遊心逍遙記

読書三昧は楽しいひととき。遊心と知的好奇心で本とネットを逍遥した読後印象記です。一書がさらに関心の波紋を広げていきます。

『世界のトップアスリート英語名言集』 デイビッド・セイン 佐藤雅子 Jリサーチ出版

2018-07-14 11:21:56 | レビュー
 世界のトップアスリートとコーチ135人が語ったメッセージ、英語名言が収録された本である。既にご紹介した『世界のトップリーダー英語名言集 BUSINESS』と同様に、本書もCD付で出版されている。
 世界のトップに立った、華やかに見えるアスリートたちが何を語っているか。本書の副題は「夢を抱け 前を向け 心奮い立たせよ」である。世界のトップアスリートたちの、その思い・意志と体験が語られている。トップアスリートたちのメッセージから精選されているものと言える。名言の大半は数行の英文である。長いものでもせいぜい十行前後の英文が収録されている。比較的読みやすいと思う。

 名言の内容は12章に分類されてまとめられている。章の和文見出しを列挙すると、次のとおりである。どういう観点のメッセージが収録されているかのイメージがこれでできるかもしれない。
 1.励む 2.向上する 3.信念を持つ 4.勝負する 5.挑む
 6.頂点に立つ 7.揺れる 8.乗り越える 9.共に戦う 10.楽しむ
 11.決断する 12.人生を考える

 各章には、英語の見出しが併用されている。そちらも書き出してみよう。
 1. Practice 2. Progress 3. Believe 4. Challenge 5. Attempt
6. Triumph 7. Manage 8.Overcome 9.Cooperate 10. Enjoy
11,Decide 12. Evolve

 この並記で私が興味を抱いたのは、勝負をする=Challenge、挑む=Attemptと区分していることと、英語のManageという単語が「揺れる」という見出しになっているところだ。 manage という単語は名詞ではマネージメント(management)がビジネスの世界では頻繁に経営や管理という意味で使われている。動詞も英語の辞書を引くと、真っ先に「<事業などを>経営する、管理する;<家事などを>切り盛りする」という説明があり、次に「<人・道具などを>上手に扱う、うまくあしらう・・・」などと記されている。いままで、こういう意味合いで使ってきていたので、「揺れる」と並記されているのがおもしろいと言える。 
章立ての構成から、類推がつくかもしれないが、第11章の「決断する」は、トップアスリートたちが引退を決断した折のメッセージである。この章では10人の名言が精選されている。

 勿論、ここで取り上げられたアスリートの中には、いくつかの章にまたがって繰り返し登場するアスリートが幾人もいる。そのアスリートの一例をご紹介しよう。多分殆どの人が知っている超有名な元バスケットボール選手。そう、アメリカの Michal Jordan(1963~ )が語ったメッセージである。これらの名言がどのように翻訳されているかは、本書を開いて読んでみて欲しい。易しい単語で意義深いメセージが私たちに投げかけられている。

☆ Progress
 Never say never. Because limits, like fears, are often just an illusion.

☆ Believe
 Some people want it to happen, some wish it would happen, others make it happen.

☆ Attempt
 I can accept failure. Everyone fails at something. But I can’t accept not trying.

☆ Overcome
 I’ve failed over and over and over again in my life and that is why I succeed.

☆ Cooperate
 Talent wins games, but teamwork and intelligence wins championships.

☆ Decide
 I choose to walk away knowing that I can still play the game. And that’s what I’ve always wished for my career to end. That’s exactly the way I wanted to end it.
 
☆ Evolve
Life is often compared to a marathon, but I think it is more like being a sprinter; long stretches of hard work punctuated by brief moments in which we are given the opportunity to perform at our best.

日本人のアスリートは135人の中に含まれているか? 
  YES である。わずかだが・・・・・。

一人は、Ayako Okamoto(1951~ ) で、Progress の章に載る名言。
 I’m the type that no matter how long it takes, I am going to make it there. On other words, no matter how slow it is, just step by step, even though people around me sometimes do not understand me. There’s an Aesop fable, the Tortoise and the Hare --- that’s my favorite story, and I’m just like little by little walking towards my goal.

もう一人は、Decide の章に載る、Kimiko Date-Krumm (1970~ )の名言。
 This is not the end, this is a new beginning for me.

 世界に名を馳せたトップアスリートたちが、己自身が夢を抱き、高い目標を掲げ、目標に立ち向かうために、人の目に触れない舞台裏で日々の弛まぬ鍛錬と努力を重ねた。そこには、己を奮い立たせる信念・思いがあった。世界の競技場で、試合の中の華々しいトップアスリートの姿からは見えない部分が、ここにメッセージとして抽出されている。
 凡人の私たちの心を揺さぶるメッセージがここにある。夢を抱き、それを実現させるためには、何が必要なのか? その秘訣が体験・経験を踏まえた実践的なメッセージとして語られてる。副産物は、この名言を読みCDを聴くことが英語学習にもなるということである。

 ご一読ありがとうございます。
 
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『世界のトップリーダー英語名言集 BUSINESS』デイビッド・セイン 佐藤淳子 Jリサーチ出版



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