大飯原発再稼動について、牧野経済産業副大臣は関西電力の電力受給見通しが厳しいことを挙げて、滋賀県知事に理解を求めたとのことです。
再稼動は、電力不足を回避するための緊急避難措置とでも言わんばかりです。これは以前「原発が止まると上がる電気代」で指摘しておりますように、枝野経済産業大臣が恫喝まがいに説明していた路線を踏襲したものです。
「新エネルギー政策の行方」で書きましたように、早急に対策を打つ必要があるにも関わらず、この間政府は何をやってきたのでしょうか?
今になって、電力不足という事実が目前に迫ってきたから、緊急避難だと言われても、おいそれと「ああそうですか」とは言えないでしょう。出来る事を全てやった上で、それでもなお避けることが出来ないのであれば、致し方ないと言えるかも知れません。しかし、何もしないでおいて、漫然と過ごしてきたのであれば、それは自招危難というべきものでしょう。
要は、今後のエネルギー政策の基本が定まっていないことが原因なのです。しばらくの間、原発を使い続けるのであれば、徹底した安全対策を取る。再稼動しないならば、徹底して電力不足対策を取る。一年以上の猶予があったにも関わらず、今頃何を言っているのだと怒りさえ覚えます。
このままだと、不充分な安全対策の中で原発が再稼動することになります。大飯原発が再稼動しただけでは、この夏の電力不足が解消するわけではありません。このままだと原発の安全対策も、電力不足対策も、どちらも中途半端になってしまうことでしょう。