タックスヘイヴンとして金融業で生きていくことを国策とするシンガポールが舞台である。
シンガポールのラッフルズシティにある高級ホテルの一室のバルコニーから北川康志が転落死した。直接の死因は外傷性脳損傷だという。現地の中央警察署は自殺なのか他殺なのか、捜査に乗り出した。妻の北川紫帆は大使館からの連絡を受けて、遺体の確認及び引き取り・事後処理のため現地に赴かねばならない。紫帆は麻布界隈に住み、”セレブ”な生活を送り、幼稚園に通う子供と生活してきたが、夫が一人で金融コンサルタントみたいなことをしていると理解するだけで、どんな仕事でシンガポールと日本を往来しているのか一切知らなかった。
紫帆はシンガポールに行くにあたり、高校時代の同級生、牧島慧に13年ぶりにいきなり電話して、協力を依頼する。牧島は静岡県内の高校を卒業後、東京の私立大学理工学部を出て、大手電機メーカーに就職。5年前に退職して技術書やビジネス書の翻訳でなんとか食いつないでいるのだ。紫帆は高校時代、牧島に無理難題をふっかけては、彼を振り回していた存在である。しかし、牧島にはそれを許す思いがあったのだ。
突然の電話連絡にビックリするが、彼は紫帆に協力し、彼女の通訳という立場でシンガポールに行くことになる。そして、この北川康志の転落死事件の真相解明に関わっていく。
シンガポールの中央警察署では、犯罪捜査課のアイリス・ウォン刑事がこの事件を担当していた。彼女が当然ながら紫帆と北川に対応し、状況を説明していくことになる。
北川は6年前にシンガポールでコンドミニアムを購入していたのだ。さらに、そこにはシンガポールでの妻と子供が居た。しかし、事件直後になぜか母子は何処かに去ってしまていたのである。
紫帆は夫の仕事内容を全く知らないし、シンガポールに妻子がいたことを初めて知り愕然となるのだった。
そんな状況のところに、スイス系銀行のシンガポール法人のエグゼクティヴダイレクター(執行役員)だと自己紹介するエドワード・ウィリアムズが紫帆に接触してくる。彼は北川康志には1000万米ドルの負債があること。北川との取引に銀行側にもいささかの瑕疵があるために、損金処理の適正な社内手続きをとりこの件を処理したいために、契約書に合意して欲しいと申し出てくる。紫帆が契約書にサインすれば、北川の10億円の負債はチャラになり、時価2億円以上のコンドミニアムも無償で紫帆に譲られる。代わりに紫帆は銀行に対する一切の求償権を放棄する条件だと告げるのだ。
紫帆には判断不能。牧島に頼る。勿論牧島にもそう簡単に判断できる内容ではない。彼は高校時代の友人、古波蔵佑(こばくらたすく)に携帯電話で連絡を取る。そして、古波蔵のアドバイスを得ることになる。古波蔵はそこにカネづるとしての匂いを嗅ぎつける。背後には大きな闇の取引プロセスが潜んでいると・・・・。
古波蔵は大学を出た後、外資系銀行に入り、プライベートバンキングの顧客対応の経験を通じて海外送金の仕組みに自然と詳しくなった。節税・脱税のやり方に習熟したのである。そして、銀行を辞め、フリーのプライベートバンカーになった。そこに、情報屋の柳が接触してきたのである。柳の仲介により海外のまともな金融機関が相手にしない風俗業やパチンコ店など現金商売の顧客の便宜を図るという仕事を引き受けるようになっていたのだ。闇の世界の絡む仕事を金融のプロとして引き受ける。そこには違法行為への関わりも含まれる。彼は闇経済、闇金融の情報網にも強味を持って行く。
この作品、冒頭からおもしろい。古波蔵が関西を中心にファションヘルスやピンサロを手広く経営する堀山の依頼で、彼が脱税行為で得た5億円の現金を韓国への密出国で持ち出し、韓国経由で海外送金するという行動を援助するという脇道からストーリーがはじまるのだ。勿論、それは古波蔵が北川康志の転落死の背後に巨額の金が蠢いていることを察知したとして、そのことに対する裏世界での対応力を持つ。つまり、その裏世界での取引に関わる問題解決を種にしてカネを引き出すに十分な知識と情報網、スキル、度胸を持っている人物であることを示すための伏線でもある。
主な登場人物は4人。そこに情報屋柳が影を投げかけている。北川康志が仕事のために使っていたノートパソコンに残されていたデータファイルがキーになっていく。北川の転落死の後、そのノートパソコンは遺留品として一旦中央警察署に保管されていたのである。牧島がそれを紫帆の代理人として後日受領する。そこから新たな展開が始まる。
この作品の構成・展開で興味深いところがいくつかある。列挙してみよう。
*脱税行為のある種のやり方、その法的背景が種あかし的に描かれていること。それがこの作品の奥行きを広げる。また、知る人ぞ知る危ない情報提供になっている点。
*北川康志の転落死の原因究明プロセスの展開。それがストーリーの本筋なのだ。その事件はタックスヘイヴンを利用したある計画の破綻に関わるものだったということ。
そして、小さな事件の処理に留めるという警察署幹部の思惑が、大がかりな捜査、そして意外な方向に展開していくというおもしろさ。
スケールが飛躍的に大きくなっていく興味深さである。ありそうな話・・・そんな気にさせるストーリー展開である。
*北川紫帆、牧島慧、古波蔵佑という3人が高校時代の同級生であり、紫帆を核にして牧島と古波蔵が微妙な関係を保ちながら、この事件に関わっていくという興味深さ。
そこにはエンジニアだった北川と金融プロの古波蔵のコンビネーションが事件解明に有効に相乗効果を発揮していく展開の興味深さがある。
一方、牧島の視点に立った、「愛」の問題が底流にながれていること。
*アイリス・ウォン刑事が古波蔵に惹かれていくことが、情報という点で一つのキーになっていくこと。アイリスの刑事根性が描かれていく点も興味深い。アイリスには複雑微妙な人間関係が背景にあるという設定もおもしろい。
*シンガポールという国、社会の一側面が描かれていること。何処まで事実の裏付けがあり、どこにフィクションの増幅があるのか・・・・その点に私は興味を抱く。
などである。
金融・脱税の裏世界を垣間見るというおもしろさがこの作品を一気読みさせる。
さてタックスヘイヴンに関わり本作品の出版時点までの法規制に絡むこんな記述がある。カネのない庶民には関わりのないお話なのだが、いくつかご紹介しておこう。後は本作品を読んで探してみていただきたい。
*海外送金が税務署に筒抜けになっている・・・・日本で銀行業の免許を取得している以上、外資系だからといって税務調査を拒否することはできない。プライベートバンクは大口の脱税を見つける宝の山だから、・・・毎日のように東京国税局から海外送金記録を調べに税務署員がやってきた。 p49
*日本の税法では、日本国内に居所のない非居住者になると、海外に保有する資産の譲渡益はすべて非課税になる・・・いったん無税で利益を受け取ったあとは、それを持って日本に戻ってきても課税されることはない。 p384
*シンガポールでは、相続は裁判所が選定した遺産管理人によって行なわれる。遺産管理人が相続人を確定し、財産と負債を調べたうえで純資産を分配するんだから負債を相続することはない。 p321
勿論、税を徴収する行政も手をこまねいているわけではない。本作品で初めて知ったこと。なにせ、カネには全く縁が薄いので・・・・。
2013年から国外財産調書制度が導入されたようだ。「預金や株式・債券、不動産など日本国外に時価5000万円を超える財産がある個人は、所轄の税務署に国外財産調書を提出しなければならなくなった」(p417)。罰則適用は今年度(2014)からだとか。
また、「2014年2月、日米欧など主要20ヶ国・地域は、課税対象者が海外に保有する銀行口座の情報を自動交換することに合意し、2015年末までの導入を目指すとした」(p388)ようである。尚、この合意にはタックスヘイヴン国は含まれていないのだ。
本書にはカネにまつわる辛辣な事実の記述がある点でも大変興味深い。こんなことが記されている。
*賠償や経済援助を積極的に行なったのが、戦後の大物政治家たちだ。彼らがなぜ熱心だったかというと、過去の歴史を反省したわけではまるでなく、要するにカネになったからだ。児玉誉士夫のようなフィクサーをあいだに挟んで、日本の政治家に巨額の裏金がキックバックされたことはもはや常識になっている。 p239
*2013年6月、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がシンガポールとBVIの信託会社から入手した10万件以上の登記情報をインターネットに公開した。ICIJはその後、半年以上にわたって資料の分析を進め、汚職撲滅の先頭に立つ周近平国家主席のほか、温家宝前首相、李鵬元首相ら中国共産党や中国人民解放軍幹部の親族などがタックスヘイヴンを使って蓄財している実態を明らかにした。 p388
日本は次の側面でも東南アジアに影響を及ぼしていることを本作品で知った。
*カンボジアは日本の国際貢献のモデルケースで、司法制度も日本の援助で整備され、カンボジア民法は日本の法律をそのまま持ち込んだものだ。 p389
この作品、ストーリーを楽しむだけでなく、カネに関わる情報が豊富で実におもしろい。カネに縁がなくても、知的好奇心を刺激してくれて楽しめる。
ご一読ありがとうございます。
↑↑ クリックしていただけると嬉しいです。
本作品に関連して、関心事項をネット検索してみた。一覧にしておきたい。
橘玲 公式サイト トップページ
[橘玲の日々刻々]
海外資産の申告義務化で"小金持ち"が陥りかねない罠 :「海外投資の歩き方」
知っておきたい海外投資の税金 :「海外投資の歩き方」
海外口座の情報交換制度をズバリ解説! 2014年7月31日 :「海外送金.com」
平成22年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要 :「国税庁」
我が国の租税条約ネットワーク :「財務省」
タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制) :「pwc」
タックスヘイヴン :「橘玲 公式サイト」
タックス・ヘイヴン :ウィキペディア
what is a tax haven? :「tax havens guide」
offshore jurisdictions explained
プライベート・バンク :ウィキペディア
日本プライベートバンク協会:PB完全ガイド
1億3200万円の脱税容疑から一転、無罪に 八田隆クレディ・スイス証券元部長 国税に勝った男がスクープ告白(週刊現代) :「阿修羅」
事例1 海外資産の申告漏れ :「海外送金.com」
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
↑↑ クリックしていただけると嬉しいです。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
シンガポールのラッフルズシティにある高級ホテルの一室のバルコニーから北川康志が転落死した。直接の死因は外傷性脳損傷だという。現地の中央警察署は自殺なのか他殺なのか、捜査に乗り出した。妻の北川紫帆は大使館からの連絡を受けて、遺体の確認及び引き取り・事後処理のため現地に赴かねばならない。紫帆は麻布界隈に住み、”セレブ”な生活を送り、幼稚園に通う子供と生活してきたが、夫が一人で金融コンサルタントみたいなことをしていると理解するだけで、どんな仕事でシンガポールと日本を往来しているのか一切知らなかった。
紫帆はシンガポールに行くにあたり、高校時代の同級生、牧島慧に13年ぶりにいきなり電話して、協力を依頼する。牧島は静岡県内の高校を卒業後、東京の私立大学理工学部を出て、大手電機メーカーに就職。5年前に退職して技術書やビジネス書の翻訳でなんとか食いつないでいるのだ。紫帆は高校時代、牧島に無理難題をふっかけては、彼を振り回していた存在である。しかし、牧島にはそれを許す思いがあったのだ。
突然の電話連絡にビックリするが、彼は紫帆に協力し、彼女の通訳という立場でシンガポールに行くことになる。そして、この北川康志の転落死事件の真相解明に関わっていく。
シンガポールの中央警察署では、犯罪捜査課のアイリス・ウォン刑事がこの事件を担当していた。彼女が当然ながら紫帆と北川に対応し、状況を説明していくことになる。
北川は6年前にシンガポールでコンドミニアムを購入していたのだ。さらに、そこにはシンガポールでの妻と子供が居た。しかし、事件直後になぜか母子は何処かに去ってしまていたのである。
紫帆は夫の仕事内容を全く知らないし、シンガポールに妻子がいたことを初めて知り愕然となるのだった。
そんな状況のところに、スイス系銀行のシンガポール法人のエグゼクティヴダイレクター(執行役員)だと自己紹介するエドワード・ウィリアムズが紫帆に接触してくる。彼は北川康志には1000万米ドルの負債があること。北川との取引に銀行側にもいささかの瑕疵があるために、損金処理の適正な社内手続きをとりこの件を処理したいために、契約書に合意して欲しいと申し出てくる。紫帆が契約書にサインすれば、北川の10億円の負債はチャラになり、時価2億円以上のコンドミニアムも無償で紫帆に譲られる。代わりに紫帆は銀行に対する一切の求償権を放棄する条件だと告げるのだ。
紫帆には判断不能。牧島に頼る。勿論牧島にもそう簡単に判断できる内容ではない。彼は高校時代の友人、古波蔵佑(こばくらたすく)に携帯電話で連絡を取る。そして、古波蔵のアドバイスを得ることになる。古波蔵はそこにカネづるとしての匂いを嗅ぎつける。背後には大きな闇の取引プロセスが潜んでいると・・・・。
古波蔵は大学を出た後、外資系銀行に入り、プライベートバンキングの顧客対応の経験を通じて海外送金の仕組みに自然と詳しくなった。節税・脱税のやり方に習熟したのである。そして、銀行を辞め、フリーのプライベートバンカーになった。そこに、情報屋の柳が接触してきたのである。柳の仲介により海外のまともな金融機関が相手にしない風俗業やパチンコ店など現金商売の顧客の便宜を図るという仕事を引き受けるようになっていたのだ。闇の世界の絡む仕事を金融のプロとして引き受ける。そこには違法行為への関わりも含まれる。彼は闇経済、闇金融の情報網にも強味を持って行く。
この作品、冒頭からおもしろい。古波蔵が関西を中心にファションヘルスやピンサロを手広く経営する堀山の依頼で、彼が脱税行為で得た5億円の現金を韓国への密出国で持ち出し、韓国経由で海外送金するという行動を援助するという脇道からストーリーがはじまるのだ。勿論、それは古波蔵が北川康志の転落死の背後に巨額の金が蠢いていることを察知したとして、そのことに対する裏世界での対応力を持つ。つまり、その裏世界での取引に関わる問題解決を種にしてカネを引き出すに十分な知識と情報網、スキル、度胸を持っている人物であることを示すための伏線でもある。
主な登場人物は4人。そこに情報屋柳が影を投げかけている。北川康志が仕事のために使っていたノートパソコンに残されていたデータファイルがキーになっていく。北川の転落死の後、そのノートパソコンは遺留品として一旦中央警察署に保管されていたのである。牧島がそれを紫帆の代理人として後日受領する。そこから新たな展開が始まる。
この作品の構成・展開で興味深いところがいくつかある。列挙してみよう。
*脱税行為のある種のやり方、その法的背景が種あかし的に描かれていること。それがこの作品の奥行きを広げる。また、知る人ぞ知る危ない情報提供になっている点。
*北川康志の転落死の原因究明プロセスの展開。それがストーリーの本筋なのだ。その事件はタックスヘイヴンを利用したある計画の破綻に関わるものだったということ。
そして、小さな事件の処理に留めるという警察署幹部の思惑が、大がかりな捜査、そして意外な方向に展開していくというおもしろさ。
スケールが飛躍的に大きくなっていく興味深さである。ありそうな話・・・そんな気にさせるストーリー展開である。
*北川紫帆、牧島慧、古波蔵佑という3人が高校時代の同級生であり、紫帆を核にして牧島と古波蔵が微妙な関係を保ちながら、この事件に関わっていくという興味深さ。
そこにはエンジニアだった北川と金融プロの古波蔵のコンビネーションが事件解明に有効に相乗効果を発揮していく展開の興味深さがある。
一方、牧島の視点に立った、「愛」の問題が底流にながれていること。
*アイリス・ウォン刑事が古波蔵に惹かれていくことが、情報という点で一つのキーになっていくこと。アイリスの刑事根性が描かれていく点も興味深い。アイリスには複雑微妙な人間関係が背景にあるという設定もおもしろい。
*シンガポールという国、社会の一側面が描かれていること。何処まで事実の裏付けがあり、どこにフィクションの増幅があるのか・・・・その点に私は興味を抱く。
などである。
金融・脱税の裏世界を垣間見るというおもしろさがこの作品を一気読みさせる。
さてタックスヘイヴンに関わり本作品の出版時点までの法規制に絡むこんな記述がある。カネのない庶民には関わりのないお話なのだが、いくつかご紹介しておこう。後は本作品を読んで探してみていただきたい。
*海外送金が税務署に筒抜けになっている・・・・日本で銀行業の免許を取得している以上、外資系だからといって税務調査を拒否することはできない。プライベートバンクは大口の脱税を見つける宝の山だから、・・・毎日のように東京国税局から海外送金記録を調べに税務署員がやってきた。 p49
*日本の税法では、日本国内に居所のない非居住者になると、海外に保有する資産の譲渡益はすべて非課税になる・・・いったん無税で利益を受け取ったあとは、それを持って日本に戻ってきても課税されることはない。 p384
*シンガポールでは、相続は裁判所が選定した遺産管理人によって行なわれる。遺産管理人が相続人を確定し、財産と負債を調べたうえで純資産を分配するんだから負債を相続することはない。 p321
勿論、税を徴収する行政も手をこまねいているわけではない。本作品で初めて知ったこと。なにせ、カネには全く縁が薄いので・・・・。
2013年から国外財産調書制度が導入されたようだ。「預金や株式・債券、不動産など日本国外に時価5000万円を超える財産がある個人は、所轄の税務署に国外財産調書を提出しなければならなくなった」(p417)。罰則適用は今年度(2014)からだとか。
また、「2014年2月、日米欧など主要20ヶ国・地域は、課税対象者が海外に保有する銀行口座の情報を自動交換することに合意し、2015年末までの導入を目指すとした」(p388)ようである。尚、この合意にはタックスヘイヴン国は含まれていないのだ。
本書にはカネにまつわる辛辣な事実の記述がある点でも大変興味深い。こんなことが記されている。
*賠償や経済援助を積極的に行なったのが、戦後の大物政治家たちだ。彼らがなぜ熱心だったかというと、過去の歴史を反省したわけではまるでなく、要するにカネになったからだ。児玉誉士夫のようなフィクサーをあいだに挟んで、日本の政治家に巨額の裏金がキックバックされたことはもはや常識になっている。 p239
*2013年6月、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がシンガポールとBVIの信託会社から入手した10万件以上の登記情報をインターネットに公開した。ICIJはその後、半年以上にわたって資料の分析を進め、汚職撲滅の先頭に立つ周近平国家主席のほか、温家宝前首相、李鵬元首相ら中国共産党や中国人民解放軍幹部の親族などがタックスヘイヴンを使って蓄財している実態を明らかにした。 p388
日本は次の側面でも東南アジアに影響を及ぼしていることを本作品で知った。
*カンボジアは日本の国際貢献のモデルケースで、司法制度も日本の援助で整備され、カンボジア民法は日本の法律をそのまま持ち込んだものだ。 p389
この作品、ストーリーを楽しむだけでなく、カネに関わる情報が豊富で実におもしろい。カネに縁がなくても、知的好奇心を刺激してくれて楽しめる。
ご一読ありがとうございます。
↑↑ クリックしていただけると嬉しいです。
本作品に関連して、関心事項をネット検索してみた。一覧にしておきたい。
橘玲 公式サイト トップページ
[橘玲の日々刻々]
海外資産の申告義務化で"小金持ち"が陥りかねない罠 :「海外投資の歩き方」
知っておきたい海外投資の税金 :「海外投資の歩き方」
海外口座の情報交換制度をズバリ解説! 2014年7月31日 :「海外送金.com」
平成22年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要 :「国税庁」
我が国の租税条約ネットワーク :「財務省」
タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制) :「pwc」
タックスヘイヴン :「橘玲 公式サイト」
タックス・ヘイヴン :ウィキペディア
what is a tax haven? :「tax havens guide」
offshore jurisdictions explained
プライベート・バンク :ウィキペディア
日本プライベートバンク協会:PB完全ガイド
1億3200万円の脱税容疑から一転、無罪に 八田隆クレディ・スイス証券元部長 国税に勝った男がスクープ告白(週刊現代) :「阿修羅」
事例1 海外資産の申告漏れ :「海外送金.com」
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
↑↑ クリックしていただけると嬉しいです。
(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)