を感じる。
しかし、次に移動したポイントでも、私も右田さんもアタリが来ても、針外れ。
「当たるんですけどね」
途中で真鯖が上がってきたが、後が続かない。
苦戦しているうちに、風が北東に変わり、ウネリが出始めた。

潮も上り潮が激流になって走り始め、2ノット以上の速さで北に流れる。
「下は下り潮が押してますね」
上潮は上り潮になっているが、中層から下は下り潮が南に押している。
潮が2枚潮になっている。
「風と上潮がけんかして、下潮が下りになっている。変則的な3枚潮みたいですね」
その性なのか、竿先が突っ込むようなアタリが来ても、針外れが起きる。
仲間からの連絡では「水温が17度に下がっています」との事だった。
水温が下がって、魚の活性に影響しているのかもしれない。
「今日は、不調の日ですね」
「潮は2枚潮になってるし、北東の風でウネリも出てきているし、天気には勝てません」
「今日は、帰りますか」
口惜しい思いをポイントに残して、帰港した。