映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『WXⅢ PATLABOR THE MOVIE 3』

2007年05月30日 | Weblog
WXⅢ PATLABOR THE MOVIE 3 - goo 映画
ふつう

監督:遠藤卓司/総監督:高山文彦
声の出演 綿引勝彦、平田広明、田中敦子、穂積隆信、拡森信吾

舞台は昭和75年の東京という、もう一つの日本。二人の刑事と、ある女性科学者を中心に重厚な人間ドラマが展開する。レイバー連続襲撃事件を発端に浮かび上がる、巨大な陰謀と小さな悲劇──。  オフィシャル・サイトより

貨物飛行機の墜落後、なにかが動き始める……、というストーリー。

1.「WXⅢ」というのが、どのように読むのか素人にはわからない。「ウェイスティッドサーティーン」と読むらしいが、原作の「廃棄物13号」のほうが良かったのではないか。

2.一連のパトレイバーのシリーズと同じ感覚で見ると期待は裏切られる。外伝ものと考えたほうがいいだろう。

上記の理由から、この作品がどの層をもターゲットに絞り込んでいないことがわかる。

ストーリーはよく練られているのだが、ここにパトレイバーが出てくる必然性がまったくない。誘導と焼却を自衛隊がやっていて、薬剤を撃つところだけ警察が出てくるのが不自然であり邪魔である。

人間ドラマとしてはかなりいいと思うのだが、それでも主人公が甘すぎるし、パトレイバーシリーズには似合わない。原作(漫画)のほうがポイントをついた人間ドラマを描いていた。

冒頭の釣り船と海のCGはひどかった。ふつうのセルアニメ(今でもあると思うが)ではいけなかったのだろうか?

『81/2』

2007年05月29日 | Weblog
81/2 - goo 映画
よい

フェデリコ・フェリーニ 監督
マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、クラウディア・カルディナーレ、サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール 出演

映画監督が味わう幻想世界。

まず、タイトルは「はっかにぶんのいち」と読む。むかし帯分数は「はちとにぶんのいち」ではなく、「か」を使っていたのだ。
ビデオのタイトルは『フェリーニの81/2』となっていた。

ストーリーに興味がある人は、上記gooのリンクの、「81/2」解説とあらすじの詳細を参照してもらいたい。観てもわからなかったところまで詳しく書いてある(笑)。

しかし、ここで楽しむべきことは、フェリーニの分身であるグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)のイメージ(妄想を含む)と記憶の交錯である。
冒頭、浮かんで落ちる人間、地中に埋まる人間、ハーレムが地獄になる展開、映画がどのようにして出来上がるのか、もしくは映画がどのようにして壊れていくのか(笑)。
男はバカでスケベでガキンチョだということもよくわかる。

『主人公は僕だった』

2007年05月28日 | Weblog
主人公は僕だった - goo 映画
ふつう

マーク・フォースター 監督
ウィル・フェレル、エマ・トンプソン、ダスティン・ホフマン、クイーン・ラティファ、マギー・ギレンホール、リンダ・ハント、トニー・ヘイル、クリスティン・チェノウェス、トム・ハルス 出演

国税庁の会計検査官ハロルド・クリックは、不思議な女性の声が聞こえてくることに気づいた。それは自分の人生を解説するような作家の声だった。

ふつう(というにはおもしろみに欠けるが)の人生をおくっているつもりが、それが作家による小説の内容だったら? という着想はおもしろいが、そこから深くもならないし、驚くべき展開があるわけでもなかった。

ただし、今よりちょっとマシな世界を望むという考えは、素直な人には受け入れやすい内容で、感動する人も多いだろう。

主人公とダスティン・ホフマン演じる大学教授の最後の態度は許せるが、作家の最後の態度はわたしには理解できない。彼女にとって、ハロルド・クリックの物語は処女作ではないのだ。今回だけの特別な出来事というふうに解釈したのならば、主人公の名前を変えればクリアできる問題だったのではないだろうか。

主人公が観に行く映画が『モンティ・パイソン 人生狂騒曲』というのはよかった。

『トゥモロー・ワールド』

2007年05月21日 | Weblog
トゥモロー・ワールド - goo 映画
よい

アルフォンソ・キュアロン 監督
クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム、クレア=ホープ・アシティ、パム・フェリス、ダニー・ヒューストン、ピーター・ミュラン、 ワーナ・ペリーア、ポール・シャーマ、ジャセック・コーマン 出演

子どもが生まれなくなった近未来、最後の妊婦を安全な場所だと思われるところへ連れて行くために、元活動家で官僚のセオが徐々に目覚めていく。

レンタル屋さんで借りたときに179分というシールが貼ってあったので、こりゃ二日がかりだなと思っていたら、実際は109分だった……。

SFとか範疇で考えてはいけない。ここでアルフォンソ・キュアロンが訴えているのは世界平和なのだ。
写真からもわかるだろうが、IRAとの内戦を思わせる世界を作り、そこから脱出するためには何が必要なのかを問いかけてくる。
主人公のセオは最初は無関心・無感動に見えるが、昔の恋人や妊婦と関わることにより、少しずつ内部的変化が起こる。その部分と最後の30分がこの映画のヤマ。

残りの部分はつまんないのかというとそうではなくて、細部におもしろさが詰まっている。愛のピンポン、空飛ぶブタ、靴、犬と猫、表情がわかりにくいマイケル・ケインなど、満載だ。

冒頭、最年少の人類が死んだ理由に皮肉が利いている。

『ホテル・ルワンダ』

2007年05月20日 | Weblog
よい

テリー・ジョージ 監督
ドン・チードル、ソフィー・オコネドー、ホアキン・フェニックス、ニック・ノルティ、デズモンド・デュベ、デヴィッド・オハラ 出演

ルワンダで起きた内紛による大量虐殺とそれを試行錯誤で救ったホテルマンの実話。

誰が悪いのかということよりも、知らないでいることは悪いことだということと、教育の必要性を感じた。

それと、この作品を劇場で観るために日本では署名活動が必要だったのかと思うと、やはり日本に文化はないのだろう。

『ルパン』

2007年05月20日 | Weblog
ルパン - goo 映画
よい

ジャン=ポール・サロメ 監督
ロマン・デュリス、クリスティン・スコット・トーマス、パスカル・グレゴリー、エヴァ・グリーン、ロバン・ルヌーチ、マチュー・カリエール、フィリップ・ルメール、マリー・ビュネル、パトリック・トゥーミー、フィリップ・マニャン 出演

怪盗アルセーヌ・ルパンのおいたちと、モーリス・ルブランの原作を取り入れた物語。

ええと、上映時間は長いし緩急のバランスは悪いし、ふつうの人にはオススメしない。しかし、ケレン味大好き、ふつうの展開に飽きかけた人にはいいかもしれない。

それと王党派、ボーマニャン、カリオストロ伯爵夫人の三勢力があることを理解しておかないと、楽しめない。
最後が長すぎるし、それよりも力をいれてほしい部分にはいっていないところもある。

以下ネタバレ







財宝が隠された奇岩城は、実は映画の早めの時間に登場している。
母にルピナスを送ったのが誰なのかが一応の謎とされているが、ルピナス=Lupinusということがわかると、ミステリーを楽しむというよりも、ケレン味を楽しむ映画だとわかる。
DVDの日本語バージョンで観ると、聞きなれた声が多数出演している。

『老人Z』

2007年05月16日 | Weblog
老人Z - goo 映画
よい

北久保弘之 監督
声の出演 松村彦次郎、横山智佐、小川真司、近石真介、辻谷耕史、佐藤智恵、松本梨香

近未来の高齢者社会、厚生省は全自動介護ベッドを開発し、ある老人を半ば強制的にモニターに選出した。

原作・脚本大友克洋、キャラクター原案江口寿史というゴージャスなカップリングだが、残念ながら、江口寿史の魅力は活かされていない。作画の問題か、江口寿史のキャラは止め絵向きなのかどちらかだろう。

それでもこの作品くらいまでが、わたしがなじめるアニメーション映画となる。
これ以降の作品はむだなCGの多用、キャラクターの皮膚の色ののっぺり感などが鼻につき、なじめなくなるのだ。

ほんわかコメディときどきアクションの内容で、気軽に観ることができる。

『ブロック・パーティ』

2007年05月13日 | Weblog
よい

ミシェル・ゴンドリー 監督
デイヴ・シャペル、ローリン・ヒル、カニエ・ウェスト、エリカ・バドゥ、モス・デフ、ジル・スコット、ワイクリフ・ジョン、ザ・ルーツ、コモン、ビッグ・ダディ・ケイン 出演

2004年9月18日、人気コメディアン、デイヴ・シャペルが呼びかけ、ブラックミュージック界のスターたちが集まるライブがブルックリンで開催された。

コメディアンのデイヴ・シャペルも知らなかったし、登場したミュージシャンも数人しか知らないが、非情によかった。シャペルの人柄が出ていて、彼の地元への愛があふれている。
音楽ではデッド・プレズが異彩をはなっていた。

『ナイロビの蜂』

2007年05月12日 | Weblog
ナイロビの蜂 - goo 映画
ふつう

フェルナンド・メイレレス 監督
レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ、ユベール・クンデ、ダニー・ヒューストン、ビル・ナイ、ピート・ポスルスウェイト 出演

妻の死後彼女が環境問題に取り組んでいたことを知り、彼女の死の真相に近づいていく外交官の話。

いろいろな要素を含んでいるが、どれも中途半端な描き方。
だいたい死後に妻の行動に興味をもつというのが、わたしの肌にあわない。
生きているうちにもてよと言いたくなる。
優柔不断な男の結末もそれ相応で不満が残るが、これは原作のせいなのか、監督の描き方がへたくそでああなったのかはわからない。

それと、一度イギリスにもどってから親戚の裏の仕事に頼るところがあるが、あれもとってつけたようで、ご都合主義に見える。

『M:I:Ⅲ』

2007年05月07日 | Weblog
M:i:III - goo 映画
ふつう

J・J・エイブラムス 監督
トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q、ジョナサン・リス=マイヤーズ、ミシェル・モナハン、ローレンス・フィッシュバーン、ケリー・ラッセル、ビリー・クラダップ、サイモン・ペッグ 出演

妻を連れ去られたIMFのエージェント、イーサン・ハントが謎の武器商人にたちむかう。

最後までは「よい」という評価でもいいかなと思っていたが、最後が……。
スパイ・アクションのシリーズだと思っていたが、この3作目ではアクションだけの強調で、スパイ物としてのストーリーのおもしろさはない。

なによりも気に入らないのが、敵との最後の戦いだ。あれはないだろう。あの倒し方はダメだ。

次への展開がうまく、あっというまに終わったが、肩すかしをくらった感じ。
それと、2作目もとらわれた恋人を取り返しにいくという話だったと思うが、同じネタを続けられても困る。

1>3>2 の評価だが、1作目以外は「ふつう」のでき。

『立喰師列伝』

2007年05月06日 | Weblog
ふつう

押井守 監督
出演もしくは声の出演 吉祥寺怪人、兵藤まこ、石川光久、川井憲次、河森正治、樋口真嗣、寺田克也、鈴木敏夫、山寺宏一、榊原良子、品田冬樹、神山健治

「立喰師」と呼ばれる無銭飲食者たちと、にせ戦後史をからめた作品。

アーティストが趣味に走るとこうなりますよ、という見本。
雰囲気がジム・キャリー主演の『マン・オン・ザ・ムーン』に似ている。あの中でえんえんと古典を読むというギャグ(というかハプニングというか実験というかいやがらせ)があったと思うが、それを全編で繰り広げている。

過剰でもっともらしいがでたらめのナレーション、○。○ニーランドや「ちゅから」の繰り返しで一般人でも笑える箇所もあるが、アニメや押井守に関して素人が近づくと泣くか怒るか眠るかだろう。わたしも一回目、カレーのところで眠り、見直した。つらかった……。長すぎるよ。素人にはもっとみじかめがありがたい。

『クィーン』

2007年05月04日 | Weblog
クィーン - goo 映画
よい

スティーヴン・フリアーズ 監督
ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、シルヴィア・シムズ、アレックス・ジェニングス、ヘレン・マックロリー、ロジャー・アラム、ティム・マクマラン 出演

ダイアナ元皇太子妃が死亡してから国葬が執り行なわれる数日間の新首相と英国王室、エリザベス女王の話。

現代の王の孤独を描いた作品。昭和天皇を描いた『太陽』とどことなく似ているのは気のせいか?
会話に皮肉がこめられていることが多く、前半はコメディ要素が高い。
革新なのに保守的な傾向になり、間の悪いときにばかり電話をかけてくるブレアとチャールズ皇太子は若干マイナスイメージを与えるが、基本的にはドキュメントものではなく、既成の情報から得られたものを元にしてつくられたおもしろいドラマ。

『モーツァルトとクジラ』

2007年05月03日 | Weblog
モーツァルトとクジラ - goo 映画
よい

ペッター・ネス 監督
ジョシュ・ハートネット、ラダ・ミッチェル、ゲイリー・コール、シーラ・ケリー、エリカ・リーセン、ジョン・キャロル・リンチ、ネイト・ムーニー、ラスティ・シュウィマー、ロバート・ウィズダム、アレン・エヴァンジェリスタ 出演

映画館で観たが、2004年の製作だった。
アスペルガー症候群という悩みを抱えた男女のラブコメ。

発達障害の一種ということだが、それはほとんど気にしなくてよい。
ふつう(と思われる)の人がこだわるところにこだわらなくて、ふつう(というものがあるとして)の人がこだわらないところにこだわる男女のラブコメ。

それよりも、恋愛における共通する痛み(不用意に傷つけてしまう)、悩み(どっちが折れるかのパワーバランス)が観るものの心をつかみとる。

どうも笑っている人間がわたししかいないので、もしかして笑ってはいけないコメディなのかと思ったが、どうやら上記のアスペルガー症候群ということにとらわれて観ている人が多かったようだ。バカめ。おかしかったら笑うのが礼儀だろうが。

ふたりとも動物好きの設定なので、鳥がいっぱい出てくるのもよい。

『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

2007年05月03日 | Weblog
今宵、フィッツジェラルド劇場で - goo 映画
よい

ロバート・アルトマン 監督
ウディ・ハレルソン、トミー・リー・ジョーンズ、ケヴィン・クライン、リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、メリル・ストリープ、ギャリソン・キーラー 出演

フィッツジェラルド劇場からおくる公開生放送ラジオ「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最後のショーが始まろうとしていた。ラジオ局が買収されてしまったのだ。

コメディだが、英語が堪能でないとその魅力は十分には理解できない。残念ながら英語が堪能ではないわたしは、出演者の会話と演技のかけらで満足させてもらった。最後まで観るといい夢から目覚めるときの残念さをだれもが感じるだろう。

スペシャル・サンクスでポール・トーマス・アンダーソンがクレジットされているが、彼が監督を補助・代行したらしい。ロビン・ウィリアムズがどこに出ているのかはわからなかった。

『パビリオン山椒魚』

2007年05月02日 | Weblog
パビリオン山椒魚 - goo 映画
わるい

冨永昌敬 監督
オダギリジョー、香椎由宇、高田純次、麻生祐未、光石研、KIKI、キタキマユ、 斉藤陽一郎、杉山彦々、津田寛治 出演

150年生きているという山椒魚のキンジローがホンモノかどうかを確かめるために、レントゲン技師に奇妙な依頼がとびこんでくる。

録音レベルが悪くて何を言っているのかほとんど聞こえない。ボリュームを大きくして聞いてもおもしろくない。

前半はストーリーがありそうだが、後半になるとそれも壊れてくる。
ギャグもおもしろくない。
豪華キャストなのに、もったいない。