柔道つながり ~からみつく大外刈~

柔道を通じてたくさんの人と出会い、成長できました。
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強さへの憧れ

2018年09月16日 | 想い
社会人になってから、「強さへの執着は物凄いです」とある後輩に言われたことがありました。

自分では気付いてなかったけど、そう言われると、人よりも強くなりたい!という気持ちが強く、強さへの憧れがあったなぁと思います。


そんな自分が中学生の頃に読んだ本の中で、最も衝撃を受けたのが、木村政彦先生の『我が柔道』という自伝です。

読んでみての感想は、とりあえず強い。
ほとんど負けないんです。

そして、体から精神、思考、生活、食事、豪快さ…生物としてのスケールが違うんです。

何を取っても尋常ではない木村政彦ワールドに、中学生だった僕は頭をガツンと殴られたくらいの衝撃を受け、感激したのを覚えています。

そして、随所に妙に笑ってしまうというか、凄いなと感心するセンスの話が盛り込まれているのがポイントでした。

仲がよかったヤクザとの交流を開けっぴろげに描いているかと思いきや、個人名まで出したそのヤクザを「ダニのような」と書いてみたり、大学での寮生活で味噌汁にウ○コを混ぜて食べてみたり(そして自分でも食べてみて凄い味がしたと書いてある!)、一度乱取りで膝をつかされたことが悔しくて、包丁を持って相手の家の前まで行ったが思いとどまったり、稽古の時間を1日9時間にして、夜はウサギ跳びと腕立て1000回と木への打ち込み1000回のトレーニングを毎日行ったり、フランスではホテルの窓際にとまっていた鳩を鷲掴みにして圧殺し、コックに料理させたり…

ちょっと自分の常識を超えた世界にいる人なんだなと、畏怖の気持ちを覚えたわけです。


しかし、柔道界を離れた37歳の時、一斉を風靡したプロレスラー・力道山との闘いでは、引き分けにするという約束を本番で破られた上、完膚なきまでに叩きのめされ(YouTubeにも動画があがっています)、死ぬまで複雑な思いを持ちながら75歳で亡くなったのです。

木村政彦最強論を信奉する北海道大学柔道部出身の作家・増田俊也が、15年以上の取材を行い、木村政彦の強さを客観的な視点から分析してまとめ上げた渾身の作品が、『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』です。

増田先生は、木村政彦先生の勝ちを裏付けるため、様々な角度から裏を取ってその強さを測定していきます。しかし、一方で力道山の強さも冷静に測っていく上で、自分の中で木村政彦の方が強かったという確信を持てなくなっていくのです。

この過程を見ていると、本当にキツい部分もあるのですが、木村と力道山を取り巻く様々な武人、政治家、女性との相関関係がとても面白く、歴史を感じさせてくれます。
もはや武道の歴史だけでなく、昭和史や日系移民史、社会史の要素も入り、壮大なスケールで木村政彦を取り巻く動きを描いていくのです。

そして、『木村政彦外伝』はそれを補足する内容となっており、一見違う分野の話かと思いきや、全てが木村政彦に繋がっていく内容となっています。




本当の強さとは何なのか?

考えさせられる2冊でした。

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