映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』

2009年11月30日 | Weblog
スカイ・クロラ The Sky Crawlers - goo 映画

ふつう

押井守 監督
声の出演 菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、山口愛、平川大輔、ひし美ゆり子、竹中直人、榊原良子、栗山千明

ショーとしての戦争が行われる、仮初めの平和の時代。永遠に年をとらない「キルドレ」のユーイチは、新たに兎離州基地に配属となった。過去の記憶のない彼だが、初めて乗る機体も身体に馴染み、エースの座に着く。基地司令のスイトはそんなユーイチを複雑な眼差しで見つめていた。そんなある日同僚のパイロット、ユダガワが撃墜され死亡してしまう。墜とした相手は、「ティーチャー」となのる敵のエースパイロットだった……。



映像がひどすぎる。詳しくないが、いまどきのアニメだからセルっぽいところとCGっぽいところがあるのはわかる(クレジットによると、2Dと3Dというう分け方らしい)。そのどちらのパートにしろ、力を入れた部分2割、普通の部分5割、これはないんじゃないの? と思わせるような部分が3割程度あって、そのひどい部分の印象が残ってしまう。特に2Dの部分でそのひどさが目立った。

ストーリーは及第点を超えている。超えてはいるが……。

『ブレードランナー』におけるレプリカントのアイデンティティ問題、『マトリックス リローデッド』以降における前任者問題、それにオリジナル(完全オリジナルか? と問われると自信はないが)の、国民管理のための見せるための戦闘(戦争)だという問題が、非常にわかりづらく、おもしろくなく、まとまりもなく描かれていく(笑)。

ブルーレイで観たのだが、ブルーレイって画面キャプチャーするのが難しいんだな。わたしを怒らせた非常にひどい画面を使いたかったが、できなかった。

『エグザイル/絆』

2009年11月28日 | Weblog


エグザイル/絆 - goo 映画

よい


ジョニー・トー 監督
アンソニー・ウォン、フランシス・ン、ニック・チョン、ラム・シュー、ロイ・チョン、ジョシー・ホー、リッチー・レン、サイモン・ヤム、ラム・カートン 出演

中国返還を間近に控えたマカオ。昼下がりの住宅街で4人の男がひとりの男の帰宅を待っていた。タイとキャットは彼を守るために、ブレイズとファットは彼を殺すために。5人は、かつては強い絆で結ばれていたのだが……。やがてその男、ウーが帰ってくる。そして始まる銃撃戦。だが、赤ん坊の泣き声がした時、男たちは銃を下ろす。そしてウーの妻も交えて晩餐を楽しむのだった……。



つくりは荒削りだが、とても魅力的な作品。

最初の銃撃シーンまでにわからないところが多すぎてストーリーについていきにくいが、それを乗り越えることができればあとは最後までスイスイいける。

銃撃シーンはたしかに目新しいが、ボリュームでいうとたいしたことはない。それよりもシリアスとユーモラスのバランス・転換がうまく、ついついのせられてしまう。

レストランのシーンはもうすこし早めにしないと、観るものの精神バランス上ひっかかりが取れない。

幼馴染みが全員銃の達人で、なおかつ肝心なところではなかなか敵を倒すことができない(笑)。

あの奥さんはマカオ一の奥さんかもしれない。すっげぇガッツ。

『海底軍艦』

2009年11月26日 | Weblog



よい

本多猪四郎 監督
高島忠夫、藤山陽子、小泉博、上原謙、藤木悠、佐原健二、田崎潤、平田昭彦、天本英世、小林哲子 出演

一万二千年前、地殻変動のため海底に沈んだムウ帝国。だが彼らは海底に都市を作り、世界征服を企んでいた。そのころ終戦間際にこつぜんと姿を消した神宮司大佐たちは、孤島でひそかに海底軍艦を建造していた。それを知ったかつての神宮司の上司・楠見はムウ帝国と戦うために轟天号の出動を頼む。だがアメリカとの最終決戦を計画していた神宮司は、これをしりぞける。一方、神宮司の娘・真琴と恋人・旗中はムウ帝国に連れ去られてしまう。やがて始まるムウ帝国の総攻撃。そしてその砲火の中、ついにムウ帝国撃滅を決意した神宮司は、海底軍艦を出動させる……。

ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=85997#1



レンタルではなかなか置いてあるところが少ない作品だったが、ディアゴスティーニのおかげで簡単に買えるようになった。



後半の戦闘シーンがあっさりしていて物足りなく感じる人も多いだろうが、ボロが出にくい(それでもおかしいところはあるが)特撮のためにはあれくらいでいいのかもしれない。



それよりも、軍人の気質を象徴する田崎潤演じる神宮司大佐と、それよりもさらに古いムウ帝国皇帝の性格が、戦前の日本人の性格を二重写しにしているようでおもしろい。両者とも力による自国の再建を考えているのだ。

高島忠夫と藤山陽子の仲がどのように深まったのかは曖昧だが(笑)、田崎潤との親と娘の関係はしっかりと描いてある。

東宝作品の特徴だと思うが、途中で祝祭シーンがある。黒澤作品でも夏祭りのシーンとか似たようなのがある。

『マルセイユの決着(おとしまえ)』

2009年11月22日 | Weblog
マルセイユの決着(おとしまえ) - goo 映画

ふつう

アラン・コルノー 監督・脚本
ダニエル・オートゥイユ、モニカ・ベルッチ、ミシェル・ブラン、ジャック・デュトロン、エリック・カントナ、ニコラ・デュヴォシェル、ダニエル・デュヴァル、ジルベール・メルキ 出演

1960年代のフランス。大物ギャングのギュが脱獄し10年ぶりにパリを目指す。かつての相棒の未亡人マヌーシュがバーを営むパリの暗黒街では、新参者が幅を利かせ、すっかり様変わりしていた。仁義を欠いた世界にもはや居場所はないと見切りをつけたギュは、マヌーシュの助けを借りてマルセイユへ向かう。国外逃亡の資金を作るため最後の大仕事に挑むギュに、警察を率いるブロ警視の巧妙な罠が待っていた。



1966年の『ギャング』のリメイクらしい。オリジナルは未見。

長すぎる(156分)!

男の友情、意地、新世代と旧世代の対決、心の広い奴とセコイ奴の対立、からまってくる美女など一定のおもしろ要素はおさえてあるのだが、それらが気持ちのいいカタルシスにまでなっていない。
たとえばエリック・カントナ演じるアルバンとダニエル・オートゥイユ演じるギュとの友情は後半非常に希薄になっている。

また、ミシェル・ブラン演じるブロ警視も急に卑怯な方法で主人公を捕まえたりとキャラクターが固まっていない印象を受ける。

銃での対決シーンの演出は目新しいと思った。

『イングロリアス・バスターズ』

2009年11月21日 | Weblog
イングロリアス・バスターズ - goo 映画

ふつう

クエンティン・タランティーノ 監督・脚本
ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、ダニエル・ブリュール、イーライ・ロス、ダイアン・クルーガー、ジュリー・ドレフュス 出演

1944年6月、ドイツ占領下のフランス。映画館主のミミューはドイツ軍の英雄フレデリックに言い寄られ、挙げ句にナチスのプロパガンダ映画をプレミア上映させられることになった。その事実をつかんだイギリス軍はナチス諸共映画館を爆破すべくアルド中尉率いる“イングロリアス・バスターズ”を動員し、スパイのブリジッドと接触を図らせる。一方ナチスでは“ユダヤ・ハンター”の異名をとるランダ大佐が動き出し……。



見せ場にはこと欠かないが、ヤマ場(盛り上がり)に欠ける。

さまざまな過去の映画への愛が込められているらしいが、作品の質を高めるまでには至っていない。

クエンティン・タランティーノは編集能力がない監督として有名だが、たとえば第一章はカットしてもそれほどこまらない。そして、第一章をいれるのであれば、メラニー・ロランとクリストフ・ヴァルツはエンディング前にもうすこし深くからめてほしかった。

ほんとうの主人公はクリストフ・ヴァルツ。

音楽の使い方はあいかわらずかっこいい。

一見の価値はあるが、やはり長い(笑)。

『あの日、欲望の大地で』

2009年11月16日 | Weblog
あの日、欲望の大地で - goo 映画

よい

ギジェルモ・アリアガ 監督・脚本
シャーリーズ・セロン、キム・ベイシンガー、ジェニファー・ローレンス、ホセ・マリア・ヤスピク、ヨアキム・デ・アルメイダ、ジョン・コーベット、ダニー・ピノ、J・D・パルド、ブレット・カレン、テッサ・イア 出演

断崖にあるレストランでマネージャーを勤めるシルヴィアは、颯爽と仕事をこなしつつも、行きずりの男性と関係を重ねる孤独な日々を送っていた。ある日彼女の前に、マリアという少女を連れた男が現れる。シルヴィアには、誰にも言わずにきた過去があったのだ…。シルヴィアは少女時代、マリアーナと呼ばれていた。乳がんを患ったマリアーナの母は、妻子ある男性と恋に落ち、あるトレーラーハウスで情事を重ねていた。



おもしろい!

時間軸をずらすという手法ももうありふれてきたと思うが、そのずらされた時間のストーリー自体がおもしろいことと、もうひとつ、これは意図的だと思うが、観るものをミスリードさせるような描き方もあって、とても新鮮だった。

おもに4人のキャラクターが時間軸を細切れにされて描かれているが、そのうちのひとりをわたしはシャーリーズ・セロンの<さらに小さいころ>だと思っていたのだ! それが違うとわかったときの驚きはかなりのものだった(もちろん、うれしい驚きなのだが)。

ラストもすばらしかった。

『幸せはシャンソニア劇場から』

2009年11月16日 | Weblog
幸せはシャンソニア劇場から - goo 映画

よい

クリストフ・バラティエ 監督
ジェラール・ジュニョ、クロヴィス・コルニアック、カド・メラッド、ノラ・アルネゼデール、ピエール・リシャール、ベルナール・ピエール・ドナデュー、マクサンス・ペラン、フランソワ・モレル、エリザベート・ヴィタリ、フレデリック・パパリア 出演

1936年、パリにあるミュージックホールのシャンソニア劇場は、経営不振のため閉鎖となる。30年以上この劇場で幕引きを務めたピゴワルは妻にも逃げられ、息子のジョジョとも引き離されてしまう。失意の日々を送るピゴワルだが、芸人仲間のジャッキーとミルーと一緒に、再度営業を始めようと劇場を占拠してしまう。そこに、歌手志望の美しい娘・ドゥースがやって来る。ドゥースはアナウンス嬢として採用されるのだが……。



ハート・ウォーミング・ドラマ。
経営不振の劇場が舞台というと、ロバート・アルトマンの『今宵、フィッツジェラルド劇場で』を思い出したが、あちらよりも登場人物が少なく、それぞれの性格もシンプルでわかりやすくなっていて、その結果として話も伝わりやすくなっている。

ピエール・リシャールが演じたラジオ男がおもしろい。あることがあって20年間ひきこもりの老人なのだが、どんどんかっこよくなっていく。

政権の変遷とともにイチオシメニューが変わるカフェ(笑)。


『ブレンダン・フレイザー 復讐街』

2009年11月15日 | Weblog
ふつう

エリック・イーソン 監督・脚本
ブレンダン・フレイザー、スコット・グレン、モス・デフ、アリシー・ブラガ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ルイ・ポラナ、マテウス・ナシュテルゲーレ、ギルソン・アルベルト・ゴメス 出演

ブラジルの大都市・サンパウロ。アメリカから逃げてきた二人の親子ロッソ(スコット・グレン)と息子ポール(ブレンダン・フレイザー)はナイトクラブ兼売春宿を営みながら何とか生計を立てていた。
ある夜、コカインの入ったスーツケースを持ったひとりの客が、女とのいざこざから店で銃撃され死んでしまった。ロッソとポールはそのコカインを売り、その金で新しい生活を手に入れようと考える。ロッソは店をポールに譲り、若く美しい後妻アンジー(カタリーナ・サンディノ・モレノ)と幼いもうひとりの息子と共にどこか遠くの街で暮らすことを計画。一方ポールは、その話に乗るフリをしながら、実は金をすべて手に入れ、さらにアンジーらをも自分のものにしようと狙っていた。そして、自分の人生を狂わせた実の父親の命までも……。

ストーリーは松竹DVD倶楽部からの引用
http://www.shochiku-home-enta.com/shop/item_detail?category_id=30739&item_id=235631



原題「JOURNEY TO THE END OF THE NIGHT」がセリーヌの小説『夜の果てへの旅』を連想させるが、直接的な関係はない。絶望的な状況というところが共通しているかもしれない。

それぞれのキャラクターの描きこみが圧倒的に不足している。
過去にトラウマになるようないやなことがありました。その復讐がこれ?
あまりにも途中経過を省略しているために、話についていけないのだ。

親子関係はすこし多めに描かれているが、それ以外の男女関係、主従関係、交友関係が説明不足でとってつけたようなものになっている。あの予言者はいったいなんだったのか? 活かしきれていないキャラクターがたくさんいる。

『エージェント・オブ・ウォー』

2009年11月14日 | Weblog
よい

ジョシュア・セフテル 監督
ジョン・キューザック、ヒラリー・ダフ、マリサ・トメイ、ジョーン・キューザック、ベン・キングズレー、ダン・エイクロイド、セルゲイ・トリフノヴィッチ、ネッド・ベラミー、モンテル・ウィリアムズ 出演

21世紀の世界は、国家に代わり企業が治め、企業が国に代わり、歴史を作り、目標達成の為に軍隊を組織している。元CIAのハウザーは、今は殺し屋。企業間の難しい問題をより早く解決するために、元副大統領が経営する戦争請負企業から依頼を受けて仕事をしている。今回の依頼は、中東の国トラキスタンの大物、複合企業ウジ石油のCEOオマー・シャリフの殺害である。見本市の仕掛け人に扮したハウザーは、人気ポップスターのヨニカに近づく。そして、彼女と政治家の息子の結婚式を利用して、オマー・シャリフの暗殺計画を企てていたのだが、多くの問題が勃発し始める―。

ストーリーはアマゾンからの引用
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC-DVD-%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%95%E3%83%86%E3%83%AB/dp/B001TITK26



近未来ハードバカコメディ。
このよさがわからない人は、しょせんシャレが通じない人なのだ。

かなり(アメリカの)民主党よりの内容だが、オバマ政権成立前の作品のようだ。元々アメリカの映画界は民主党よりが多いそうだが。

自分を見失いかけているがタバスコの120倍のホットソースを飲むことでどうにか自分を保っている暗殺者と、自分を見失いかけている超音痴のアイドルと、美人新聞記者の三人を中心に、架空の国トラキスタンで繰り広げられる戦争と政治のキツいコメディ。

石油利権のためにはじめられた戦争とか、人道的破壊行為(笑)とか、攻撃される安全地帯とか、兵士じゃないのに惨殺される人たちとか、最近どこかで似たようなことがあったような気がする。

『バンコック・デンジャラス』

2009年11月06日 | Weblog
バンコック・デンジャラス - goo 映画

ふつう

オキサイド・パン、ダニー・パン 監督
ニコラス・ケイジ、シャクリット・ヤムナーム、チャーリー・ヤン 出演

引退を考えていた凄腕の暗殺者ジョーは、最後の仕事をこなすためタイのバンコクへやってきた。彼はいざとなったら消してしまえる使い捨ての連絡役としてチンピラのコンを雇うと、早速仕事に入る。だが最初の標的を殺した際に腕を負傷。そして薬を買いに寄った薬局で耳の不自由な店員フォンと出会い、心を惹かれていく。そんな中コンが仕事の最中にジョーとの約束を破ってしまう。厳しいジョーはコンを殺そうとするが……。

暗殺者としての主人公、恋愛モードの主人公、そしてマスターと弟子の関係の主人公。それぞれのパートがうまくつながっていない。脚本の失敗であろう。

それぞれのパートに見せ場はあるしそこそこのおもしろさもあるのだが、主人公のアマさ、ヌルさが目立ちすぎて、話にのめりこむことができない。

暗いシーンも多すぎる。