山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

単位について

2020-06-03 | 数学・物理嫌いを克服する部屋
 算数の時にはよく使われていた単位ですが、数学では単位をつけることがほとんどありません。例えば、半径1の円とか三角形の底辺の長さが3とかいうように、単に数値のみで表されることが殆んどです。これは扱う対象が具体的なものから抽象的なものへと変化したことによるものなのでしょう。
 しかし、自然現象を扱う物理では長さといえばm(メートル)とか、質量でいえばkg(キログラム)といった単位が数値の後には必ずつきます。その他、N(ニュートン)、J(ジュール)、W(ワット)、Hz(ヘルツ)、Ω(オーム)、Pa(パスカル)、・・・。もっとも、摩擦係数や反発係数などのように単位が付かないものもありますが・・・。
 これだけで物理が嫌いになった方も少なからずいらっしゃることでしょう。

 現在はMKSA単位系に統一されているようですが、私たちが物理を教わった時にはCGSガウス単位系というのも良く使われておりました。力学においては、どちらを使おうが大した差は無いのですが、電磁気学になると大きく異なりますので両者の行き来が結構大変な作業となってしまうことになります。工学系の電磁気学の教科書のほとんどがMKSA単位系、物理で半々くらいでしたでしょうか。かの有名なバークレイ物理学コースもCGSガウス単位系だったと記憶しております。面白い(?)ことに、理論物理の先生は殆どがCGSガウス単位系ですが、実験物理の先生はMKSA単位系が多いのです。理論的にはCGSガウス単位系が優れているのですが、歴史的な背景もあり実用的にはMKSA単位系が便利という側面があるのだと思います。
 私が学部で学んだ頃の電磁気の講座は電磁気学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲとなっておりました。電磁気学ⅠとⅡは実験の先生で、電磁気学Ⅲは理論の先生でしたから慣れないうちは大変戸惑ったものでした。

 さて、長さの単位は日本ではm(メートル)を用いますが、海外ではft(フィート)、yd(ヤード)、mile(マイル)、NM(浬)などといった単位が用いられております。フィートは身長や高度、ヤードはフットボールやゴルフで良く耳にしますし、マイルは陸上の距離など、浬は海上や上空の距離などで使用されております。
 質量に関しても日本ではキログラムを主に用いておりますが、海外ではlb(ポンド)、oz(オンス)、gr(グレーン)などといったものがあります。
ポンドはボクシングやレスリングの選手紹介などでコールされますし、ボウリングのボールが15ポンド3オンスなどと使います。
 圧力でも現在はPa(パスカル)ですが、工業分野ではkgf/㎠が主流だったと思います。例えば、タイヤの空気圧などは2.6キロというように省略されて使われておりましたが、パスカルと言われてもねーという感じがします。気象では気圧は昔バールという単位を使っておりました。現在はこれもパスカルに統一されております。ただ、こちらは数値の換算をせずにミリバールをヘクトパスカルと言い換えるだけで済むから大した混乱は起こりませんでした。ただこれは偶々そうなったので、他の多くは2.6kgf/㎠⇒260kPaのように数値の換算も必要に迫られることになります。ですから、しばらく慣れるまでは併記するなどの対策も必要となるでしょう。更には計量法で義務付けられた測定器はどうするかといった問題も発生します。
 このように単位というものは日常の隅々までに大きく影響を及ぼしかねないものなのです。

 現在使用されている単位というものは、歴史的背景を抱えておりますので、その良し悪しを云々することはできません。日本でも昔は尺貫法が使われておりましたが、結構早い時期にメートル法に統一されておりましたので、ヤード・ポンド法を採用している諸外国からすれば物理を学ぶ上では随分と楽だと思います。色々な単位系が混在すると単位系の変換作業が結構面倒臭くなります。例えば、1mといいうと大体これ位の長さだとイメージできます。でも米国人だったら普段はフィートやヤードに親しんでいますから、一々変換しなければ物理ができないということになってしまいます。

 物理を学ぶ上で単位は必要不可欠なものです。質量:kg、長さ:m、時間:sを基本単位として、例えば速さの単位は㎧といった具合に基本単位を組み合わせて作ることができます。
 物理量と単位をセットで理解しておけば、長さ(m)は、係数が付く付かないは置いておいて速さ(㎧)×時間(s)で表すことができることを示唆します。あるいは密度(g/㎤)を求めよといった問題文の中にしっかりと単位が書かれている場合があります。この場合密度の求め方を知らなくても密度=質量/体積といった式を類推することができます。
ですから、ある物理量を計算する際、単位を含めて計算をして左辺と右辺の単位が異なれば何らかの問題があることに気付かされます。
 更に、異なる単位の加減算はできません。例えば、2m+3kgのようなことが意味の無いことであることは明らかでしょう。しかし、数学では単位を表記することが少ないので、何気なく2+3などといったことをやってしまうこともあるでしょう。

 物理に限らず何かを計算するときには、単位を意識しておく必要があります。そうすることにより、致命的なミスの防止ができるのです。単位は面倒臭いものと敬遠せずに、自分の強い味方として活用してください。

 こんなことを書いたら余計に物理が嫌いになってしまったかな!?


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