太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

小さな世界

2019-05-23 08:37:46 | 社会観察

一面トップは公証人に関する検察庁の再就職斡旋問題だった。学生時代の友人に公証人になった男が居る。学生時代に司法試験に合格し、最後は高裁判事になった裁判官一筋の男である。学生時代あれほど仲が良かったのに互いに就職してからは疎遠になった。職業柄民間人と親しく付き合うことが憚られたようである。それでも年賀状の交換だけは10数年続き、ああ今どこに居るんだなどの消息は確認していた。それも途絶えるとネットで検索しないと居所は分からなかったが無事定年を迎え公証人になったことが分かった。どちらかというと孤高の人で判決などでも信念の強さ、権力に立ち向かう判例も多く異才の裁判官だった。定年後は弁護士になるのが通例のコースかと思っていたが公証人になった。社会にどっぷりつかり世間に馴染む仕事は性に合わなかったのだろう、公証人になった。専門職に近い公証人は彼にあっていると思った。今回は公募制度の公証人に検察庁幹部がポストを斡旋していたとのこと。友人の場合定年後であり該当はしていないのであろうが、今回の記事はあまり気持ちが良い物ではないだろう。何よりも法律の知識は半端ではなく公募に交じっても落ちることはないだろう。違法なルール破りで誰かを押しのけて地位を得るような男ではない。40数年間の裁判官生活の最後にそんな汚点を残すとも思えない。狭い世界で暮らしてきた男が選べる数少ない再就職先だったのだろう。

昨日は久し振りの本格的雨の後の好天で気温も上昇した。このところボウズ続きだが釣りに出掛けてみた。そろそろ石持ちが釣れるシーズンなので海の堤防に出掛けてみた。ところが生憎風は強く波も相当荒い。平日でもサーファーで混み合う海岸だが人は少ない。長い波ではなく切切れの高い波だからサーフィンには向かないのだろう。多分海岸の波の様子は仲間内でSNSなどで拡散するのだろう。事前情報が行き届いている。釣りの方は当たりもないので早々に何時もの河口に回ってみた。元自衛隊と元棟梁が釣っていた。こちらの顔を見ると如何にも嬉しそうに、遅いじゃないかと言う。どうですかと聞くとやはり釣れてはいない。それでも元棟梁の爺さんは何本も竿を出して穂先を睨んでいる。88歳だったか本当に熱心である。その内せんべいを持ってきてどうだいという。暫くすると余ったからと言ってカレーパンを持ってくる。サービスされるほどのことは何もしていないのだが何時も一人では食べきれないおやつやパンを持っている。多分あげようと余分に買うのだろう。最初は遠慮もしたが最近はありがとうと言って素直に頂戴している。爺さんも喜ばれるとやりがいがあると言うもんだと機嫌が良い。釣った魚を時々近所に配るらしいが要らないと言われるとショックのようである。年寄の親切はありがたく受けることが親切というものだ。

小一時間も経った時自衛隊の竿がしなって大物が掛かった。タモで掬い上げてあげたが40センチ強の丸々太ったせいごである。自衛隊は魚を食べないので何時も棟梁の爺さんに譲る。爺さんは元大工だけあって3枚おろしなどお手の物で、刺身にして酒の肴にするのが楽しみとのこと。包丁捌きの自慢は何度か聞いたが都度、それは凄いですねと感心する。帰り際にお先に、また来ますと挨拶すると、そうだね、また会いましょうと嬉しそうに答える。なにもしてあげてはいないが結構年寄孝行にはなっているのかも知れない。釣り場以外で会うこともないし、これまでの人生に接点があるわけでもない。それでも河口には小さな同じ世界がある。新聞ダネにはならないが。